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中国四国農政局

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    4. 近世~岩政次郎右衛門の長溝用水路(柳井市)

    柳井市北部にある黒杭川ダムの西側から馬皿を通り、西部にある新庄地区・余田地区に続いている用水路があります。この用水路は長溝用水と呼ばれ、およそ310年前に完成した用水路です。

    昔から、柳井市新庄地区・余田地区一帯は水の乏しいところでした。そのため、日照りが続くと、村人の生活は厳しさを増しました。そのような厳しい生活から村人を救うべく、新庄の庄屋であった岩政次郎右衛門は、新庄地区、余田地区の北部に水をひくため長溝用水を一身を捧げて作りました。

    次郎右衛門は、3年をかけて取水源を求め、水路をどのように掘りこんで作ったらよいか、地に伏せ谷を渡り、夜はローソクをともして地形調査、測量などを1人で行なったといわれています。こうして設計を行い、長溝用水の案を作りだしました。

    設計を行った後、次郎右衛門は岩国藩の吉川公の許可をもらい、貞享3年(1686年)に用水工事に着工しました。用水は約3年の歳月と村人総出延べ9,000人の人手により、元禄2年(1689年)に完成しました。


    現在の地図でこの長溝用水の取水口から終点までの標高差を計算してみると、平均して1,000分の5(1,000メートルで5メートル下がる)の勾配が取られており、山肌を縫って溝を配置するその測量技術は、当時のものからすると驚異的なものだったようです。

    工事は約7キロメートルにおよび、完成した長溝用水は約77ヘクタールの水田をうるおし、かつて干ばつに悩み続けた村一帯はよみがえりました。

    長溝水路は、現在も地区の人により大切に守られて、地域の歴史的遺産として残されています。毎年8月19日には新庄地区で長溝祭が行われるなど、用水を作った次郎右衛門は「水の神」ともあがめられ、その偉大な業績は現在も語り継がれています。

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