植物検疫ギャラリー(侵入を警戒している主な病害虫)
最終更新日:令和7年3月28日
節足動物
![]() 成虫
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〔和名〕 チチュウカイミバエ 〔学名〕 Ceratitis capitata 〔英名〕 Mediterranean fruit fly 〔体長〕 約 5mm 〔解説〕 チチュウカイミバエは、ハエの仲間で、くだものを食いあらす大害虫です。成虫がくだものに卵を産み、生まれた幼虫が、その中身を食べてしまいます。ヨーロッパ、アフリカ、中南米、オーストラリア、ハワイなど広い地域に発生しています。 |
![]() 成虫
![]() 幼虫
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〔和名〕 ミカンコミバエの仲間 〔学名〕 Bactrocera dorsalis species complex 〔英名〕 Oriental fruit fly species complex 〔体長〕 約7.5mm 〔解説〕 チチュウカイミバエと同じようにハエの仲間で、くだものの他にトマトやナスなどを食いあらす大害虫です。成虫がくだもの、トマト、ナスなどに卵を産み、生まれた幼虫が、その中身を食べてしまいます。インド、台湾、中国、東南アジア、アフリカ、ハワイなどに発生しています。 |
![]() 成虫 |
〔和名〕 クインスランドミバエ 〔学名〕 Bactrocera tryoni 〔英名〕 Queensland fruit fly 〔体長〕 約 6mm 〔解説〕 ミカンコミバエとよく似ているハエの仲間で、くだものの他にトマトやトウガラシなどを食いあらす大害虫です。成虫がくだもの、トマト、トウガラシなどに卵を産み、生まれた幼虫が、その中身を食べてしまいます。オーストラリアとそのまわりの島々に発生しています。 |
![]() 成虫
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〔和名〕 ウリミバエ 〔学名〕 Bactrocera cucurbitae 〔英名〕 Melon fly 〔体長〕 8~9mm 〔解説〕 ミカンコミバエと似ているハエの仲間で、幼虫がウリ類の他、トウガラシやインゲン、熱帯性くだもののパパイヤやマンゴウなどを食いあらす大害虫です。成虫がウリ類、トウガラシやインゲン、熱帯性くだものなどに卵を産み、生まれた幼虫が、その中身を食べてしまいます。インド、台湾、中国、東南アジア、アフリカ、ハワイなどに発生しています。 |
![]() 成虫
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〔和名〕 コドリンガ 〔学名〕 Cydia pomonella 〔英名〕 Codling moth 〔体長〕 開張*18~22mm 〔解説〕 リンゴなどにつく大害虫です。成虫が熟していない果実や葉の表面に卵を産み、生まれた幼虫は果実に入り、中身を食べてしまいます。アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北米、中南米、オーストラリア、ニュージーランドなどの温帯地域に広く発生しています(日本未発生)。 *両羽を開いた状態での羽の先端から先端までの長さを「開張」と言います。
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![]() 成虫 ![]() ![]() 幼虫 その他の写真はこちら※ |
〔和名〕 アリモドキゾウムシ 〔学名〕 Cylas formicarius 〔英名〕 Sweet potato weevil 〔体長〕 5 ~ 7mm 〔解説〕 熱帯、亜熱帯を中心に世界各地のサツマイモ栽培地域にいるサツマイモの害虫です。日本ではトカラ列島(鹿児島県)以南の南西諸島(久米島等を除く)と小笠原諸島(東京都)に発生しています。幼虫に内部を食いあらされたサツマイモは、異臭と苦味が出て、食用はもちろんのこと、飼料としても用いることができなくなります。 |
![]() 成虫 ![]() ![]() 幼虫 その他の写真はこちら※ |
