国営農地開発事業 高幡地区拓かれた農地を活用して新しい農業を展開 事業概要
位置図図1 位置図 昔の高幡地区高幡(こうばん)地区は、高知県の西南部に位置し、標高200メートル~600メートルの丘陵地と一部谷部が含まれている山地です。 温暖・多照多雨という恵まれた気象条件、豊かな水資源を持ちながら、地域面積のほぼ90パーセントが森林で占められている上に、耕地は傾斜地や小区画・不整形のほ場が多く、しかも河川沿いに点在していることから、その作業性は極めて悪く、水稲の機械化作業導入や農家の経営規模拡大を阻害していて、農業経営も不安定で、小規模農家は兼業を余儀なくされていました。 農地を拓くこのため窪川(くぼかわ)町、大正(たいしょう)町、大野見(おおのみ)村、東津野(ひがしつの)村、葉山(はやま)村の2町3村は、国営農地開発事業を実施、山林原野76ヘクタールを農地造成して経営規模の拡大を図るとともに、周辺の既耕地45ヘクタールの区画整理を併せて行い農作業の効率化を図りました。 できあがった農地は区画が30アール、勾配は5度以下です。農地開発と併せて農業用水の手当て、道路整備も行われ、農業生産性・作業性の向上が図られました。 新しい農業の展開造成地では主に、茶、露地野菜、飼料作物、施設花き、葉たばこがつくられています。 茶は、事業前からありましたが、急峻(きゅうしゅん)な傾斜地における栽培だったため作業性が悪く、規模拡大も困難でした。しかし、本事業で造成した農地を活用して農家の経営規模が拡大するとともに、平坦な造成面を活用して軌道式(農業用モノレール)の収穫管理作業機が導入されるなど、作業性・生産性が改善し、生産額も向上しています。 露地野菜の中心のしょうがは、昭和40年代(1965年~)に産地化した作物です。事業後は、造成地への作付けも積極的に行われ規模が拡大しました。近年の輸入の増加等しょうがを取り巻く状況は厳しく、地域全体では、栽培条件の悪い所での作付けの断念等作付面積は減少傾向にありますが、良好な条件の造成地での栽培は継続されており、産地の維持に寄与しています。 施設花き(スプレー菊、テッポウユリ)は、事業後に導入された作物です。端境期に出荷できることから、高収益作物として定着しており、造成地を取得して専業で花(か)き栽培を始める農家もでてきています。 地域農業の維持・発展事業前の昭和61年(1986年)と事業後の平成10年の農業粗生産額を比較すると、高知県全体では8パーセント減少していますが、本地域の関係市町村は4パーセントの減となっており、山間地域であるにもかかわらず、この事業で整備された優良農地を有効に活用して地域農業が維持されていることが伺われます。 造成地での農業の振興に当っては、地元の農業改良普及センターが中心となり、農協と連携して、地域の有利性を活かすことが可能な新規導入作物及び品種の探索・選定と栽培技術の確立、土づくりの指導等産地の維持・拡大に向けたさまざまな取り組みを実践しています。 写真1 「勝賀野団地」(しょうが) 写真2 「上宮III団地」(スプレーギク) 写真3 「曙大野見III団地」(茶) |
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