3.事業の効果(国営総合農地防災事業)
(1)児島湾締切堤防の耐震対策の必要性
児島湾締切堤防は、干拓地の農業用水の確保(児島湖の淡水化)、排水対策(児島湖の水位調整)、高潮被害の防止を目的として、国営児島湾沿岸農業水利事業(昭和25~36年)により造成された施設です。
東日本大震災を踏まえ、中国四国農政局において締切堤防の耐震性を調査したところ、大規模地震(注1)が発生した場合には、締切堤防が液状化・沈下するとともに、排水樋門も損壊するため、津波や高潮が児島湖周辺の農地や市街地に浸入する、児島湖が海水侵入により塩水化し、農業用水が確保できなくなるといった被害が想定されるシミュレーション結果となりました。
このようなことから、大規模地震による甚大な被害を防止するため、締切堤防と排水樋門の耐震対策を早期に行うこととしています。
(注1)大規模地震:内閣府が公表(平成24年8月)した南海トラフの巨大地震のうち、現在から将来にわたって当該地点で考えられる最大級の強さを持つ地震動
(2)大規模地震による堤防の沈下(シミュレーション結果)
- 対策前(現状)
現状のままでは大規模地震後、設計津波が堤防高を上回り、海水が浸入します。 - 対策後
大規模地震が発生すれば堤防は損傷すると考えられますが、鋼矢板を二重に打設する部分によって堤防の高さを保持し、津波が児島湖・干拓地等に浸入することを防止します。
しかし、大規模な高潮が防止できない、道路が一般交通に使用できない、電力・水道等が寸断されるといった事態が想定されます。その場合は、鋼矢板打設部分を工事用道路として活用し、できるだけ速やかに復旧工事を実施することとしています。
(注2)設計津波:海岸保全施設等の整備を進めていく上で対象とする津波。最大クラスの津波に比べて発生頻度が高く、津波高は低いものの大きな被害をもたらす津波(水位は岡山沿岸海岸保全基本計画(平成26年3月改訂)による。)
(3)耐震対策工イメージ
(4)事業の効果
- 児島湾締切堤防の耐震化により、大規模地震の発生による津波の児島湖への流入を防ぐことで農業用水源である児島湖等の機能喪失及び受益地への浸水被害を未然に防止するとともに、農業生産等が維持されます。
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