よくあるご質問(輸入編)
植物の輸入に関して、植物防疫所に寄せられる質問の中から、よくあるものを集めてご紹介します。
また、『植物検疫制度の見直し』に関する「よくあるご質問 FAQ」もあわせてご覧ください。
1 輸入の条件確認
2 申請(必要書類等)
Q1 | : | 植物を日本に輸入するにあたって、用意しておく必要のある書類にはどのようなものがありますか? |
Q2 | : | 「検査証明書(phytosanitary certificate)」とはどのようなものですか? |
Q3 | : | 「検査証明書(phytosanitary certificate)」はコピーでもよいのですか? |
Q4 | : | 検査証明書の様式が正しいかは、どのように確認しているのですか? |
3 検査
4 隔離栽培
5 不合格時の対応(消毒等)
1 輸入の条件確認
Q1 | : | 日本で植物検疫上、輸入の数量制限をしているものはありますか? |
A | : | とくにありません。ただし、隔離検疫が必要な植物の中には、隔離場所、検定植物の数量など、受け入れ限度を超えてしまう場合がありますので、輸入前に植物防疫所にご相談ください。 |
Q2 | : | 生果実がついたままの苗木は、そのままの状態で日本に輸入できますか? |
A | : | 生果実については、植物の種類や国・地域によって日本への輸入を禁止しているものがあります。そのような生果実がついた苗木は輸入することができません。また、苗木自体にも輸入が禁止されているもの、輸出国での栽培地検査等が必要なものがあります。詳しくは、このホームページの中にある「植物防疫法施行規則別表二(輸入禁止品)」、「>植物防疫法施行規則別表一の二(栽培地検査)」及び「植物防疫法施行規則別表二の二(輸出国での特別な検疫措置)」をご参照ください。 また、「苗木」については「隔離栽培」が必要な場合があります。詳しくは、「隔離検疫が必要な植物について」をご参照ください。 |
Q3 | : | 土が付いたままの植物は日本に輸入できますか? |
A | : | 土が付着した植物は、日本への輸入が禁止されています。輸入する場合には土を完全に取りのぞいてください。 |
Q4 | : | 鉢植え植物を輸入する際の植え込み材料や、苗木の根回りの包装としては、どのようなものが使用できますか? |
A | : | 植え込み材料としては、ピートモス、ミズゴケ、パーライト、バーミキュライト等が一般に使用できます。ただし、植物検査の際に土とはっきり区別できるように、新しい材料を使用するようにしてください。苗木の根回りの包装にはピートモスやミズゴケが使用できます。その際、土を完全に除去してから使用してください。また、イネワラや土は輸入が禁止されているので、植え込み材料等には使用できません。詳しくは、植物防疫所にお問い合わせください。 |
Q5 | : | 種子を輸入する場合には、どのようなことに注意したらよいでしょうか? | |
A | : | 輸出国の植物防疫機関によって検査を受け、病害虫が付着していないことを証明する「検査証明書(植物検疫証明書又はphytosanitary certificateともいいます。)」の交付を受けた上で種子を輸入してください。 また、種子(植物)の種類や生産国によって、対象とする病気に感染(汚染)していないことを確認するため、生育期中における栽培地検査や血清学的手法・遺伝子的手法による検定が必要となることがあります。この場合、検査証明書には、検査等の結果、病害虫の発生がない旨又は適切な検疫措置が講じられた旨の記載が必要となります。具体的な種類等については、このホームページの中にある「植物防疫法施行規則別表一の二(栽培地検査)」及び「植物防疫法施行規則別表二の二(輸出国での特別な検疫措置)」をご参照ください。 栽培地検査等が不要な種子については、病害虫が付着していないこと、菌核や麦角、土などが混入していないことが条件となります。 |
Q6 | : | 苗木や種子を輸入する場合、輸出国において消毒を行う必要はありますか? |
A | : | 輸出国側において、くん蒸剤や薬剤粉衣などを使用する必要はありません。もし輸出国で自主的に消毒した場合には、現地の植物防疫機関に申し出て、消毒方法や薬剤名等を処理欄に記入した「検査証明書(植物検疫証明書又はphytosanitary certificateとも言います。)」を発給してもらうようにしてください。 |
Q7 | : | コーティングした種子を輸入する際には、何に注意すればよいでしょうか? |
