創業支援等事業による創業の事例3
ITテクノロジーを活用した養蜂
はつはな果蜂園 松原 秀樹 さん (45才) |
店舗概要
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作業の様子 |
宮島はちみつ |
センサー設置の状態 |
巣箱の中の蜂の様子 |
事業概要
松原秀樹さんは広島県廿日市市の大野地区「はつはな果蜂園」で養蜂業と柑橘栽培を営んでいる。はつはな果蜂園ではみかんとレモンをあわせて1ha程度の栽培を行うと共に、宮島をはじめ、県内7ヶ所に養蜂場を設け50群ほどのセイヨウ蜜蜂をITを活用して飼養し、はちみつを販売している。創業について
松原さんは大手IT企業でハードウェアのセールスをしていたが、2007年に中国産冷凍餃子事件が起こったことをきっかけに食品への関心が強まり、当時お子さんが小さかったこともあり、野菜を購入していた神奈川県の生協が開いた生産者と消費者を繋ぐ活動(週末の農作業手伝い)に参加した。もともと柑橘栽培に関心があったこともあり、その活動に参加することで就農を決意したものの、柑橘が収穫できるまでは数年かかることがネックであった。このため、収穫時期が柑橘と被らないこと、はちみつは腐らないので保管が効き市場価格に振り回されず自分たちで値を決められること、蜜蜂の活動範囲は巣箱の周辺2~3kmなので、その土地、その土地ならではの独自の味になるということが決め手となり養蜂業との二本立てで経営を行うこととして、社会人向けの農業ビジネスの学校や養蜂家に学んで養蜂技術を身につけ、2015年養蜂業を開始した。
IT技術の活用
はちみつの生産拡大を図ろうとしても巣箱を山間部に設置しているため、点検作業に時間がかかる事が問題となっていた。1人で管理できる巣箱の数には限りがあるため、巣箱を空けなくても中の状態を確認できる様に巣箱にセンサーを付けて内部の温度等を計測する事を思いつき、中高の同級生が経営するアドダイス社(AI技術による支援提供)との協働により、遠隔地から巣箱の中の状態を確認できるシステムの開発を始めた。開発の費用は自己資金に加え、商工会の支援による創業補助金、クラウドファンディング等で調達した。
こうして巣箱内部の温度と湿度を巣箱に取り付けたセンサーで感知し、親機に送るシステム「Bee Sensing」を完成させた。
今後の展望
「養蜂は蜜蜂に負担をかけ無理をさせている。蜜蜂は群が一つの生命体のような物なので、働き蜂の働き過ぎを管理し健康な蜜蜂を増やすために活用したい。」「現状として計れるのが温度と湿度だけなので、巣箱の中の羽音や匂い(蜜蜂はフェロモンで情報交換をしているため)を計測し蜂の健康状態を観察できるようにしていきたい。」「システムの販売も行っているので多くの養蜂家に利用して頂きたい。」とのこと。創業者への一言メッセージ
「農業を始めるなら早いうちが良いと思う。できない理由を考えるのではなく、やらずに後悔するのなら、やる方が良い。」(取材時期 令和2年12月)
お問合せ先
経営・事業支援部食品企業課
TEL:086-224-4511(内線2152、2171)
ダイヤルイン:086-224-9415