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北海道農政事務所

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令和4年度「受け継ぎたい北海道の食」動画コンテスト表彰式

【日時】令和5年3月6日(月曜日)13時30分~16時30分
【会場】京王プラザホテル札幌 地下1階 プラザホール
【主催】農林水産省 北海道農政事務所

主催者挨拶

農林水産省 北海道農政事務所長      福島 一


nousei


今年は、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されて10周年を迎えます。世界的な健康志向ブームにより、「和食」に対する海外からの注目が高まる一方、国内では食文化を巡る社会情勢や消費者の嗜好変化は大きく、根幹となっている食文化の保護・継承が困難になっております。
このような中、北海道農政事務所の独自の取組として、「受け継ぎたい北海道の食」動画コンテストを実施し、今年度で5回目となりました。 北海道にはまだまだ知られていない、地域に根ざした興味深い食文化がたくさんあり、これらは地域の魅力として継承し、広く発信していくべきものであると考えております。
今回の「受け継ぎたい北海道の食」動画コンテストでは、46件もの応募をいただきました。コンテストの開催を通じて北海道の食文化が国内外に広く発信され、保護・継承されていくことを祈念し、開会の挨拶とさせていただきます。

来賓祝辞

北海道農政部 食の安全推進局長      山口 和海


hokkaido


このコンテストについては、道民の皆様が地域で受け継がれてきた伝統の料理や郷土食、食材の魅力を見つめ直し、それらを守り続けてきた方々の技術・情熱を次世代に継承していく大変重要な取組であると思います。
北海道庁では~「食」の力で育む心と身体と地域の元気~をスローガンに食育を推進しております。地域の風土・食文化を活かす知識や技術を持つ方々を「北海道らしい食作り名人」として登録するほか、道産食材を使用したこだわりの料理を提供する「愛食レストラン」の認定、生産が増えてきている「さつまいも・にんにく・落花生」を新顔作物としてPRするなど、地産地消を推進する「愛食運動」に取り組んでおります。
昨今、新型コロナウイルスの影響により家庭で食事をする機会が増え、また、世界情勢の変化により、国産食材への関心が高まっております。このコンテストはこうした機運の高まりにも応えるものであります。
こうした取組が末永く続くことを期待するとともに、お集まりの皆様の益々のご活躍、ご健勝を心からお祈り申し上げます。


国土交通省 北海道開発局 開発監理部 開発調査課長      高橋 雅一


開発


北海道開発局では、北海道総合開発計画に基づき、社会資本整備を行っております。
食と観光の機能を発揮している地方の農産漁村を「生産空間」と称して発展を図ること、 アイヌ文化の振興などが計画に掲げられています。「生産空間」では、集落人口の減少や高齢化などの課題を抱えていますが、そのような地域に魅力を感じ、移住する人、Uターンする人、一次産業のアルバイトをしながら旅をする人など、定住・交流に関する動きを報道で目にすることが多くなったと思います。
応募者の皆様は当たり前の食から魅力を見出し、時には周囲の理解を得て映像を制作するという苦労をされたと思いますが、この度の応募をきっかけとして地域の魅力を再確認する、地域で会話をする。そのようなことが生まれていれば素晴らしいことだと思います。このような可能性を持つ当コンテストが長く続くことを期待しております。

表彰及び表彰作品の上映、審査委員の講評


アイヌの文化  (野口観光ホテルプロフェッショナル学院  吉本佳蓮 )



【作品紹介文】
アイヌの文化や食文化が薄れていく今こそ受け継ぎたい北海道の食にぴったりだと思い、アイヌを選びました。食材を無駄にしないアイヌの食文化を尊重し、チタタプとオハウを作ってみました。動画内でも出てきますが、現在フードロスの問題があります。フードロス問題を解決するためには、何度も言いますが、アイヌの食文化を学ぶ事だと思います。私たちより下の世代の方にもアイヌの方々の文化を知っていただく機会になると良いなと思いますし、生活のヒントとなるものを探していただけたらと思うので、私は受け継いでいきたいです。