A | : | コーティングされた種子は、検査に必要な数量だけをコーティングを取りのぞいて検査を実施します。インボイスなどの書類にコーティングの材料名が記されていると、検査の際に作業を迅速に進めることができます。 |
Q8 | : | 日本に輸入できる切花の種類にはどのようなものがありますか? |
A | : | ほとんどの種類の切花は輸入できます。ただし、生果実が付着している切花や、ナス科、アザミ属、モウズイカ属などの切花については、国や地域によって輸入が禁止されている場合があります。また、サクラ属などの切り枝やダリア、ペチュニアなどの切花についても、国や地域によって輸出国での栽培地検査や輸出国での特別な検疫措置が必要な場合があります。詳しくは、「植物防疫法施行規則別表二(輸入禁止品)」、「植物防疫法施行規則別表一の二(栽培地検査)」及び「植物防疫法施行規則別表二の二(輸出国での特別な検疫措置)」をご参照ください。 |
Q9 | : | ジャガイモやサツマイモは日本に輸入できますか? |
A | : | 特定の国・地域からは、ジャガイモやサツマイモを日本に輸入できません(植物防疫法施行規則別表二(輸入禁止品)参照)。輸入を禁止していない国・地域からであっても、栽培地検査等の輸出国での措置が必要な場合があります。詳しくは、このホームページの中にある「植物防疫法施行規則別表一の二(栽培地検査)」及び「植物防疫法施行規則別表二の二(輸出国での特別な検疫措置)」をご参照ください。また、輸入検査を受けた後、国内の隔離ほ場で1作期間以上の隔離検疫が必要となります。詳しくは、「隔離検疫が必要な植物について」をご参照ください。 |
Q10 | : | 野菜は輸入できますか? |
A | : | 国や地域によって、輸入できるものとできないものがあります。詳しくは、植物防疫所にお問い合わせください。 |
Q11 | : | 中国から干し柿を輸入したいのですが、検査は必要でしょうか? |
A | : | 中身があめ色で表面に粉がふいている干し柿は検査不要品です。しかし、あんぽ柿のような半生状態のものについては、輸入禁止品となります。 |
Q12 | : | 海外からのしめ縄は輸入できますか? |
A | : | しめ縄に使用されている植物の種類や輸入する国や地域によって輸入条件が異なります。例えばイグサやアシなどで作られたしめ縄は輸入できます。 一方、イネワラで作られたもの、あるいはイグサやアシなどで作られていても、芯材等その一部にイネワラが使用されている場合は禁止品です。そのため、しめ縄については、使用されている植物の種類に関わらず検査を行い、輸入禁止品に該当するか否か確認をしていますので、詳しくは植物防疫所へお問い合わせください。 なお、台湾及び朝鮮半島から「検査証明書(植物検疫証明書又はphytosanitary certificateとも言います。)」が添付されたイネワラ並びに日本と中国との植物防疫機関の合意に基づく蒸熱処理施設で消毒されたことが記載された検査証明書が添付されたイネワラは輸入できます。 |
Q13 | : | ピートモスは輸入できますか? |
A | : | ピートモス(草炭)は国や地域に関係なく輸入可能ですが、検査の対象となります。しかし、ピートモスに土壌が混入していると輸入禁止となります。 |
Q14 | : | 輸入が禁止されている果実でも冷凍すれば輸入できるのでしょうか? |
A | : | 単なる冷凍だけでは輸入することはできません。輸入するためには、次の条件をすべて満たした凍結果実であることが必要です。 1. 輸出国の施設で-17.8℃(華氏0度)以下で凍結されていること。 2. 1.の凍結状態が日本での植物検査の時点まで維持されていること。 |
Q15 | : | 調整した野菜類をビニールパック詰めなどの密閉容器に入れて輸入したいのですが、どのような点に注意すればよいでしょうか? |
A | : | 輸出国の植物防疫機関が発行した「検査証明書(植物検疫証明書又はphytosanitary certificateとも言います。)」を添付する必要があります。検査は開封して実施しますが、検疫病害虫等が発見され消毒する場合にはすべての包装を開封することになります。 |
Q16 | : | 穀類や豆類を輸入する場合、輸出前や航海中での消毒は必要ですか? |
A | : | 必要ありません。 |
Q17 | : | アメリカ合衆国産の乾燥牧草を輸出する前に消毒が行われることがありますが、それはなぜですか? |
