コラム―新開氏(しんがいし)「阿波(あわ)の法隆寺」ともいわれる徳島県内きっての名刹(めいさつ)である「丈六寺(じょうろくじ)」には阿波国守護であった細川氏関連の画像や文書が収蔵されていますが、もっとも有名なのは「血天井(ちてんじょう)」。長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)に謀殺されたと言われる新開道善(どうぜん)の伝説を今に伝えています。 新開道善は、三好氏が守護細川氏を倒したのち、三好方につき、牛岐城(うしきじょう)を拠点に南方の軍事や領国支配を担っていました。彼は勇猛果敢な武士であったらしく、阿波への侵入を狙っていた長宗我部元親の難敵でした。 1597年、長宗我部氏は牛岐城を攻略し、道善は一旦元親の軍門に降ります。しかし、新開氏は勝瑞城(しょうずいじょう)の三好氏とは細々と連絡を続けており、長宗我部氏にとっては油断できない相手でした。また、道善の牛岐城は川の土手を切れば城下は水びたしになるという水城(みずき)で、なかなか攻め込むことが難しい状況でした。1582年、長宗我部元親は三好氏の勝瑞城を陥落させると、和議(わぎ)と称して新開道善を丈六寺に誘い出し、酒に酔った道善を謀殺したとあります。丈六寺の血天井は、黒く点在しているものが血痕といわれ、中には人間の指状のものも残っています。もっとも『元親記』では切腹させたことになっており、その真相は今日まで謎のままになっています。酒席で殺害されたということで、丈六寺は禁酒を誓うお寺ともなっているそうです。 【写真】丈六寺(じょうろくじ) |
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