南種子町有機農業推進協議会における環境負荷低減への取組事例
種子島の南部に位置する南種子町では、南種子町有機農業推進協議会(令和3年12月設立)が中心となり環境にやさしい「環境負荷低減」の取り組みを行っています。野菜や水稲を栽培している中で安納いもと早期水稲について、同協議会の事務局である南種子町総合農政課から、取組内容や販売状況等についてお話をお聞きしました。今回は、その効果的な取組等について、ご紹介します。日時:令和7年6月4日(水曜日)
対応者:南種子町総合農政課農業振興係長
1《同協議会の設立経緯等について》
本町は、農業者の高齢化による担い手不足、耕作放棄地の拡大が深刻化しています。また、農地区画が狭小であり、営農の大規模化が困難な状況であ
ります。そして、近年では新規就農者の中には「有機農業」の希望者の増加が見られるところです。
このような状況の中で、基幹産業である農業の活性化を進めるため、有機農業を軸とした新規就農者の確保や遊休農地の解消に取り組むことなどを目
的に「南種子町有機農業推進協議会」を令和3年12月に設立しました。構成員は、南種子町、農業委員会、JA種子屋久、町環境保全型農業推進協議会(9団体)などとなっています。
2《環境負荷低減の取組内容》
【安納いも】
安納いもの栽培では、有機質資材の施用を行うなど化学農薬・肥料の使用量を低減する環境にやさしい栽培実証に取り組んでいます。
(具体的には次のとおり)
・畑に露地センサーを設置し、気温、地中温度、照度、土壌水分などの記録を取っています。
・土壌分析を実施することで、分析結果に基づく有機質資材の使用量などに役立っています。
・坪堀りを行うことで収量・品質の記録を行っています。

【早期水稲】
早期水稲については、有機栽培による取組面積の拡大を促すことを目標に、環境にやさしい栽培実証に取り組んでいます。(具体的には次のとおり)
・ほ場に水位・水温センサーを設置し、水位・水温の計測を行っています。
・アイガモロボ除草機や乗用除草機を活用することで、除草剤を使用しない取り組みを行っています。
・土壌分析を実施することで、分析結果に基づく有機質資材の使用量などに役立っています。

3《販売について》
町内にある物産館で環境にやさしい安納いもや早期水稲米を出荷販売することで地域ぐるみで産地形成に取り組んでいます。
また、環境にやさしい農産物を学校給食でも活用することで、地産地消の拡大を進めています。

4《課題等について》
環境にやさしい持続可能な栽培技術(特別栽培・有機栽培)については、慣行栽培と異なる部分も多いかとことから、生産者・関係者や各専門に来
ていただき、話し合いおよび実証作業を重ね、情報共有を行いながら新たな栽培歴の作成を進めています。
5《今後の対応について》
消費者へ有機農産物の購入機会を更に増やしていき、学校給食や町内の物産館を活用することで、有機農業への意識の醸成を図りたいと思います。
また、町内だけではなく島外への販売出荷することで知名度の向上を図り、町が一体となり南種子町産有機農産物のブランド化を推進して行きたいと
考えています。
お問合せ先
九州農政局鹿児島県拠点
代表:099-222-5840