A | : | アメリカ合衆国では、日本には発生していない害虫であるヘシアンバエが発生しており、その寄主植物であるおおむぎ属・こむぎ属・らいむぎ属・かもじぐさ属の茎葉は輸入が禁止されています。牧草にこれらの茎葉が混入していると日本への輸入ができないため、日米の植物防疫機関の合意によって、燐化アルミニウムでのくん蒸による消毒と、その旨を「検査証明書(植物検疫証明書又はphytosanitary certificateとも言います。)」に記載することが規定されてます。 もちろん、おおむぎ属・こむぎ属・らいむぎ属・かもじぐさ属の茎葉が混入していない牧草にはこのくん蒸は必要ありません。 |
Q18 | : | 輸出国での栽培地検査が必要な苗や種子があると聞きましたが、どのような種類が対象となるのでしょうか? |
A | : | 生産国内での栽培地検査が必要とされる病害虫の条件は、重大な影響を及ぼす病害虫であり、現在のところ日本の輸入植物検査において的確な検査方法が確立されていないものの、生産地のほ場で栽培中に検査が可能なものが対象となっています。詳しくは、このホームページの中にある「栽培地検査対象植物一覧表(植物防疫法施行規則別表一の二)」をご参照ください。このような栽培地検査を必要とする苗や種子を輸入する場合には、生産国の植物防疫機関による検査を受け、栽培地検査において該当する病害虫が発生していない旨記載された「検査証明書(植物検疫証明書又はphytosanitary certificateとも言います。)」を取得してください。 |
Q19 | : | 試験管やフラスコ等のin vitroで培養し封入したものでも、検査の対象となるのでしょうか? |
A | : | 検査の対象となります。なお、輸入禁止品であっても無菌的に培養されており、植物検査の際にもin vitroの状態が確認できるのであれば、輸入禁止品から除外できる場合があります。また、輸入検査の際は、輸出国が発行する「検査証明書(植物検疫証明書又はphytosanitary certificateとも言います。)」のほかに、組織培養体の作出方法等に関する資料の提出が必要となります。詳しくは、植物防疫所にお問い合わせください。 |
Q20 | : | 試験管やフラスコ内で無菌的に培養された組織培養体についても、やはり栽培地検査は必要でしょうか? |
A | : | 栽培地検査の対象となる検疫有害動植物が線虫、糸状菌及び細菌の場合については、栽培地検査は必要としませんが、輸出国の植物防疫機関が発行する「検査証明書」の他に組織培養体の作出方法等に関する資料が必要となります。また、対象がウイルス及びウイロイドの場合については栽培地検査が必要となり、輸出国の植物防疫機関が発行する「検査証明書(植物検疫証明書又はphytosanitary certificateとも言います。)」には栽培地検査を行った旨の追記が必要となります。詳しくは植物防疫所にお問い合わせください。 |
Q21 | : | メキシコ産の果物や野菜を日本向けに輸出する際に条件が付けられるのはなぜでしょうか。また、どのような条件がありますか? |
A | : | メキシコのコリマ州及びチアパス州の一部地域に輸入禁止対象害虫であるチチュウカイミバエが発生しており、現在根絶事業が推進されていることから、メキシコ側で以下の措置を取ることが日本とメキシコ政府との間で取り決められています。 1. コリマ州及びチアパス州内において生産されたチチュウカイミバエの寄主植物に係る検査証明書(植物検疫証明書又はphytosanitary certificateともいいます。)の発給停止 2. コリマ州及びチアパス州以外で生産されたチチュウカイミバエの寄主植物に係る検査証明書(植物検疫証明書)の記載方法 (1)追加記載欄に次のように記載すること。
「積荷は、コリマ州及びチアパス州以外の州において生産されたものである」
(2)積荷明細の「生産地」の項に次のように記載すること。
「メキシコ(州名)」
また、上記に加え、メキシコには、日本に発生していないメキシコミバエ(学名:Anastrepha ludens)及びミナミアメリカミバエ(学名:Anastrepha fraterculus)等のアナストレファ(Anastrepha)属ミバエが分布しており、これらの寄主植物の生果実の輸入に当たっては、農林水産省消費・安全局植物防疫課長の認定を受けた作業計画(ワークプラン)に基づいた検疫措置が必要となっています(植物防疫法施行規則別表二の二(輸出国での特別な検疫措置)参照)。現在、メキシコ産のマンゴウ、オレンジ、グレープフルーツ、マンダリンの生果実については、作業計画がありますので、詳しくは植物防疫所までお問い合わせください。 |
Q22 | : | チリ産の果物や野菜を日本向けに輸出する際に条件が付けられるのはなぜでしょうか。また、どのような条件がありますか? |