講評:審査委員   多原 良子(札幌アイヌ協会)


この動画にも世界中で求められている大切なメッセージと食文化が発信されていました。アイヌ民族は、自然界が人間や動物に与えるものは全て神の恵みと考え、次の人や翌年以降の分を考えて分け合いながら、感謝の心でいただき、自然と育み合う生き方をしてきました。
当作品で紹介されている料理は新しい発想のもので、私も作ってみたい、食べてみたいと感じました。石狩鍋や三平汁の起源はオハウにあると言われています。自然界の恵みである背景とともに受け継ぎ、北海道の自然とともに発信して欲しいと思います。



白花豆の魅力  (酪農学園大学栄養教育学研究室)



【作品紹介文】
私たちは、受け継ぎたい北海道の食材として「白花豆」に着目しました。 これまで、日常で豆を調理する機会は少なく、どのように使用したらよいのか分からずにおりましたが、レシピを考えてみると、他の食材との相性がよく、日常の料理に容易に応用できました。 皮ごと食べられる食材であるため、思っていたよりも手間がかからず、また、揚げたり、焼いたりすることで、煮るイメージであった調理法の幅が広がりました。今回、栽培農家の協力を得て収穫を体験しましたが、生産者が減っている中、「いいもの(白花豆)は残したい」という想いを知る機会となりました。 これら私たちが実際に経験したことを動画にしたので、ぜひ、ご覧いただきたいと思います。

・講評:審査委員   萬谷 利久子(北海道6次産業化プランナー、野菜ソムリエ上級Pro)


白花豆は真っ白で美しく、美味しい豆ではありますが、大変手間が掛かることから生産者が減っていると聞きます。 浦幌町に思いのある生産者様がいらっしゃることを大学生の皆様が応援してくださることで、新たなスタートになれば良いなと思います。
動画内では、豆をバランス良く倒れないように積む「仁王積み」を、ライブ感のある映像で伝えており、これからも残したい農村の風景だと思いました。また、雑誌の1ページのような画像のセンスの良さを感じ、レシピについても若い感性を活かした楽しいレシピの提案をしておりました。


天塩馬鈴薯物語 伊藤さんのいもだんご  (天塩町地域おこし協力隊三國 秀美、天塩町スローフードの会伊藤 千枝子 )



【作品紹介文】
ポテトチップス。ポテトフライ。私たちの身近な食材である馬鈴薯(ばれいしょ)は毎日だって食べられそう。だが、「毎日、三度に一度は主食として食べ」ざるをえなかった冬の食生活を支えた馬鈴薯のたくましい食物語をみなさんはどう思うだろうか。特に昭和7年の冷害凶作時は「まさに食べるものもない有様」だったという。名もなき馬鈴薯が、そうした過酷な環境の天塩人たちの食を支えたことをまず、語り継ぎたい。そして、その馬鈴薯の調理法として伝統的な「いもだんご」は単に食で命をつなげただけではなく、労働に追われる農家では子どものおやつとして家族をつなげたコミュニケーションの役割もあったことを表現し収穫そのものに感謝したい。


講評:審査委員   小田嶋 政子(北翔大学名誉教授)


いもだんごは北海道の郷土料理で最も知られたうちの一つだと思います。
当作品では、いもだんごについて非常に丁寧に紹介されており、ベーコンとチーズに加えたレシピも工夫がされておりました。 また、いもだんごが天塩町で作り続けられてきた歴史的背景を、資料に基づいて丁寧に説明されておりました。 天塩町の皆様は昨年度も「開拓汁」で優秀賞を受賞されております。地域の皆様が協力してこれからも北海道の食文化を広く伝えていただければと思います。


余市スタイル(余市牡蠣誕生)  (余市スタイルプロジェクト)



