筑後川中流地区事業概要
事業概要
1.事業の目的
本地区は、福岡県の南部を流れる一級河川筑後川水系筑後川の中流域に位置し、久留米市、小郡市、うきは市、朝倉市及び三井郡大刀洗町にまたがる5,194haの農業地帯である。本地区の基幹的な農業水利施設は、国営筑後川中流土地改良事業(昭和56年度~平成7年度)により造成されたが、経年的な施設の劣化により、頭首工、用水路においてはコンクリート構造物の摩耗や鉄筋の露出、鋼構造物の腐食やローラの作業不良等による性能低下が生じており、今後、更なる性能低下の進行により、農業用水の安定供給に支障を来すとともに、維持管理に多大な費用と労力を要することとなる。
このため、本事業において農業水利施設の機能を保全するための整備を行い、施設の長寿命化により、農業用水の安定供給及び維持管理の費用と労力の軽減を図り、農業生産性の維持及び農業経営の安定に資するものである。
2.事業内容
1.関係市町 福岡県久留米市、小郡市、うきは市、朝倉市、三井郡大刀洗町2.受益面積 5,194ha
3.事業内容 頭首工(改修) 1ヵ所
用水路(改修) 6.9km
水管理施設(改修) 一式
4.事業の予定工期 平成28年度~令和7年度

前歴事業の概要
前歴事業である「国営筑後川中流土地改良事業」は、頭首工や用水路等の基幹的な農業水利施設の造成及び改修とあわせて、用排水分離に伴う地区内排水系統の整備等を行い、更に県営等関連事業によりほ場整備や農業用用排水施設の整備を実施し、農業の近代化、農業経営の合理化を図ることを目的として昭和56年度から平成7年度に実施された。事業名 国営かんがい排水事業「筑後川中流地区」
受益面積 6,360ha(水田5,930ha、普通畑160ha、樹園地270ha)
関係市町 福岡県久留米市、小郡市、うきは市、朝倉市、三井郡大刀洗町(4市1町)
主要工事 頭首工(雲雀堰) 1ヵ所
用水路 L=43.2km(10路線)
排水路 L=3.7km(2路線)
総事業費 185億円
事業工期 昭和56年度~平成7年度(15年間)
雲雀堰

前歴事業実施前の土水路 前歴事業により整備された用水路(床島大刀洗幹線用水路)

現状と課題
本地区の基幹的な農業水利施設は、国営筑後川中流土地改良事業(昭和56年度~平成7年度)により造成されたが、造成後概ね20年以上が経過し、雲雀堰の電気設備は耐用年数を超過し、ゲート設備ではローラの作業不良が発生するなど性能低下が生じている。また、用水路においてはコンクリート構造物の摩耗や鉄筋の露出、サイホンの継手部からの漏水等がみられ、鋼構造物の腐食やローラの作動不良、開閉装置のブレーキ故障等による性能低下が生じている。
頭首工
頭首工においては、主ローラの作動不良及び腐食、また、それに伴う戸当りの損傷等が発生しており、現況の施設に機能保全対策を行わなかった場合、ゲートの操作が困難にとなり、適切な用水管理ができなくなるおそれがあるため、農業用水の安定供給に支障を来すこととなる。

主ローラの作動不良と腐食
水管理施設
水管理施設においては、故障が発生しており、修繕にあたり部品の製造終了で調達が困難なものがある。現状の施設に機能保全対策を行わなかった場合、取水量管理等が困難となり、適切な用水管理ができなくなるおそれがあるため、農業用水の安定供給に支障を来すことになる。

故障による稼働停止 機器が旧型のシステムであり
(水位の無表示) 部品調達が困難
用水路
用水路においては、鉄筋の露出や石積部の洗掘、サイホン部の漏水路等が発生しており、付帯施設であるゲートにおいては、扉体や開閉装置に劣化が生じている。現状の施設に機能保全対策を実施しなかった場合、水路の倒壊による通水障害や、ゲートの操作が困難となることにより、適切な用水管理ができなるなるおそれがあるため、農業用水の安定供給に支障を来すことになる。

鉄筋の露出・浮き サイホン継手部での漏水 扉体の腐食・孔食
機能保全対策の概要(計画時点)
頭首工

門柱・側壁・横越流堰・操作室 補強 FRPグリッド 靱性モルタルライニング被覆
用水路

用水路壁面摩耗 表面被覆イメージ

目地からの漏水 目地補修イメージ

水路付帯ゲートの老朽化 補修・更新イメージ
お問合せ先
北部九州土地改良調査管理事務所
担当者:〒830-0062 福岡県久留米市荒木町白口891-20
ダイヤルイン:0942-27-2160




