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 植物検疫のご紹介

植物検疫とは

 国語辞典によると『検疫』とは「伝染病を予防するため、その有無につき診断、検査し、伝染病の場合には消毒・隔離などを行い、個人の自由を制限する行政処分」(岩波書店「広辞苑」1998年第5版)とあります。

 日本で行われている国の検疫は以下のように整理できます。

 

種類 検査の対象 規制の対象 担当
検疫 人間の伝染病 厚生労働省・検疫所
植物検疫 植物 植物の病害虫 農林水産省・植物防疫所
動物検疫 動物・畜産物 動物の伝染病 農林水産省・動物検疫所
食品衛生 食品 人間が飲食して害のある物質 厚生労働省・検疫所

 

 植物検疫は、植物の輸出入に伴い植物の病害虫がその植物に付着して侵入しないように輸出入の時点で検査を行い、検査の結果消毒などの必要な措置をとることを言います。

 

植物検疫の始まり

 もともと古くから北アメリカのロッキー山脈の東側で野生のブドウに寄生していたブドウネアブラムシという昆虫が世界で初めて植物検疫を行うきっかけとなりました。

 1850年代の、ブドウのうどんこ病の被害が深刻でその防除対策に頭を抱えていたフランスは、うどんこ病に抵抗性のある品種を育成しようとアメリカ合衆国から多種類のブドウの苗を輸入しました。その際、苗に付着していたブドウネアブラムシがフランスに侵入し(1859年頃)、10年足らずの間にフランス全土にまん延してしまいました。まったく新しい害虫に襲われたフランスのブドウ園は甚大な被害を受けて荒廃し、当時のワイン生産量が30%程度に減少したと言われています。

 フランスでのブドウネアブラムシの被害を知ったドイツは、ブドウネアブラムシが自国に侵入するのを恐れ、1872年(明治5年)「ブドウ害虫予防令」を公布し、繁殖用ブドウ苗の輸入を禁止しました。これが輸入植物検疫の始まりです。

  

植物検疫に関する国際条約

 ドイツでは「ブドウ害虫予防令」を公布するなどしてブドウネアブラムシが自国に侵入する防止策を強化し、フランスではブドウネアブラムシを防除することに尽力しましたが、被害は更に各地に広がっていきました。

 ブドウネアブラムシのまん延を防止し発生地からこれを駆除するには国際間の協力が必要であると考えたフランスは、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、スイス、ポルトガルに協力を申し入れ、1878年(明治11年)「ブドウネアブラムシまん延防止国際条約」が締結されました。これが植物検疫に関する条約のはじまりとなっています。

 その後、世界の貿易量の増大にともない植物の病害虫が国境を越えての侵入まん延する危険性が増大したいること、その防止には国際協力が有益であること、が検討され、植物の病害虫のまん延防止、侵入防止のための措置の国際協力を行うことなどを目的として、1952年(昭和27年)世界各国が参加する国際植物防疫条約(International Plant Protection Convention:IPPC)が発効しました。この条約の加盟国は、現在、我が国を含め166カ国(2007年10月現在)となっています。

 

日本における植物検疫

大正末期のくだもの検査風景

 日本は四方を海に囲まれているうえ、江戸時代には鎖国政策によって海外との貿易が閉ざされていたため、病害虫の侵入を免れてきました。しかし、明治以降、各国との貿易が盛んとなり、リンゴワタムシ、ヤノネカイガラムシ、根頭がんしゅ病など多くの植物の病害虫が侵入し、農業生産は重大な脅威を受けることになりました。また、諸外国からは輸出農産物についての植物検疫(検査)証明書添付などの輸出相手国の植物検疫に関する要求が厳しくなったため、1914年(大正3年)「輸出入植物取締法」が施行され、日本の植物検疫が開始されました。

 現在、日本の植物検疫は、国際植物防疫条約、衛生植物検疫措置の適用に関する協定などの国際間のルール及び日本の植物検疫の法律である植物防疫法に基づき行っています。

 

 

 

東洋汽船の船客荷物検査風景

携帯品検査風景

  

輸入植物検疫

 植物の病害虫が外国から侵入することを防ぐため、貨物、携帯品、郵便物などにより輸入される植物について輸入植物検疫を行っています。

 輸入植物検疫の対象は、病害虫の付着する可能性がある栽培用植物(苗、苗木、穂木、球根、種子など)、食用の野菜や果物、観賞用の切り花、木材、その他乾燥した植物などの植物の他、生きた昆虫・微生物など極めて広範囲にわたっています。

 特に、日本に万一侵入した場合には大きな被害が予想され、かつ輸入時の検査ではその発見が困難な病害虫の主な寄主植物や多くの病害虫が潜んでいる危険性の高い土、生きた病害虫そのものなどは日本への輸入が禁止されています。

 一方、製材や製茶など病害虫の付着する可能性が無いほどに高度に加工された植物や植物の病害虫でない生きた昆虫・微生物、植物の病害虫であっても死滅した昆虫標本などは輸入植物検疫の対象としていません。

  

 

輸出植物検疫

 世界中の多くの国が植物検疫制度を設けており、、日本からこれらの国・地域へ植物などを輸出する場合は、輸出相手国の植物検疫条件に適合した植物を輸出する必要があります。

 植物検疫条件は同じ植物に対しても国や地域により異なっており、「輸入を禁止するもの」「あらかじめ輸入許可が必要なもの」「輸出国の植物検査合格証明書 が必要なもの」の他に、輸出国での消毒措置や栽培地での病害虫の検査を要求していたり、輸送方法、植物形態、輸入時期、輸入場所や梱包形態を制限するものなど、さまざまです。

 植物防疫所ホームページでは、旅行者向けに簡易的な情報を提供する旅行者用簡易検索情報を提供していますので、ご利用ください。

 

  

国内植物検疫

 国際貿易にともなう輸入植物検疫及び輸出植物検疫に対して、国内の一部において特定の植物と病害虫に対しても移動を制限・禁止したりする移動規制を行うことや日本への侵入を特に警戒している植物の病害虫を対象とした侵入警戒調査や、健全な種苗の確保のための国内植物検疫を行っています。

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