A | : | 現在、チリの一部地域(Atacama州Copiapo郡、Metropolitan州Maipo郡、同州Santiago郡、同州Talagante郡、Valparaiso州Los Andes郡及び同州San Felipe de Aconcagua郡内の一部地域)にチチュウカイミバエが発生しており、チリ政府による緊急措置が講じられているところです。このため、チリ側で以下の措置をとることが、日本とチリ政府との間で取り決められています。 1. 検査証明書(植物検疫証明書又はphytosanitary certificateとも言います。)には、生産州(Region)及び郡名(Province)を記載すること。また、検疫規制地域が含まれる生産郡で生産されたチチュウカイミバエの寄主植物に対しては、検疫規制地域からの生産物ではないことを証明するため、「This fresh fruits have not been grown in the area where quarantine regulations apply.(生果実は検疫規制地域内で生産されたものではない)」旨を検査証明書に記載すること。なお、生産された州名及び郡名がなく、検査証明書の追記がない場合には、廃棄となります(発見日以前に発給された検査証明書が添付されたチチュウカイミバエの寄主となる植物については、通常の倍量を抽出して検査を実施します)。 2. チチュウカイミバエの寄主植物が検疫規制地域内を経由する場合については、密閉型コンテナー等によりチチュウカイミバエの侵入防止措置を施すこと。 |
Q23 | : | 成熟したバナナの判断基準はありますか? |
A | : | 「成熟したバナナ」とは、「黄熟した(黄色に着色した)バナナ」又は「表皮は青色又は黒色であっても果肉が黄色軟化しているバナナ」を言い、原則として黄化した(黄色に着色した)バナナとは、ハーフイエロー(カラーチャート(PDF : 64KB)参照)以上に黄色に着色したものを言います。 ただし、黄色とならない品種や、色抜けの早いバナナ品種については、別途判断基準の策定に向けて調査中です。 なお、「一房中に1~2本の表皮が黄色く着色しているが、果肉が黄色軟化していないもの」は成熟したバナナから除かれています。 |
Q24 | : | クルミ属の木材の輸入に際して条件はありますか? |
A | : | コドリンガが発生している国や地域(植物防疫法施行規則別表二(輸入禁止品)の五の項)を産地とするクルミ属の木材を輸入する場合、「The shipment has been inspected and any developmental stages of Codling Moth (Cydia pomonella) was not detected.(コドリンガのいかなる態も付着していない)」旨の追記がなされた原産国が発給する検査証明書を添付してください。 詳細は植物防疫所へお問い合わせください。 |
2 申請(必要書類等)
Q1 | : | 植物を日本に輸入するにあたって、用意しておく必要のある書類にはどのようなものがありますか? |
A | : | 輸出国の植物防疫機関が発行した「検査証明書(植物検疫証明書又はphytosanitary certificateとも言います。)」が必要です。なお、検査荷口を特定するための関係書類(B/L、インボイス等の写し)が必要になる場合もあります。また、1つの貨物に多数の品目や品種(多種類の苗木、多種類の種子、多種類の切花など)がある場合には、パッキングリストが必要になります。 |
Q2 | : | 「検査証明書(phytosanitary certificate)」とはどのようなものですか? |
A | : | 植物を輸入しようとする際には、輸出国政府が発行する「検査証明書(植物検疫証明書又はphytosanitary certificateとも言います。)」が必要となります。これは、輸出国政府の植物防疫機関の検査を受け、合格となった植物に発行されるもので、国際植物防疫条約によって定められています。この「検査証明書」を「輸入植物検査申請書」に添付してご提出いただきます。 注)輸出国政府の植物防疫機関に輸出検査の申請をする際、輸出国によっては、日本の輸入許可証を求められる場合がありますが、輸入禁止品以外の植物であれば、日本の輸入許可証は必要ありません。なお、輸入禁止品については、こちら「輸入の禁止について」をご覧ください。 |
Q3 | : | 「検査証明書(phytosanitary certificate)」はコピーでもよいのですか? |