【作品紹介文】
獲る漁業から育てる漁業へ。 余市町の漁師が一つの選択肢として選んだのは牡蠣でした。 気付けば町の人たちが集まり、見渡せば町内に牡蠣に合う素材がたくさんありました。果物。野菜。お肉。そしてワイン。なにより余市牡蠣の誕生を喜んだのもワイン醸造家の皆さんです。余市川を流れる水を大切にし、10年20年自然と産業を調和させる考え方はお互い同じ概念を持ち合わせていたからです。 同じ水で育つ牡蠣とワイン。牡蠣の殻はぶどうの根元に置かれきれいな水は海へと戻る水物語。これは余市町の食材が住民を繋ぎ子供たちの未来を創る文化(スタイル)です。 ワインに合う牡蠣ができました。始動、余市スタイル。


講評:審査委員   村井 弘治(すすきの浪花亭 代表取締役社長)


私も倶知安でお店を営んでいるのですが、できるだけ近隣の食材を使った料理を提供するというコンセプトであるため、余市の漁師さんには非常にお世話になっております。ここ数年は日本の海も変化しており、サンマがスーパーで並ばなかったり、、イカが獲れなかったりと漁師の皆様も大変苦労されていると思います。 余市の海については、沢山の種類が獲れる海でもありますが、新たに生まれたシングルシードという牡蠣養殖のこれからを楽しみにしております。


海のルビー?北海シマエビ  (別海町地域おこし協力隊三原 萌佳 )



【作品紹介文】
野付湾の特産である「北海シマエビ」ですが、私はここに来るまで聞いたこともなく、存在を知りませんでした。食べてみると、エビ本来の旨みがギュッと凝縮された濃厚な味わいで病みつきに。漁期が短く、漁獲量も少ないため、産地以外ではほとんど見かけることがない希少なエビです。 また、明治時代から変わらない伝統的な打瀬舟漁も魅力のひとつ。北海シマエビの住処であるアマモを傷つけないように、帆を立てて風力で進む打瀬船の情景は、風物詩として今後も受け継いでいきたいものです。動画の冒頭と最後にうつるドローンの映像は、エビが獲れる「野付湾・野付半島」です。トドワラ・ナラワラ・夕日が相まって綺麗に撮影でき、観光名所としても有名なので入れ込んでみました。



講評:審査委員   荒川 義人(札幌保健医療大学 保健医療学部長)


北海道東部の素晴らしい自然風景、明治時代から続く漁を紹介しており、効率性が重んじられる昨今、自然への配慮に重点を置いた漁を営まれている点については守っていかなければいけない、受け継いでいかなければいけないと感じる映像でした。
コンテストの主旨、北海道の独自性、食文化としての価値、どの視点から観ても高く評価される作品であると思います。

北海道の食文化推進の取組事例紹介

以下の3団体により、北海道の食文化の保護・継承している取組事例や、北海道の食文化を盛り上げている取組などをご紹介いただきました。


アイヌの食文化及びウポポイ(民族共生象徴空間)の紹介
(北海道開発局開発監理部アイヌ施策推進課)


ウポポイ(民族共生象徴空間)の調理体験プログラム『ポロトキッチン』の体験の様子や、軽食の調理体験『ポントキッチン』をご紹介いただきました。


Ainu Nouvelle Cuisine(アイヌ・ヌーベル・キュイジーヌ)の紹介
(北海道環境生活部アイヌ政策局アイヌ政策課)


アイヌ文化の魅力を「食」を通じて広く発信することを目的としたプロジェクト「Ainu Nouvelle Cuisine(アイヌ・ヌーベル・キュイジーヌ)」についてご紹介いただきました。


野菜がもっと好きになる野菜摂取量向上プロジェクト「ラブベジ」の紹介(北海道味の素株式会社)


「ラブベジ」の活動はTikTokなど各種SNSでもご覧いただけます。

お問合せ先

生産経営産業部事業支援課

担当者:石橋、和田
代表:011-330-8810