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九州農政局

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IPMを活用した環境に優しい栽培技術の優良事例について

  志布志市で、農薬の使用を低減し、天敵となる昆虫等を活用した病害虫防除法であるIPM農法を活用したピーマン栽培を行っている農業者から、その活用法についてお話を伺いました。志布志地区では、このIPM技術を活用し、約100名の農業者がハウス栽培によるピーマンを生産しています。今回は、その効果的な取組等について、ご紹介します。

日時:令和6年10月23日(水曜日)
場所:志布志市
生産者:JAそお鹿児島ピーマン専門部会  天敵研究会会長  下前泰雄
同行者:鹿児島県大隅地域振興局農林水産部曽於畑地かんがい農業推進センター
           農業普及課   野菜普及係長   藤崎成博(あきひろ)
                〃         野菜普及係技術主査   小濵美弘
〇部会について
  部会は現在100名の方が加入しており、延べ栽培面積はおおよそ28haです。
  部会は平成20年に、かごしま農林水産物認証(K-GAP)を取得し、かごしまブランド認定を受けています。その後、減農薬等を目指し、天敵導入(スワルスキーカブリダニ)を行いました。さらに土着天敵のタバコカスミカメを導入し、地域で活用できるマニュアルを作成する等、部会での横展開を図りました。

       
              生育中のピーマン
  部会の特徴的な取組として、志布志市農業公社で、全国各地からの新規参入希望者の研修(2年間)を受け入れることにより、若くて活気ある産地づくりを行い、地域活性化に貢献しています。また、部会員の皆様も新しい技術への取組意欲が高く、いち早くIPM技術の導入を行い、ピーマンだけでなく他作物(キュウリ、ナス等)への波及を図ることができました。
                       
                 タバコカスミカメの成虫                     ハウス内に植えたクレオメ

  今回は、部会の天敵研究会の会長である下前泰雄氏から、取組についてお話を伺いました。

(生産者概要)
   栽培面積   30a   4連棟ハウス(10a×3棟)
   生産量     10a当たり 13~14t程度
   従事者     夫婦2名、収穫期に1名雇用
   栽培品目  中早生品種ピーマン

(IPMへの取組)
  スワルスキーカブリダニ、タバコカスミカメ(土着)、アブラバチ、ヒメカメノコテントウ等を複合的に使用し、バンカー法、ハイブリッドバンカー法を導入して減農薬、省力化に取り組んでいます。
  バンカーとしては、ソルゴー、ゴマ、クレオメを使用しています。ハウス内へ直接植え付けるほか、ハウス横の露地で栽培し、土着のタバコカスミカメや餌となるヒエノアブラムシを増やして活用しています。
   
                  露地栽培のソルゴー

(特徴的な取組)
  長年の経験と的確な観察眼により、工夫し、より効果的な新たな手法を独自に実施しています。
  1つは、ハウス外で栽培するソルゴーに付いたヒエノアブラムシ等は、ハウスに導入する場合、アブラムシ単独で移動しても生存率が低いため、ソルゴー本体もハウス内に移植する手法であり、かなりの効果を上げています。
  2つ目は、土着のタバコカスミカメをハウス内に導入する場合、成虫はすぐに飛んで逃げてしまうため、植物を揺すって幼虫を収集し、集めた幼虫をバーミキュライトに混ぜ込んで、アブラムシの被害を受けているピーマンに振り撒くと、ピンポイントで撃退が可能となる手法です。
                 
    ハウス内に移植したアブラムシ付きソルゴー      幼虫を混ぜたバーミキュライト
     
        天敵研究会会長  下前泰雄  氏

(成果)
  このような取組については、鹿児島県大隅地域振興局農林水産部曽於畑地かんがい農業推進センターの担当者が取りまとめマニュアル化し、広く管内に横展開を図っています。その結果、販売金額がほぼ目標を達成する状況となりました。

お問合せ先

九州農政局鹿児島県拠点 地方参事官室

担当者:伊藤、野元
代表:099-222-7590