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中国四国農政局

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    「中国四国地域食育シンポジウム」スポーツ×食育 アスリートから「食」を学ぼう!開催概要

    中国四国農政局は、若い世代を中心とした食育の取組を推進するため、令和元年8月5日(月曜日)、岡山市にて食育シンポジウムを開催しました。
    シンポジウムでは、普段からの食事が勉強やスポーツの成績に影響していることに気づいていただくため、スポーツ栄養学の有識者による講演や、岡山をホームタウンとして活躍しているスポーツチームの選手と管理栄養士によるパネルディスカッションを行いました。

    ■日  時:令和元年8月5日(月曜日) 14時00分~15時30分
    ■場  所:岡山国際交流センター「国際会議場」 (岡山市)
    ■参加者:76名(小学生と保護者、栄養士、教育関係者、行政等)
    ■主  催:中国四国農政局

    農政局の挨拶農政局の挨拶

    講演

    「アスリートの身体を支える食の基本を考える」
     講師:環太平洋大学体育学部体育学科 講師 保科圭汰氏

    <内容>

    1  朝食の必要性

    • 文部科学省の調査では、毎日、朝食を摂る児童・生徒ほど、学力調査の得点が高い傾向にある。
    • 朝食を摂り、体温をしっかり上げることにより、生活リズムを整えることができ、午前から活発に過ごすことができる。
    • 朝食を食べる際には、一人でなく、家族や友人など複数の人と食事を摂ること(共食)が大事である。
    • 共食をすることにより、栄養バランスや栄養価を充足させることができるとともに、人間関係がしっかり作られ、食事のマナーを学んだり、規律づくりにつながるほか、食事を大切に思う心を養うことができる。
    • 共食の頻度が少ない人の方が朝食を欠食する割合が高く、共食の頻度が多い人の方がストレスがないとする割合が高い。
    • 朝食を食べるためには、夕食の時間や就寝時間など、生活のリズムを見直し、しっかり整えることが必要である。

    2  スポーツをするための食事

    • スポーツをするために必要な食事は、「日本型食生活」といわれる、主食、主菜、副菜、果物、牛乳・乳製品がバランス良く揃えられていることが大事である。
    • 食事で果物や牛乳・乳製品を摂れない場合には、おやつの代わりに取り入れるといった工夫もある。
    • 過剰なたんぱく質は体脂肪に変わるので、適切な量(体重1kgあたり2g以上は不要)を摂ることが大事である。
    • 運動直後30分以内にたんぱく質を摂ると、筋肉の量が効果的に増えていく。
    • たんぱく質は、糖質やビタミンB群(特にB₆、鶏肉、レバー、青魚など)と一緒に摂ると、よく吸収され、体作りに利用される。
    • 糖質は、スポーツ選手にとってはしっかり摂るべき栄養素で、1日に体重1kgあたり7gが目安となる。
    • 糖質は、運動直後に摂ると筋グリコーゲンの回復速度を早めるとともに、たんぱく質やビタミンB群(特にB₁、豚肉、うなぎ、たらこなど)と一緒に摂ると、筋グリコーゲンの回復が高まる。
    • 骨の量は20歳前後で最大になるので、子どものうちに骨密度を高めて、しっかりと骨を作ることが大切である。
    • 成長期には、体重減少など、成長を妨げるトレーニングは見直すとともに、糖質とたんぱく質を組み合わせた補食をしっかり意識することが必要である。 
    保科圭汰氏による講演の様子
    保科圭汰氏による講演の様子

    アイスブレイク

    • 参加者に、松木選手、丸山選手の指導により、アスリートが日頃行っているトレーニングを体験していただきました。
    カモメ流ストレッチ(岡山シーガルズ)カモメ流ストレッチ(岡山シーガルズ)
    体幹ストレッチ(ファジアーノ岡山)体幹トレーニング(ファジアーノ岡山)


    パネルディスカッション

    《ファシリテーター》
    環太平洋大学体育学部体育学科 講師:保科圭汰氏

    《パネリスト》
    ファジアーノ岡山:松木駿之介選手、真鍋芳江栄養アドバイザー
    岡山シーガルズ:丸山亜季選手、北村舞子管理栄養士

     

