IPMを活用した環境に優しい栽培技術の優良事例についてその2
10月に訪問した時から数か月経過し、新たな天敵を導入したとのご連絡をいただき、引き続き下前泰雄氏から、ピーマンの生育状況や防除についてお話を伺いました。日時:令和7年2月4日(火曜日)
場所:10月と同じハウス
生産者:JAそお鹿児島ピーマン専門部会天敵研究会会長下前泰雄
(新たな天敵の導入)
12月から土着天敵のヒメカメノコテントウ、アブラバチを導入しており、ハウス内での活動を観察しました。順調に防除され、ピーマンの子実及び茎葉への被害は全く見られません。



アブラバチは寒くても平気で活動しますが、テントウムシは暖かくないと活動が鈍いので、組み合わせることにより、シーズン中アブラムシを効率よく抑えられます。
ヒメカメノコテントウは、成虫、幼虫ともにアブラムシを捕食し、アブラバチは、高確率でアブラムシに産卵します。そのため、アブラムシが全滅した際のアブラバチの餌用(蜜源)として、花の咲く植物も植えています。


(バンカーの更新)
アブラムシのバンカーは、主にソルゴーですが、アブラムシの食害により短命となります。そのため、ハウス内のソルゴーは数回改植する必要があり、状況判断をしながら、植え付け時期をずらしつつ植え替えを行っています。



(IPM農法の横展開)
JAそお鹿児島ピーマン部会内でのマニュアルの共有を行い、部会員のライングループで随時情報を共有しています。さらに県内のピーマン産地である
南さつま地区へも情報提供を行っています。
(まとめ)
今回2度の訪問を通して、それぞれ取り組む生産者が日々注意深く観察することで、IPM農法が進化していることが分かりました。以下、下前氏のまとめ文を引用します。
天敵は、放飼してから効果が現れるまで1か月半くらいかかる。
害虫が低密度でなければ天敵は効果を十分発揮できない。
天敵の効果が現れるまで害虫を低密度に抑える必要があるため、場合によって追加の薬剤散布が必要な場合がある。
事前に放飼計画を立て、それに合わせて薬剤散布の計画を立てる。スムーズな定着のためには、定着後3週間くらいで放飼する計画を立てる。
お問合せ先
九州農政局鹿児島県拠点 地方参事官室担当者:伊藤、野元
代表:099-222-7590