A | : | 国際植物防疫条約では、輸入国側に提出される「検査証明書(植物検疫証明書又はphytosanitary certificateとも言います。)」は原本と規定されています。日本では、原本が紛失した場合や原本の到着が遅れた場合を考慮して、原本以外には次の3つのいずれかを有効としています。 1. 副本及び原本と同時に作成される原本の「同時カーボンコピー」 2. コピーで輸出国の植物防疫機関が原本と同一であると証明したもの 3. 検査証明書の電子媒体で輸出国の植物防疫機関が作成したと認められるもの いずれにしても、「検査証明書」の原本は大切なものですから、紛失や破損をしないように注意し、日本において植物検査を申請する際に植物防疫所に提出してください。 |
Q4 | : | 検査証明書の様式が正しいかは、どのように確認しているのですか? |
A | : | 植物防疫法第6条に定める検査証明書(植物検疫証明書又はphytosanitary certificateともいいます。検査証明書及び再輸出検査証明書並びにそれらの添付書類を含む。以下同じ。)の様式(機関印を含む。以下同じ。)が正しいかは、輸入検査を実施する植物防疫所において、次に掲げる情報源から取得した検査証明書様式と比較することにより確認します。 1. 輸出国政府機関から農林水産省消費・安全局植物防疫課に提供された検査証明書様式 2. 輸出国政府機関のホームページに掲載されている当該輸出国の検査証明書様式 3. 国際植物防疫条約事務局のホームページ(https://www.ippc.int/en/)に掲載されている加盟国の検査証明書様式 4. 輸出国政府機関に確認し、正しいことが確認された当該輸出国の検査証明書様式 検査証明書様式が正しいか確認した結果、輸出国政府機関が定める検査証明書様式であると認めることができた場合は、輸入検疫手続を行います。確認の結果、輸出国政府機関が定める検査証明書様式かどうか不明な場合は、当該輸出国政府機関に確認します。なお、当該輸出国政府機関が定める検査証明書様式であると認められるまでの間は、植物防疫法第6条第1項を根拠に輸入検疫手続を停止します。 |
3 検査
Q1 | : | 輸入された植物はすべて検査されるのですか?また、同じ地区や農場で生産された同じ植物の場合でも、輸入の都度検査する必要があるのでしょうか? |
A | : | 農産物は管理された工場で均一生産された工業製品とは異なり、気象、栽培状況、保管状況などさまざまな要因でそれに付着する病害虫の種類や状態が変化するので、輸入の都度、検査する必要があります。検査する数量については、全量検査する植物と抽出検査する植物とがあります。カンキツ類やリンゴなどの果樹苗木(穂木も含む)などは全量検査を行います。それ以外の植物は、すべて抽出検査です。抽出される数量は、統計理論に基づき、植物の種類、寄生する病害虫の種類、荷口の大きさによって決定されています。詳しくは、植物防疫所にお問い合わせください。 |
Q2 | : | 輸入植物の検査が終わらないと食品検査は受けられないのですか? |
A | : | そのようなことはありません。輸入者から申し出があり、検査時間の調整など受検体制が整っていれば、両方の検査を同時に受けることができます。詳しくは、植物防疫所までお問い合わせください。 |
Q3 | : | シードマットやシードテープのように特殊な加工がなされているものについては、どのように検査するのですか? |
A | : | 特殊な加工による種子であっても、通常の種子と同様に検査対象となります。具体的には、シードマット等から種子を取り出して、規定数量を検査することとなります。 |
Q4 | : | 輸入検査は1本船分や1貨物分をまとめて検査するのですか? |
A | : | 「検査荷口」を設けて、荷口ごとに病害虫の有無やその種類を検査しています。「検査荷口」は植物の種類によって異なりますが、生産国別、輸出港別、輸出者別、輸入者別、種別(種類別)に区分しているものもあります。 |
Q5 | : | ポット植え植物の検査はどのように行うのですか? |
A | : | 検査に必要な数量分をポットから取り外し、根回りと植え込み材料についても検査を行います。 |
Q6 | : | 種子の検査の内容と期間について教えてください。 |
A | : | まず、到着した海空港において病害虫を主とした一次検査を行います。次に植物防疫所の検定室で顕微鏡による観察や培養などによる精密検査によって伝染性病害について調べます。培養による精密検査には、最低5~7日間を要します。 |
