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九州農政局

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IPMを活用した環境に優しい農業の取組事例について

  JAいぶすきのエコオクラグループでは、農薬の使用を低減し、天敵となる昆虫等を活用した病害虫防除法であるIPM農法を活用したオクラのハウス栽培と露地栽培を行っています。今回は、JAいぶすき東部ブロック本部農産課の次長及び指導員から、取組状況やIPMの活用法についてお話を伺いました。JAいぶすき管内では、このIPM技術を活用し、現在23名の農業者がハウス栽培と露地栽培によるオクラを生産しています。今回は、その効果的な取組等について、ご紹介します。

日時:令和7年5月23日(金曜日)
場所:指宿市
対応者:JAいぶすき東部ブロック本部農産課  課次長  飯伏満博
                              同    園芸振興協議会   オクラ部会長  指導員  諸留駿平
〇 部会について
  部会は現在23名の方が加入しており、延べ栽培面積は6.4haです。
  部会は平成26年に、鹿児島県農業開発総合センター研究員の指導のもと、IPMの導入を開始しました。会員の多くは、みどりの食料システム法の認定を受けている農業者です。指宿市や県南薩地域振興局と連携しプロジェクトチームを立ち上げ、会員も徐々に増えていきました。こうした中、JAいぶすきでは、新規参入者にも取り組みやすくするため、栽培マニュアルである「オクラ栽培基準表(IPM用)」を作成しました。また、YouTubeでも説明動画を配信しています。

オクラと暮らす オクラのまち指宿←説明動画はこちら

 ハウス内で生育中のオクラ    露地栽培のオクラ

  部会の特徴的な取組としては、露地栽培でのIPM農法です。これが可能となった背景には、JAいぶすきの指導により、畑地の集約・団地化を行い、使用する農薬や肥料を統一したこと、また、霜の降りない温暖な地域特性があることが挙げられます。露地でのIPM農法を行った結果、周辺から天敵となる昆虫が集まる傾向もあることが分かってきました。

(IPMへの取組)
  ・土着天敵のテントウムシ類、寄生蜂、ヒラタアブ等を活用するほか、一部、コレマンアブラバチ、ヒメカメノコテントウ、スワルスキーカブリダニを天敵資材として購入し、天敵利用による防除を行っています。
ヒメカメノコテントウヒラタアブ
 
 ・アブラムシ等が好む植物を畑やハウス周辺に植え、その天敵を呼び込むバンカー法を導入して減農薬、省力化に取り組み、農薬散布は慣行栽培が7回のところを、2~3回に減少している結果となっています。バンカーとしては、ソルゴー、ソバ、エンバクを使用しており、ハウスと露地で栽培時期が異なるため、生育に合わせて播種しています。
ハウス内のバンカー(ソルゴー)  露地のバンカー(ソルゴー)

(特徴的な取組)
 ・消費者への認知度を高めるため、5月の連休に価値の創出と販売価格への反映に取り組むため、「道の駅いぶすき彩花菜館(さかなかん)」でのPR販売を実施しました。
 ・販売期間中は、ミニのぼり旗や動画、POP等を用いて販売コーナーを設置し、アンケートを行いました。

(今後の展望)
 ・現在、旧指宿市での取組が中心ですが、今後は、南薩地域全域まで範囲を広げ、農業者の取組を拡大していきたいと考えています。また、市の特産であるスナップエンドウへの活用へも繋げていきたいと思います。
 ・エコオクラの認知度を上げるため、今後さらに、特に消費者をターゲットに、道の駅や販売店でのPR活動を行いたいと考えています。

生育中のオクラ  開花後のオクラの花  エコオクラのパッケージ

お問合せ先

九州農政局鹿児島県拠点 地方参事官室

担当者:秋鷹、野元
代表:099-222-7590