隔離栽培が必要な植物について
1 隔離検疫とは
栽培用の苗、穂木、いも類、球根などの種苗は、輸入時の検査だけでは発見が困難なウイルス病などに汚染されている可能性があります。また、国内のほ場(畑、果樹園など)に直接植え付けられ長期間栽培されることから病害の侵入の危険性がより一層高まります。
このため、わが国にとって特に重要な種苗については、日本への輸入に際し、他の植物類から隔離されたほ場で一定期間栽培(隔離栽培)し、その間にウイルス病などの検査を行っており、これを隔離検疫といいます。
2 隔離検疫で警戒している主な病害
- カンキツグリーニング病 (クリックすると画像を表示します)
- プラムポックスウイルス (クリックすると画像を表示します)
- カンキツのCitrus cachexia disease
- ブドウのFlavescence dorée
- ブドウのPierce's disease
- ブルーベリーのBlueberry scorch virus
- ジャガイモのPotato spindle tuber viroid
3 隔離検疫が必要な植物(組織培養体も含む)
(1) 次の属(種)植物の果樹類(果樹台木として利用される植物を含む。)の苗木又は穂木
- おらんだいちご属植物(Fragaria L.):おらんだいちご等 (イチゴ)
- からたち属植物(Poncirus Raf.(Pseudaegle Mig.)):からたち
- きいちご属植物(Rubus L.):こばのふゆいちご、しまばらいちご等(ラズベリー、ブラックベリー)
- きんかん属植物(Fortunella Swingle):きんかん
- くり属植物(Castanea Mill.):くり
- くるみ属植物(Juglans L.):おにぐるみ、ひめぐるみ等(クルミ)
- こけもも属植物(Vaccinium L.):こけもも、つるこけもも等 (ブルーベリー)
- さくら属植物(Prunus L.):アーモンド、寿星桃、すみせいようみざくら、すもも、せいようみざくら、のもも、ミロバランすもも、もも、P. cistena、P. virginiana等(ウメ、あんず、プラム、サクランボ)
- すぐり属植物(Ribes L.):あめりかくろすぐり、こまがたけすぐり、ざりこみ、やぶさんざし等(カシス)
- なし属植物(Pyrus L.):せいようなし、まめなし、やまなし等(ナシ)
- ぶどう属植物(Vitis L.):くまがわぶどう、しらがぶどう等(ブドウ)
- みかん属植物(Citrus L.):オレンジ、グレープフルーツ、ザボン、レモン等
- やまもも属植物(Myrica L.):やまもも
- りんご属植物(Malus(Tour)Mill.):かいどう、りんご等
(2) パインアップル(Ananas comosus(L.)Merr.)(挿穂を含む。)苗
(3) さつまいも(Ipomoea batatas Lam.)の生塊根及びばれいしょ(Solanum属のtuberatume亜属を指す。)の生塊茎
(4) さとうきび(Saccharum officinarum L. 、S. barberi Jeswiet、S. sinense Roxb.及びこれらの交配種)の生茎葉及びその地下部
(5) 次の属(種)植物の球根類(未展葉芽を含む。)
- アイリス属植物(Iris L.)
- アネモネ属植物(Anemone L.):いちりんそう、にりんそう、はくさんいちげ等
- アマリリス属植物(Amaryllis L.):Belladonna lily
- アリウム(Allium aflatunense、A.albopilosum(=A.christophii)、A.cowanii(=A.neapolitanum)、A.cyaneum、A.flavum、A.giganteum、A.heldreichii、A.karataviense、A.moly、A.narcissiflorum、 A.ostrowskianum(=A.oreophilum)、A.pulchellum、A.rosenbachianum、A.schoenoprasum、A.schubertii、A.serratum、A.ursinum、A.unifolium、A.victorialis)
- ガランサス属植物(Galanthus L.)
- グラジオラス属植物(Gladiolus L.)
- グロキシニア属植物(Gloxinia L.Her.)
- クロッカス属植物(Crocus L.)
- シンニンギア属植物(Sinningia Nees)
- すいせん属植物(Narcissus L.)
- ダリア属植物(Dahlia Cav.)
- チューリップ(Tulipa spp.)