Q7 | : | 輸入された植物の輸入検査の順番はどのように決められるのですか? |
A | : | 「輸入植物検査申請書」が提出されて、受検準備ができた順番に検査が実施されます。「輸入植物検査申請書」の記載ミスなどがありますと、検査の実施に遅れを生じる場合があるので注意してください。 |
Q8 | : | 動物の輸送時に餌として使用するアワやヒエの種子や、敷きワラなども輸入検査の対象となるのでしょうか? |
A | : | 検査対象となります。とくに注意していただきたいのは、生果実、イネ、イネワラ、モミ、モミガラ、ムギワラなどについては、国や地域によって日本への輸入が禁止されているものがあります。詳しくは、「輸入禁止品一覧表(植物防疫法施行規則別表二)」をご参照ください。 |
Q9 | : | 外航船からおろしたコンテナー詰め植物を、おろした港で検査を受けることなく、最終目的港で受検することは可能でしょうか? |
A | : | それにはいくつかの条件がありますが、事前に「積替届」を植物防疫所に提出する必要があります。ただし、陸上輸送はできません。詳しくは、植物防疫所へお問い合わせください。 |
Q10 | : | 輸入検査にはどのくらい時間がかかりますか? |
A | : | 植物の種類や貨物の量などによって異なりますが、例を挙げると、短いもので10~20分程度、専用船で輸入された生果実などの場合には半日かかるものもあります。なお、2次検査が必要な種子や隔離検疫対象植物は、さらに日数や期間を必要とします。 |
Q11 | : | 日本では土曜日、日曜日、祝日も輸入植物の検査を行っていますか? |
A | : | 航空貨物の場合、休日(土曜日、日曜日、祝日)も航空機が入港する成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、関西国際空港、福岡空港などでは検査を実施しています。海港の場合、休日は民間の荷役や輸送が行われないので、通常、植物検査は実施していませんが、海港の場合も、全国の中枢港をはじめとして要望に応じて検査を実施しております。あらかじめ植物防疫所にご相談ください。 |
Q12 | : | 輸入検査に手数料は必要ですか? |
A | : | 必要ありません。その他、植物検疫の手続において、国は手数料を一切徴収していません。 |
4 隔離栽培
Q1 | : | 隔離栽培とはどのようなものですか? |
A | : | 海空港での検査だけでは発見するのが難しい植物のウイルス病等を判定するため、国内に特別に設けられた隔離ほ場(球根類、サトウキビやパインアップル苗などは、植物防疫所の許可を受けた栽培地でも可能です。)で植物を栽培することです。隔離栽培の対象となるのは、次のようなものです。詳しくは、「隔離栽培が必要な植物について」を参照ください。 1. ユリやチューリップ、ヒヤシンス等の球根類 2. ジャガイモの塊茎やサツマイモの塊根 3. カンキツ類、リンゴ、ナシ、ブドウなどの果樹の苗木や穂木 4. オランダイチゴ、サトウキビ、パインアップルの苗や穂木 |
Q2 | : | 隔離栽培の期間はどのくらいですか? |
A | : | 果樹苗木類については1年以上、球根類やイモ類、サトウキビやパインアップルの苗などは最低1作期間が必要です。 |
Q3 | : | 隔離栽培はどこで行われますか? |
A | : | 国内6カ所に設けられた、植物防疫所の隔離ほ場で実施されます。ただし、ブドウの苗、球根類、サトウキビやパインアップルの苗などは、一定の条件を満たせば民間の施設又はほ場でも隔離栽培が可能です。 |
Q4 | : | 隔離栽培で不合格になった場合には、その植物はどうなりますか? |
A | : | ウイルス等の感染が認められ不合格になった植物は、廃棄されることになります。薬剤等による消毒は、認められておりません。 |
Q5 | : | 苗木や球根の組織培養体を輸入する場合にも隔離栽培は必要でしょうか? |
A | : | 組織培養体であっても、ウイルスが完全に除去されていない場合がありますので、隔離栽培は必要となります。 |
Q6 | : | 隔離栽培には料金は必要ですか? |
A | : | 国が管理するほ場で行う隔離栽培については、手数料等はかかりません。ただし、植物の栽培に必要な農薬や肥料等について、輸入者の自己負担となる場合があります。また、民間の施設又はほ場での隔離栽培の維持・管理に要する費用は申請者の負担となります。一方、検定に係る費用(検定用試薬・植物防疫官の出張費用等)については、国が負担します。 |
Q7 | : | 球根類については隔離栽培が免除される制度があるそうですが、どのようなものか教えてください。 |