〔和名〕 イモゾウムシ 〔学名〕 Euscepes postfasciatus 〔英名〕 West Indian sweet potato weevil 〔体長〕 3 ~ 4mm 〔解説〕 中国、アメリカ、中南米、太平洋の島々にいるサツマイモの害虫です。日本では宝島(鹿児島県トカラ列島)以南の南西諸島、小笠原諸島(東京都)だけで発生が確認されています。アリモドキゾウムシと同様に、幼虫に内部を食いあらされたサツマイモは異臭と苦味が出て、食用や飼料用に用いることができなくなります。 |
![]() 成虫 ![]() 左上:幼虫、右上:成虫、 左下:葉上の卵、右下:土中の蛹 |
〔和名〕 コロラドハムシ 〔学名〕 Leptinotarsa decemlineata 〔英名〕 Colorado potato beetle 〔体長〕 約 10mm 〔解説〕 成虫、幼虫ともにジャガイモやナスなどの植物の葉や茎など地上部分を食いあらす大害虫です。中国、ロシア、ヨーロッパ、北米などに発生しています。 |
![]() 成虫 ![]() 左:寄主植物上の蛹、 右:本種の加害による寄主植物の被害(先端が枯死) |
〔和名〕 ヘシアンバエ 〔学名〕 Mayetiola destructor 〔英名〕 Hessian fly 〔体長〕 2~4mm 〔解説〕 ヘシアンバエはハエの仲間で、コムギやオオムギなどムギ類の害虫です。幼虫が茎と葉の隙間にもぐりこんで汁を吸い、被害を与えます。ヨーロッパ、北米、ニュージーランドなどに発生しています。 |
![]() ![]() 成虫 ![]() 幼虫 ![]() ![]() トマトキバガによる食害痕 |
〔和名〕 トマトキバガ 〔学名〕 Tuta absoluta 〔英名〕 South American tomato pinworm, Tomato leaf miner 〔体長〕 開張*約10mm 〔解説〕 ジャガイモ、ナス、トマトなどに被害を与える害虫です。成虫が植物の葉、茎、がく片および熟していない果実の表面に卵を産み、生まれた幼虫が葉、茎、実を食べます。南米、ヨーロッパ、アフリカ、インドなどに分布しており、中国、台湾などの近隣国でも発生しています。 *両羽を開いた状態での羽の先端から先端までの長さを「開張」と言います。
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線虫
![]() 根に付着した雌成虫 ![]() シストを割ると中から卵・幼虫が出てくる。 その他の写真はこちら※ |
〔和 名〕 ジャガイモシストセンチュウ 〔学 名〕 Globodera rostochiensis 〔英 名〕 Potato cyst nematode, Golden nematode 〔体 長〕 体長約0.5、体幅約0.4mmのほぼ球形(雌成虫) 〔解 説〕 ジャガイモ、ナス、トマトなどの根に被害を与える線虫です。雄成虫は糸のような形をしていますが、雌成虫はボールのように丸くなっています。体の中で数百個の卵をつくります。やがて雌成虫は死んでしまいますが、皮が硬くなり褐色の「シスト」と呼ばれるカプセルのようになり卵を守ります。シストになる前の雌成虫は黄色いので、根を観察すると金色のつぶができたように見えます。インド、インドネシア、中東、ヨーロッパ、アフリカ、北米、中南米などに発生しています。 |
![]() 根に付着した雌成虫 ![]() シスト その他の写真はこちら※ |
〔和名〕 ジャガイモシロシストセンチュウ 〔学名〕 Globodera pallida 〔英名〕 White potato cyst nematode, Pale cyst nematode 〔体長〕 体長約0.6、体幅約0.5mmのほぼ球形(雌成虫) 〔解説〕 ジャガイモ、ナス、トマトなどの根に被害を与える線虫です。ジャガイモシストセンチュウとよく似ていますが、「シスト」になる前の雌成虫の色は白いままで黄色にはなりません。このため、根を観察すると白色のつぶができたように見えます。インド、トルコ、ヨーロッパ、北米、中南米、ニュージーランドなどに発生しています。 |
![]() 根に付着した雌成虫 ![]() シスト ![]() シストを割ると中から卵・幼虫がでてくる その他の写真はこちら※ |
〔和名〕 テンサイシストセンチュウ 〔学名〕 Heterodera schachtii 〔英名〕 Sugar beet cyst nematode 〔体長〕 体長約0.6 ~ 0.9、体幅約0.3 ~ 0.6mmのレモン形(雌成虫) 〔解説〕 テンサイ、キャベツ、カリフラワーなどの根に被害を与える線虫です。雄成虫は糸のような形をしていますが、雌成虫はレモンのような形をしていて、体の中に卵をつくり、やがて、皮が硬くなり褐色の「シスト」と呼ばれるカプセルのようになり卵を守ります。この線虫に栄養をとられて苗が枯れたり、ひげのような根がたくさん生えたりするなど植物が正常に育たなくなるので収穫量が減ります。韓国、中東、ヨーロッパ、アフリカ、北米、中南米、オーストラリアなどに発生しています。 |