- ヒアシンス(Hyacinthus orientalis L.)
- ヒッペアストラム属植物(Hippeastrum Herb.)
- フリージア属植物(Freesia Klatt.)
- ベゴニア属植物(Begonia L.繊根種のベゴニアを除く。)
- ゆり属植物(Lilium L.):かのこゆり、すかしゆり、やまゆり等
- ラナンキュラス属植物(Ranunculus L.):うまのあしがた、きつねのぼたん等
球根の隔離検疫代替制度について
オランダ、ニュージーランド、ベルギー、チリ、南アフリカ、フランスから輸入される球根のうち、それぞれの国の検査機関が日本との合意に基づく検査を行うことにより、日本での隔離栽培を免除する制度があります。
これを隔離検疫代替制度といい、その適用対象品目及びその品種については、現地において両国間の合意のもとに検査を実施したことを明記した、検査証明書(植物検疫証明書又はphytosanitary certificateとも言います。)が発行されます。この検査証明書が発行された球根は、日本での隔離栽培を免除するものです。
生産国名 | 隔離検疫代替制度適用対象品目 |
---|---|
オランダ | アイリス、アマリリス、アリウム、グラジオラス、クロッカス、ダリア、チューリップ、ヒアシンス、ヒッペアストラム、フリージア、ベゴニア、ゆり |
ニュージーランド | チューリップ、ゆり |
ベルギー | ベゴニア、ゆり |
チリ | ゆり |
南アフリカ | アマリリス、ヒッペアストラム |
フランス | ゆり |
*これら品目であっても、その品目のすべての品種が隔離検疫代替制度適用対象となりません。
4 隔離検疫の栽培期間
(1) 果樹類(パインアップルを含む):1年
ただし、検定上必要な場合は、さらに2年間まで延長することがあります。
(2) 球根類、いも類及びさとうきび:1作期間
5 隔離検疫の手続き
隔離検疫対象植物を輸入される場合は、隔離栽培のご予定について確認させていただくとともに、輸入に当たっての注意事項等をお知らせしますので、あらかじめ下記6の最寄りの植物防疫所までご連絡ください。
なお、植物防疫所の隔離ほ場での検査を希望される場合は、横浜植物防疫所業務部生物検定担当(つくばほ場)まで、ぶどう属植物については、輸入される前年の5月31日までに札幌支所、つくばほ場、伊川谷圃場のいずれかにご連絡ください。
また、ぶどう属植物の検査を民間施設で行うことを検討されている場合は、こちらをご確認ください。
6 隔離検疫についてのお問い合わせ先
- 横浜植物防疫所業務部種苗担当
〒231-0003 神奈川県横浜市中区北仲通5-57(横浜第2合同庁舎)
電話:045-211-7153 FAX:045-211-0611 - 横浜植物防疫所業務部生物検定担当(つくばほ場)
〒305-0052 茨城県つくば市長峰1番7
電話:029-855-7832 FAX:029-855-7833 - 横浜植物防疫所札幌支所
〒062-0045 北海道札幌市豊平区羊が丘1
電話:011-852-1809 FAX:011-853-9671 - 名古屋植物防疫所種苗担当
〒455-0032 愛知県名古屋市港区入船2-3-12(名古屋港湾合同庁舎内)
電話:052-651-0132 FAX:052-651-0115 - 神戸植物防疫所業務部種苗担当
〒650-0042 兵庫県神戸市中央区波止場町1-1(神戸第2地方合同庁舎)
電話:078-331-2376 FAX:078-391-1757 - 神戸植物防疫所業務部生物検定担当(伊川谷圃場)
〒651-2115兵庫県神戸市西区伊川谷町別府703
電話:078-974-3262 FAX:078-974-3282 - 門司植物防疫所輸入検疫担当
〒801-0841 福岡県北九州市門司区西海岸1-3-10(門司港湾合同庁舎内)
電話:093-321-2601 FAX:093-332-5182 - 那覇植物防疫事務所輸入検疫担当
〒900-0001 沖縄県那覇市港町2-11-1(那覇港湾合同庁舎内)
電話:098-868-2850 FAX:098-861-5500