令和4年度消費者団体等との意見交換会(山口県)の概要
中国四国農政局では、消費者団体等との意見交換会を山口市で開催しました。 |
1. 開催日時、場所
令和4年7月20日(水曜日) 13時35分~15時35分
山口地方合同庁舎2号館 5階 共用第一会議室
2. テーマ
環境にやさしい持続可能な消費
3. 中国四国農政局からの情報提供
(1)第4次食育推進基本計画について
(2)みどりの食料システム戦略について
4. 出席者(順不同、敬称略)
- 有機農業生産者(株式会社ゆめファーム、株式会社秋川牧園)
- 子育て支援団体(特定非営利活動法人 やまぐちレーテ子育てBambini)
- 山口県消費者団体連絡協議会
- 山口県連合婦人会
- 山口県生活協同組合連合会
- 山口県地域消費者団体連絡協議会
出席者計 | 14名 |
消費者団体等 | 8名 |
農政局 | 6名 |
5. 取組紹介等
(1)株式会社ゆめファーム
秋川牧園創業者の「口に入るものは間違ってはいけない」との理念に基づき、同社の子会社として有機野菜を約50品目生産。防除、草刈等をはじめとした営農努力に加え、有機JAS認証のため圃場ごとの記録等に相当な労力を要し、コストもかかる。形の悪いものや虫食いが生じ、品質の安定と数量の確保がポイント。有樹野菜はその苦労を買ってもらわなければならないため、消費者の理解も必要となる。そのため、生産現場の取組などを情報発信し、理解と共感を得るよう努めている。当社は宅配事業が中心のため、大きさにバラツキがある生産物も顧客に直接届けられる。しかし、店頭販売の場合は、大きいものや見た目のよいものが選ばれてしまうところに難しさがある。秋川牧園のマーケティング室が中心となり、一般に販売できない野菜を「もったいない野菜」として直売所で販売したところ好評を得ている。
有機農業は地力で作ることが重要だが、耕種農家と畜産農家との耕畜連携の取組がなかなかうまくいかないのは、畜産農家にとって畜糞は廃棄物であり、耕種農家のためにきちんとした堆肥を作ろうとせず、廃棄物として畑に持って行こうとすることも要因。
日本の農地には水田で米作りが一番適しているが、あと5年すると地域では米を作っている人がみんないなくなるという状況に直面している。農地の荒廃は待ったなし。30年先に有機農業を25%増やすという目標も、そもそもの分母が減ってしまっては成り立たない。飼料用米を本作化して継続的に作付けできるようにしてほしい。スマート農業も実用に結びつくものにすることが必要。
(2)特定非営利活動法人 やまぐちレーテ子育てBambini
子育て世代の親子を中心に、妊婦、学生、社会人など、地域の人、もの、こと、環境を活かした多世代交流により食育活動を実践。農家の協力を得て年間を通じて農業体験を行うなど、親子で食育と農育を同時に体験すると効果があがる。
多忙で食に関心を持つ余裕がない親、個食等で家庭での食の思い出がない子が増えている。食文化を知らずに育った親は子どもに伝えられない。親が食に関心を持つことが重要。例えば、瓶詰めの離乳食であっても、規格外の農産物を県内で加工して提供するような、環境にもやさしいものがあったら喜ばれると思う。子育て世代の親が食を知ることができるような情報発信が必要。
6. 出席者からの主な意見等
- 有機農産物についての消費者の理解はまだ十分ではない。価格の問題が一番大きい。日本では見栄えのいい農産物が流通にのせられ、産地では2割近くの規格外品が捨てられているという実態もある。規格外の農産物も加工によって有効に消費者に届けていくことが必要。
- 農林水産業の従事者は年齢も高く小規模のところも多い。費用の問題もあり、ICT等の活用も難しい。みどりの食料システム戦略については、これから何年計画でどうするのかという具体的なことがないと、継続できないのでは。
- 保護者からは「子どもに体験をさせてほしい」というニーズが高い。子育て世代は共働きで時間的余裕がなく、子どもにさまざまな体験をさせたくても物理的に難しい。シニア世代の出番も期待されている。
- 農業体験について、例えばお米では、田植えのあとは刈り取り、食べる、それでおしまいという、いいところ取りの楽なものが多い。種からまいて、それをずっと見ながら収穫をして、苦労があるとか、大変だったということも含めて、現場が見える体験をすると子どもにちゃんと伝わる(「良かったね」という重さが変わる)。
- コロナ以降、対面の活動が難しく、食に関わりにくくなっているのが正直なところ。
- 昨今の物価高で消費者の意識が物価の方へ向いている。これまでエシカル消費や地産地消に取り組んできた人に、食品を買い求める時にどうやって判断しているのかを聞くと、「有機と書いてあるものや、価格が高いほうを買う」と言う人もいた。エシカル消費の判断が一般の消費者にはわかりづらく、価格を判断材料として、経済的に余裕のある消費者は高いほうを選択するというやり方をとってきたが、物価高でそれも難しくなっている現状があり、SDGs、エシカル消費に逆行していくことを心配している。
- 消費者にとっては「選択する」という視点が大事。アンケートをとると、選択をするときの基準は「価格」という人が多く、安い方を選んでいる傾向がある。選択するためにはいろいろな情報を持っていることが必要。学ぶことも必要。いろんな人の話を聞きながら得る情報も大事だし、見えない部分は自分が想像力を働かせて、最終的には自分の判断で選択することになる。価値観や、それを選ぶことによって、社会とどう繋がっているとか、どういう影響があるかなどを、ちゃんと分かって選択する人が増えると良い。最終的には消費者の考え方、意識が非常に大事。
- 自分が何をどう選ぶかに責任をもち、SDGsの12「使う責任」に結びつけてきちんと暮らしていける消費者が増えたらよいが、なかなか浸透しない。あっという間に物価が上がってしまったので、経済状況から消費者はきちんと選択することができなくなっている。
- 一方で、裏付けや、正しい知識があれば、価格が高くてもよいという選択もできる。それがあやふやだったり、勉強不足だったり、情報不足だと抜けてしまう。
- 小さい時から「何を食べる、何を選ぶ」ということを訓練・教育されていることが必要。選択に繋がる教育がきちんとできるようになるとよい。
- 選択の手段としては、ラベルや表示が重要。情報を正しく見分けられ、理解できれば、選ぶ手段になる。表示は公平で公正であることが重要。また、楽しいものであってほしい。
- 食の情報発信について、生産者側からは、圃場の様子や生産の努力や苦労、食べ方の紹介など、子育て世代の目線で自分たちもほしいと思っている情報を、ニーズに合う形で、インスタライブ等「ちょっとした隙間でできること」により、「ちょっとした隙間に知ることができるように」発信するよう取り組んでいる。生協の学習会にも参加し、養鶏農場など一般の方が入れない場所での取組もオンライン中継により説明するなど、情報発信して、消費者にしっかり選んでもらうことが大事と考えている。
5. その他(意見交換会写真等)
![]() (意見交換会の様子) |
![]() (有機農業に取り組む株式会社ゆめファーム 村田様による取組紹介) |
![]() (子育て支援に取り組む特定非営利活動法人やまぐちレーテ 子育てBambini 佐藤様による取組紹介) |
お問合せ先
消費・安全部消費生活課
代表:086-224-4511(内線2322)
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