A | : | 隔離栽培代替措置制度と呼ばれるもので、輸出国の植物防疫機関と日本の植物防疫機関との合意によって行われるものです。つまり、輸出国の植物防疫機関によって栽培地検査が実施され、日本の植物防疫官によって確認されたものを日本国内で行う栽培地検査に代える制度です。詳しくは、このホームページの中にある「球根の隔離栽培代替制度について」をご参照ください。 |
ブドウ苗を民間施設で隔離栽培する場合
Q8 | : | ブドウ苗の民間施設での隔離栽培が認められた場合、1社あたりの検査可能数量に制限はありますか。 |
A | : | 民間施設の管理可能数量により制限されることとなります。 ただし、植物防疫所における検査のための試薬の準備等の都合もありますので、輸入本数については、事前に確認させていただく必要があります。 |
Q9 | : | ブドウ苗はいつまでに輸入すれば、年度内に隔離検疫が終了しますか。 |
A | : | 検査を開始するためには、検査可能となるまで植物が生育する必要があります。北半球から輸入される苗木の場合は、3月中に植付けが完了し、苗木の生育が良好であれば4月頃から検査を開始し、概ね年度内に検査が終了します。 また、南半球産の苗木は、一般的に7月頃から輸入されますが、1年目は苗木が十分に生育せず病徴観察ができないことから、翌年まで継続して検査する必要があるため、2年目の落葉期頃までが検査期間とお考えください。 ただし、いずれの場合も検査開始時期は、苗木の生育速度に依存するため、生育状況によっては期間を延長する場合もありますので、ご了承下さい。また、穂木の場合は、苗木よりも生育に時間がかかりますので、概ね2年を要する場合があります。 |
Q10 | : | ブドウ苗以外の植物についても民間施設で隔離栽培することは可能ですか。 |
A | : | 隔離栽培対象となる種苗のうち、花き球根類、サトウキビ、パインアップル、ブルーベリーについては、既に一定の条件のもとに民間施設での隔離栽培が認められています。その他の隔離栽培対象植物については、いも類及び病害虫の伝染経路等から民間ほ場での隔離栽培が困難であるとして、横浜植物防疫所長が定める植物(該当する病害の発生国から輸入される植物)を除いて可能です。 ただし、植物によって栽培方法や検定植物等が異なるため、実施にあたっては、ブドウと同様に植物毎に具体的にどのように検査を行うか検討が必要です。 なお、検査の迅速化・省力化・大量検定化については、対象となる病害のリスクや検査の信頼性を考慮しながら検討を行っているところです。 |
Q11 | : | 民間施設においてブドウ苗を隔離栽培することを希望する場合、隔離栽培を申請してから許可が下りるまでにどれくらいの期間がかかりますか。 |
A | : | 施設の設置要件等(設置場所及び施設設備)については、申請にあたり事前に十分な打合せが必要となります。その上で、申請後、書類審査、現地調査、調査結果とりまとめ等が必要となり、2ヶ月程度を要します。 なお、現地調査で施設設備等が基準を満たさないことが確認された場合は、補修・修理等が必要となることから、補修・修理後、再申請していただき、再度現地調査を実施することとなります。 |
Q12 | : | どうしても殺菌処理設備を施設に隣接して設置できない場合は、どうすればよいですか。 |
A | : | 不合格となった植物及び剪定された植物の部分は、病害虫の分散防止のため移動することなく処置することが好ましいのですが、高圧殺菌等の設備が施設に隣接できない場合は、個別に植物防疫所へご相談ください。 なお、高圧殺菌されたものについては、施設外の公共の焼却炉等で処分することに問題はありません。ただし、焼却炉については、ダイオキシン等他の法令で問題となる点もあるので、他の法令も遵守されている必要があります。 |
Q13 | : | ブドウ苗の隔離栽培施設の管理者の認定に資格等は必要ですか。 |
A | : | 事前の審査、学歴等については必要ありませんが、輸入者が責任を持って管理責任者として的確であると判断した方を植物防疫所に届け出ていただく必要があります。具体的な要件は、ア.植物防疫官の指示が的確に遵守・実行できる、イ.病害虫に対する知識があり、病害虫の防除等、栽培管理が的確に行える、ウ.当該指定ほ場を責任もって管理・運営できる方となります。 |
Q14 | : | 隔離栽培の命令を受けたブドウ苗が複数ある場合に同一の部屋で管理することはできますか。 |