    1  選手の子どもの頃について

    【松木選手】

    • 幼稚園の年長からずっとサッカー選手になることが夢だった。
    • 夢を持つようになってから、両親が協力してくれるようになり、おやつも意識してバナナなどを与えてくれた。
    • サッカーの練習が終わった後、友達とコンビニでポテトチップスなどを食べることもあったが、両親がバナナは体に良いからと与えてくれることがなければ、食べ物の良し悪しを意識することはなかったので、今思い返せば、すごく大事な時間だったと思う。

    【丸山選手】

    • 小学校の卒業文集に、夢はバレーボール選手になりたいと書いていた。
    • 好き嫌いが多く、きちんとごはんを食べていなかったが、祖母が畑で作った野菜だけはしっかり毎日食べていたので、風邪もひかず、けがもしない体はできていた。
    • 甘いものが好きなので、チョコレートなどのお菓子をよく食べていたが、祖母が用意してくれた果物は進んで食べていた。
    • 今は、甘いものを食べたいという欲求はあるものの、体のコンディションを高めたり、パフォーマンスを上げるため、必要がないものは自分で判断して控えるようにしている。

    【保科講師】

    • ストレスをため込むような制御の仕方はあまりしなくても、少し息抜きをする意味を含めて、甘いものなどを少し食べることは時には必要なことと思う。 

    2  栄養管理の面で気をつけていること

    【真鍋栄養アドバイザー】

    • サッカーは、90分間走り続ける非常に過酷な競技なので、すべての栄養素が揃っているバランスの良い食事をしっかり摂ることが1番大事である。
    • 暑い時期は、コンディションを維持するため、野菜、果物、乳製品などをしっかり摂るように選手に話しているが、選手も意識が高く、私が言うより先にバリバリ食べている。

    【北村管理栄養士】

    • 特別にたくさん摂っているものはないが、アスリートということもあって、消費量が一般の方より多いので、基本的なエネルギーの量を多く摂るようにしている。
    • 社会人の他のチームには外国人選手やパワーがある選手が多いので、負けないようなしっかりと筋肉のついた体を作るため、まずはエネルギー不足にならないよう気をつけている。
    • 特に、エネルギー源となる糖質をしっかり摂ることにより、集中力の低下やけがの発生防止のほか、女性ホルモンの減少による骨粗鬆症や疲労骨折につながらないように気をつけている。

    3  子どもの頃から気をつけて欲しいこと

    【真鍋栄養アドバイザー】

    • プロの選手を目指すには、小さいうちから、バランスが良い食事を意識して、食べられるだけしっかり食べることを身につけて欲しい。
    • 「食べる力」があると、必ず体はできてくるので、おいしく食べることを実践して欲しい。

    【北村管理栄養士】

    • 「食べる力」を身につけることが大事である。
    • しっかり量を食べる力が小さいときから身についていないと、大きくなってから、食べることに苦痛を感じ、「食べること」という壁にぶち当たる選手もいる。
    • 「食べる力」があるということは、競技力向上や技術面をさらにパワーアップさせるために必要なことであり、幼いときから身につけていければ良いと思う。

    4  選手からのメッセージ・まとめ

    【松木選手】

    • 食事の習慣を変えるのはなかなか難しく、長く継続させることが1番大事なので、焦って一気に切り替えず、最初は少しずつ、3日に1回はご褒美の甘いものを食べるといった進め方で良いと思う。
    • 自分が口にしたものからではないと、自分の体はできない。親から、プロサッカー選手を目指すなら、「プロサッカー選手の食事をしていかないとなれない」と口酸っぱく言われ、自分でもすごく意識できるきっかけの言葉だった。
    • 私自身も習慣を変えて、今、夢を叶えることができ、また新たな夢を持つことができているので、皆さんも夢を追って、これから一歩一歩進んで行って欲しいと思う。

    【丸山選手】

    • 今となって振り返ると、子どもの時きちんと食べておけば良かったという後悔がある。体の土台となる食事はきちんと摂らないと、いくらトレーニングや練習をしても力として身につかないことをプロの世界に入って実感している。
    • 小さい子どもや保護者の方々には、小さいうちからバランス良く食べることや朝食をしっかり摂って体を動かすことにより、けがや病気をしない丈夫な体ができてくるので、まず、その土台となる食事の意識を高く持って続けてもらいたいと思う。

