米の生産、流通、消費に関係する方々にお集まりいただき、「米に関する懇談会」を開催しました。
令和7年9月16日(火曜日)に、九州農政局鹿児島県拠点の会議室において、米の生産、流通、消費に関係する方々にお集まりいただき、「米に関する懇談会」を開催しました。
最初に、九州農政局鹿児島県拠点から、最近の米をめぐる状況等について説明を行い、その後、出席者からそれぞれご意見等を伺いました。
説明資料はこちらから(PDF : 4,606KB)
出席者からは、米政策に関連して、米の生産(担い手の確保、基盤整備、品種開発、農業参入の促進、鳥獣被害対策など)のほか、価格、流通、水田
政策の見直し、加工用米など、幅広いご意見等が出されました。
主なご意見等は、次のとおりです。皆さん、ありがとうございました。
【米の生産について】
・主食用米の価格高騰により、地域の農家の米の生産意欲は高まっている。ほとんどの農家は、田植え機やコンバインは所有しているが、乾燥調製や
籾摺りの機械は所有しておらず、当方の施設を利用することになるが、処理能力が足りなくなるのではといった課題あり。また、高齢農家も多く、
機械の更新時にリタイヤする者が続出すると考えており、5年くらい先を見通して、地域の営農体系をどうするかも考えなければならない。
・中山間地域では、農家の高齢化がかなり進んでいる。高齢農家からは「地代はいらないので、耕作してもらえないか。」といった要望ある。
鹿児島県の主食用米の生産の目安は9万トンと設定され、 これを目標に生産を誘導しているが、生産力が弱ってきているのは明らかであり、
目安を達成するのか難しい。
・主食用米の価格高騰により、地域の農家の皆さんは米の生産意欲が高まっている。一方、高齢化も急速に進んでおり、米の生産をどのようにして
集約していくのか、コストを下げていくのかが課題。
中山間地域では、小規模なほ場が多く、人手をかけても規模拡大には限界があるので、基盤整備を急いでほしい。
・ 鹿児島県は米の移入県であり、県内需要を満たすために、他県も回って米の集荷対策を行っている。県内でも、米を安定的に生産してもらう体制
を構築していくことが重要。小規模農家が多い中で、小規模農家の農地をまとめて大区画化を進めていくことが必要であり、国もそのような体制
づくりに力を入れてほしい。
・ 今後の原料米の調達をどうするかを考えているメーカーの中には、自社生産を検討したいという動きもある。地域の農家と協働して米を生産する
取組が進めば、稲作を継続する体制の構築にもつながるので、国も民間の農業参入を推進する支援を強化してほしい。
・ 学校給食などの現場をみると、おいしいご飯を食べたいという声が多い。学校給食の初期は、アメリカ産小麦でパン食が主だったが、現在は、
米飯給食が普及している。病院〇福祉施設も同様で、主食は米飯という意識は強い。物価高騰の中で、給食費など予算に制限がある運営を求められ
る場合、望ましくは、できるだけ安くて美味しい米を大量に安定的に調達できるような環境が必要。そのような米の品種を開発してほしい。
・ 中山間地域は、鳥獣被害も深刻。猟友会のメンバーも高齢化するとともに、減少しており、イノシシなどの捕獲が進まないのが現状。例えば、
捕獲の単価を上げ、捕獲を商いとして人を雇用して運営する組織を立ち上げることを支援するとか、対策を強化していかなければ、米づくりも
やがて難しくなる。
【米の価格について】
・ 米の価格が高いのは、農業経営上、利益が出るので良いことではあるが、出荷時の価格よりはるかに高い価格で流通すると、消費者の米離れになっ
てしまい、本末転倒。
・ 米の価格については、他の食品の価格が上がっていく中で、米は主食だから値上げをしないでほしいといった消費者の声も踏まえ、据え置かれて
きた経緯がある。
米も商品なので生産するには原価がかかる。
資材費や人件費等が上がれば、 米の値段も上がるのは当然。時勢に合った価格形成となるのが良い。
・ 米の価格について、消費者は、精米5kgについてどのくらいの値ごろ感で買いたいと考えているかを知りたい。極端に安い米は生産できないが、
農家もコストを下げれば、精米5kgで3千円台の米にはなるのではと考えている。
・ 米が店頭にないのは困るが、米も商品であり、生産するには経費が掛かり、農家の苦労もわかるので、少々高くても、おいしい米が食べたい。
精米5kgで5,000円の米で何食分あるのかということを消費者も考えるべき。
1食に換算すると、パンに比べれば米の方が安い。
・ 公立学校は、文部科学省の支援があるのでまだ良いが、私立学校は国からの支援がないので、米の価格が高騰すると、給食を止めるといった動きも
出てきている。
【米の流通について】
・ 今後の米政策を考えると、集荷・販売事業者の米の取扱いがどうなっているのか、どのように流通しているのかなどを把握していくことが必要。
JAなどの集荷業者は、定期的な報告義務があるが、スポットで集荷する業者については野ざらしになっているのではないか。一定の取扱量がある者
には報告を義務付け、米の流通を見える化すべき。
・ 消費者の中には、米はできるだけ安く買いたいという方も多く、当店では、そのような消費者のニーズに対応するため、政府備蓄米を販売してい
る。
政府備蓄米の販売が完了すると、それよりも高い米の仕入れが主流となる。
できるだけ、県産米を仕入れて販売したいが、安い米を求める消費者の期待に応えるためには、外国産米も店頭に並べることも検討せざると得な
い。
【水田政策の見直しについて】
・ 水田政策については、令和9年度から根本的に見直し、水田、畑に関わらず、生産性の向上に取り組む者の支援に見直すとのこと。具体的な姿は、
来年の夏には示されるような報道がある。こうした中で、現場の農家は、WCS用稲から主食用米に切り替えるといった動きもあり、そうなると、
8年産からでも、飼料作物の生産は畑に頼らなければならなくなる。
政策の見直しは、農地の利用調整にも密接に関係するので、できれば、年内にでも見直しの青写真を示してほしい。
【加工用米について】
・ 焼酎の生産量は、さつまいもの基腐病が落ち着いてきたこともあり、ここ3年くらいは増加していた。しかし、米の価格高騰の影響で、ふるい下米
も値上がりし、また、加工用米の不足もあり、焼酎の生産量は4年ぶりに下がる傾向。このような中で、政府備蓄米の加工用向けの販売も始めても
らったが、タイミングが遅く、今年の仕込みには間に合わなかった。
政府備蓄米は底をついて来ており、来年も政府備蓄米の加工用向けの販売が継続されるかは不安。焼酎原料には、さつまいも5に対して1の割合で
米を使用する。
来年に向けては、安価な加工用米の生産が拡大するよう、国の支援を強化してほしい。
・ トランプ関税との関係で、MA米については、77万トンの中で、アメリカの枠を拡大するという方針が決定されている。焼酎メーカーは、国産米の確
保が難しいときの原料米の調達を、MA米のタイ米に頼っている。アメリカの枠の拡大により、タイ米の調達ができなくなるといった問題が生じない
ように調整してほしい。
お問合せ先
九州農政局鹿児島県拠点
代表:099-222-5840