A | : | 複数の隔離栽培の命令を受けた植物は、病害虫管理、分散防止の面から、原則として個々の部屋で管理する必要があります。しかし、施設の規模等の状況によっては同一の部屋でしか管理できない場合、植物防疫官に申し出、植物防疫官の指示に基づき、病害虫の分散に十分留意して同一の部屋で管理することも可能です。 |
5 不合格時の対応(消毒等)
Q1 | : | 検査で不合格になった植物がどのような病害虫によるものか知りたいときにはどうすればよいのですか? |
A | : | 検査結果は、検査後速やかに植物防疫官から輸入者又は代理人にお伝えしますが、その方法のひとつとして、発見された検疫有害動植物名を記載した「消毒(廃棄)命令書」を発給することとしています。 |
Q2 | : | 植物に病害虫が発見されて消毒や廃棄が必要になった場合、何らかの証明書を発給してもらえるのですか? |
A | : | 検疫有害動植物が発見された場合、検疫措置の実施前に、要望に応じて「消毒(廃棄)命令書」を発給します。また、貨物を廃棄した場合には、要望に応じて、廃棄完了後に「処分証明書」を発給します。輸入禁止品を廃棄した場合にも、要望に応じて、廃棄完了後に「処分証明書」を発給しています。 なお、「消毒(廃棄)命令書」の発給を毎回希望される場合は、あらかじめ検査担当植物防疫所にその旨登録しておくと、不合格の度毎に「消毒(廃棄)命令書」を自動的に発給することにしています。当該登録については、関係する植物防疫所にお問い合わせ下さい。 |
Q3 | : | 輸入植物にはすべて消毒が必要ですか? |
A | : | そのようなことはありません。その植物が輸入禁止品でなく、かつ生きている検疫有害動植物が付着していない場合には、消毒の必要はありません。また、消毒方法がない場合を除き消毒、廃棄又は返送するかは、輸入者が選択することができます。 |
Q4 | : | 日本の港には輸入植物の消毒施設が整っていますか? |
A | : | 各々の海空港で植物の種類に応じて、消毒のための倉庫やサイロなどの施設が、民間会社によって整備されています。 |
Q5 | : | 輸入植物の消毒は誰が行っているのですか? |
A | : | 法律上は輸入者が自ら消毒することが規定されています。しかし、輸入者が消毒に必要な技術や機材を持っていない場合には、消毒技術を有する民間の防除業者と輸入者との契約により、防除業者が消毒を実施しています。 |
Q6 | : | 輸入植物の消毒を防除業者に依頼する場合、植物検疫協会を介さず、直接関係業者に依頼できますか? |
A | : | 輸入者自身が消毒施設所有者又は管理者、防除業者等に直接消毒を依頼しているか、或いは通関業者に港における手続を(消毒を含めて)一括して委託する例では、通関業者が直接消毒施設所有者等に依頼しているようです。このため、植物検疫協会(注参照)が消毒の依頼に関与することはないと理解しています。 注: 植物検疫(防疫)協会とは、輸出入植物検疫業務の円滑化と港での物流の迅速化等を目的に、各港の植物の輸出入業者、通関業者、運輸・倉庫業者等が組織している団体で、各港により、特色ある活動を行っています。 |
Q7 | : | 不合格となって消毒される際、薬剤で植物の商品価値が損なわれることはないのでしょうか? |
A | : | 穀類や豆類、木材、その他の乾燥したものには影響ありませんが、切花や種子、青果物などの一部には、薬剤の種類によって薬害を生じる場合があります。詳しくは、植物防疫所にお問い合わせください。 |
Q8 | : | 青果物や切り花を消毒する場合、こん包(段ボール箱などの外箱)や内装(植物を包むビニール袋等)について注意することはありますか? | |||||||||||||||
A | : | 輸入植物を消毒する場合、植物にガスを浸透させ、十分な殺虫効果を得る必要があります。特に、こん包された青果物や切り花を消毒する場合、青果物や切り花を入れたこん包の中へ適切にガスを浸透させ、かつ消毒後はガスを速やかに排出させる必要があります。このため、こん包や内装に適切な開口部を設けるか、こん包や内装の開口部が無い場合、又は、開口部が少ない場合には、こん包や内装を開けなければなりません。 消毒に必要なこん包の開口部の一般的な目安は下表のとおりです。ただし、植物の種類、こん包内の植物の状態及び密度、消毒時の積載状況等により、開口部が下表と異なる場合があります。また、内装の開口部については、使用する内装の素材や包装の方法が多様なため、開口部が適切であるか個々に確認する必要があります。このため、こん包や内装の開口部については、あらかじめ植物防疫所までお問合せ下さい。
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