キラリ☆道南 ~GI登録の組合長にお聞きしました~
GI登録の強みを活かした加工食品での輸出の取組
~JA今金町 小田島組合長~

【小田島親守 組合長】
Q1 GI登録以降、どのような効果がありましたかお聞かせください。
A1 GI登録というのは、農家にとって色んな約束事、基準を守らなきゃならないので、プレッシャーになっている一方で、自分達がやらなければならないことを再認識出来た機会になっていると思います。
当時の部会役員の先輩方が農家の庭先まで出向いて、「男爵」の一本化に向けて説得して歩いて品種を「男爵」に統一したという歴史があり、今の若い農家がそういった歴史的経過を理解してくれて、栽培に取り組んでいる産地は他にないことだと思っています。
GI登録された直後から、テレビだけで6社、新聞でも全国版で大きく取り上げていただいたおかげで、PR効果は非常に大きかったと感謝しています。
平成27年からは有名菓子メーカーに「今金男しゃく」を原料として使用して頂きポトチップスの販売がスタートしました。本来、男爵という品種はデンプン含有量が多く焦げ付きやすいためポテトチップスには向かないのですが、相当工夫を重ねられて商品化に至りました。年々売上も伸びていますし、何より「今金」という産地の知名度のアップに繋がっているのはとても有り難いことです。
Q2 昨年のコロナ禍の影響や干ばつの影響はどうでしたか。
A2 コロナ禍で非常事態宣言が発令されて以降、市場関係者との情報交換は電話やオンラインとなり、直接市場視察や意見交換が出来ない時期もありました。
また、令和3年は干ばつの影響で馬鈴しょが全道的に小玉傾向で収穫量が少ない状況でしたが、おかげさまで「今金男しゃく」については、対前年比110%ほどとなりました。
生産者の技術と日々の努力の賜物だと改めて感じております。

【収穫作業の様子】

【JA施設で選果作業の様子】
Q3 2022年、重点的に取り組もうとしていることをお聞かせください。
A3 昨年は干ばつにより「今金男しゃく」の栽培や流通も苦労が多い年でした。また、組合員の高齢化や労働力不足など、ブランドを維持向上させていくためには多くの課題があるのが現状です。そうしたなか、「今金男しゃく」自体を生食用として広く輸出することは防疫などの点から容易ではありませんが、GIブランドの強みを活かして「今金男しゃく」を原料とした加工食品の輸出をしていきたいと考えており、特にアジア圏をターゲットにしたいと思っています。
JA今金町では現在、自前の加工品として「今金男しゃく黒毛和牛カレー(レトルトカレー)」と「今金濃米(レトルトご飯)」をラインナップしており、「今金男しゃく」を使用したポテトチップスは有名菓子メーカーが全国に向けて販売しています。
加工食品は生食用に比べて保管が容易で賞味期限が長いという長所があります。現在、若い職員たちが新しい加工品の開発を検討しており、今後の展開に期待しているところです。
今金には、今金男しゃく以外にも米をはじめ美味しい農産物がたくさんありますから、加工品を通じたPRで「今金ブランド」の知名度向上に努めながら、GIブランド「今金男しゃく」の魅力と価値を広く消費者の皆様に共感いただき、組合員のモチベーションと所得向上にも繋げていきたいと思っています。

【「今金男しゃく」ポテトチップス】

【「今金男しゃく」黒毛和牛カレー】