![]() 成虫 |
〔和名〕 カンキツネモグリセンチュウ 〔学名〕 Radopholus citrophilus 〔英名〕 Citrus burrowing nematode 〔体長〕 0.5 ~ 0.9mm 〔解説〕 様々な植物、特に果樹の根にもぐりこんで根を枯らしてしまう線虫です。アメリカのフロリダでは、この線虫が入りこんだみかん園のすべての木が枯れてしまいました。主にアメリカ、ハワイに発生しています。 |
![]() 雄成虫 ![]() 雌成虫 |
〔和名〕 バナナネモグリセンチュウ 〔学名〕 Radopholus similis 〔英名〕 Banana burrowing nematode 〔体長〕 0.5 ~ 0.9mm 〔解説〕 バナナ、アボカド、オクラ、ショウガなどのさまざまな植物の根にもぐりこんで根を枯らしてしまう線虫です。カンキツネモグリセンチュウとよく似ていますが、カンキツには被害を与えません。世界各地のバナナ農園において、この線虫の被害を受けていると考えられています。アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北米、中南米、オーストラリアなどに発生しています。 |
真菌及び粘菌
細菌
![]() ![]() スイカ果実表面の汚斑及びその内部 その他の写真はこちら※ |
〔和名〕 ウリ科野菜果実汚斑細菌病菌 〔学名〕 Acidovorax citrulli (Acidovorax avenae subsp. citrulli) 〔英名〕 Bacterial fruit blotch 〔解説〕 スイカ、トウガン、メロンなどに大きな被害を与える細菌による病気です。苗が病気にかかると、やがて枯れてしまいます。また、まわりのスイカの苗にも病気がうつってしまうと、畑が全滅することもあります。果実がこの病気にかかると、暗緑色の水浸状不整形の斑点を形成しますが、その後、拡大し果実そのものが腐ってしまいます。アメリカでは1990年頃にこの病気が大発生して、大きな被害が出たことがあります。タイ、台湾、中国、イタリア、アメリカ、ブラジル、オーストラリアなどに発生しています。 |
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〔和名〕 カンキツグリーニング病菌 〔英名〕 Citrus greening disease (Citrus huanglongbing) 〔解説〕 アジア、アフリカ、アメリカ、中南米、パプアニューギニアなどで発生している細菌によるカンキツ類の病気で、接ぎ木やミカンキジラミによって病気がうつります。日本では沖縄県並びに沖永良部島及び与論島(鹿児島県)で発生が確認されています。感染した樹は、葉が黄色くなったり小さくなったりして、やがて衰弱して枯れてしまいます。果実が大きくならず緑色のままになることから、カンキツグリーニング病と呼ばれています。発生地ではカンキツ類の深刻な病気で、果樹園が廃園になった事例もあります。 |
![]() インゲンマメの萎れ |
〔学名〕 Curtobacterium flaccumfaciens pv. flaccumfaciens 〔英名〕 Bacterial wilt of beans 〔解説〕 インゲンマメに大きな被害を与える細菌による病気です。苗が病気にかかると、萎れて枯れてしまいます。豆(実)が付いているときにこの病気にかかると豆の色が黄色や紫色等に変わってしまいます。トルコ、ヨーロッパ、北米、中南米、オーストラリアなどに発生しています。 |
![]() リンゴ樹全体の枯れ ![]() ナシ新梢の枯れ その他の写真はこちら※ |
〔和名〕 火傷病菌 〔学名〕 Erwinia amylovora 〔英名〕 Fire blight 〔解説〕 リンゴやナシなどに大きな被害をもたらす細菌による病気です。まるで火にあぶられたように、木全体が枯れてしまいます。韓国、中国、中東、ヨーロッパ、北米、ニュージーランドなどに発生しています。 |
![]() トウモロコシ葉の退緑斑 |
ウイルス・ウイロイド
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