    【保科講師】

    • スポーツをするうえでは、バランスの良い食事が基本になる。
    • バランスが良い食事をしっかり摂り続け、長い期間の計画を考え、その期間中に小さい目標を作りながら、その目標に向かっていくことが夢を叶えることにつながっていくと思う。
    パネルディスカッションの様子
    パネリストの皆様(ファジアーノ岡山)
    パネリストの皆様(岡山シーガルズ)
    パネルディスカッションの様子 パネリストの皆様(ファジアーノ岡山) パネリストの皆様(岡山シーガルズ)

     

    意見交換

    講演やパネルディスカッションに対する質疑応答及び意見交換を行いました。

    <内容>

    質問1

    • サッカーをしている11歳の息子は、カップラーメンが好きなのでたくさん食べさせたいが、カップラーメンやコンビニで売られている弁当などには食品添加物が多く入っている。カップラーメンを食べさせることについて、管理栄養士の考えを聞きたい。

    【真鍋栄養アドバイザー】

    • カップラーメンが好きな選手がいる場合には、最初から全部取りあげるといろいろ反動があるので、少しずつ減らしていくとか、カップラーメンを食べるときには、カップラーメンだけでは栄養バランスが崩れるので、牛乳や納豆を一緒に食べるなど、少しずつ良い食べ方へ変えて行き、カップラーメンから遠ざけていくよう指導したことがある。

    質問2

    • 娘が水泳をしているが、思春期の女性は体重が増えやすく、コーチから体重を落とすよう指導を受け、菓子パンをやめたり、朝食をごはんに替えたりしている。保科先生の講演でも、陸上長距離の女子選手の食事を、菓子パンからピザトースト、その後、おにぎりから白米に替えているが、それは意図的に指導したのか。
    • また、ごはんの量を少し減らしたり、プロテインをプラスすることも効果的なのか。

    【保科講師】

    • 菓子パンは油や砂糖が多いので、少しずつ頻度を減らしてもらい、最終的に米にたどり着いた。
    • 揚げ物を減らすなど、調理方法で食事のバランスを整えることも体重管理をしていくうえでは大事である。

    【北村管理栄養士】

    • ごはんの量を減らすのは一つの方法ではあるが、エネルギーを作るのが上手くいかなかったり、体重がなかなか落ちなく、イライラして、プレーもうまくいかないこともあるので、基本的にはかさはあまり減らさないようにしている。
    • 例えば、主菜のお肉の量を少し減らし、その分、きのこや食物繊維が多い野菜をいつもより多く炒め物に使うなど、全体的なエネルギー量は下げたとしても、ビタミンや食物繊維など体の機能を整えるものを増やすようにしている。

    質問3

    • ミニバスケットをしている9歳の娘は、あまり量を食べることができないが、試合の前日と当日の朝ごはんで最低限食べておいた方が良いものがあれば教えて欲しい。

    【保科講師】

    • バスケットボールは激しい運動であることから、糖質をしっかり摂ることに加え、試合の前日は、基本的にはしっかりとごはんを食べる。その際、消化に悪いものはできるだけ避け、揚げ物を摂りすぎないように気をつけて欲しい。
    • 当日は、できれば試合の3、4時間前ぐらいには、食事としての栄養補給は終わらせておき、その後は、ゼリー状のものやバナナで栄養補給をしながら試合を迎えるのが良い。 

    参加者からの主な感想

    • 大学生になると、食に関する指導を受ける機会がほぼなくなってしまい、バランスなどを考えず食事をすることが増えた。食生活を見直すヒントとなることを学ばせていただいたので、今日から自分の意識も食事も変えていこうと思う。
    • 食に関して、アスリート、栄養アドバイザー、管理栄養士の皆さんの視点からお話を聞くことができ、大変勉強になった。具体的な取組を知ることができたので、実践していこうと思う。
    • 今回の選手からのお話は、講演会を敬遠しがちな若い父母も聞いてくれると思った。時間も長くなく、でも、大切なことは心に残る良い会だった。職場で参考にしたい。

    参加者アンケート

    アンケート結果はこちらからご覧ください。

    アンケート結果(PDF : 421KB)

     

    お問合せ先

    消費・安全部消費生活課
    食育班
    代表:086-224-4511
    ダイヤルイン:086-224-9428
    FAX:086-224-4530

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