JA北海道女性協議会 前会長 中川苗保子 氏
(長沼町農業協同組合)
中川氏は、長沼町で種子ばれいしょ、種子大豆、加工用スイートコーンなどを栽培する農業を経営(家族3名)する一方で、JAながぬま女性部長、JA空知女性協議会会長の役員を経て2021年4月から2025年3月までJA北海道女性協議会会長(以下、「道会長」といいます。)を務めておられました。
取材日:2025年8月26日
取材場所:長沼町

家族の理解と協力があり道会長を担うことができた
道会長に就任したのは、各地区の会長より推薦とエールをいただき 、道会長の就任を決心しました。在任中の4年間は会議で外出することが多々ありましたが家族は一切文句も言わず、むしろ色々とアドバイスしてくれることもあり、そんな家族の理解と協力は非常に心強く活動の支えとなりました。 就任前に主人から「あくまでも本人次第で、大事なのは自分の考え方。何より一緒に暮らして農業をやっているのに、道会長への出馬を反対する権利は俺にはない。」と言われたのが印象深いです。
女性が組織の中に入り活躍しなければと思いを強くした
以前、農業委員に立候補したことがあります。周りの人からの勧めもありましたが、私が出なければ、女性の委員は続かないとの個人的な思いがあったためです。結果は世間のしがらみもあり残念ながら落選し、農業委員になれませんでしたが、その時「これからは女性が組織に入って活躍を 」と私を応援してくださる人々や家族がいたことで、救われた気持ちになったのも事実です。この経験を通じ、これからは女性が組織に入り活躍しなければと思いを強くしたところです。
農業を次世代につなげたいとの思いが活動の原動力!
道会長として、各地区代表組合長(中央会)が集まる会議に出席しましたが、中央会会長が「中川さん何かないですか」と必ず意見を聞いてくれました。そういう環境を作っていただいたおかげで徐々に意見を言えるようになりましたし、色々なことを学ぶことができました。また、水田活用の直接支払交付金の見直しに関する議員要請行動では、現場の声を聞いてもらうため、私なりの考えを発信しました。現場の声を伝えることは勿論、やはり次世代が安心して経営ができるようにしたいとの思いが、在任中の活動や発言の原動力でした。
現場や農政を変えるためにも女性の声は重要
小学校・中学校とクラスの男女の人数はほぼ同数なのに、何故、組織の役職が上になればなるほど、女性が少なくなるのかとの疑問を家族で話すことがあります。一般的に女性は良くしゃべると敬遠されがちですが、分からないことをきちんと分からないと言える側面があるので、 女性の声を発信することにより、現場と農政の変化につながるのではないでしょうか。組織の維持・継続には色々な意見を出し合い議論することが大切だし、現状を打破するには女性がその場に入り発信しなければいけないと考えています。
社会でもっと認められるべき女性の力
私はトラクターや大きな機械を動かすことはできず主人や息子と同等な労力は発揮できませんが、作業の仕方等家族に認めてもらいながら進めています。どこの農家も同じで、女性がいなければ農業は回っていかないと思います。また、男性の視点や感覚では気づかない見落としがちなことや、従事者のちょっとした体調の変化や環境面での配慮など、女性ならではの感覚で気づくことは多いのではないでしょうか。女性の力がもっと社会で認められなければダメだと強く思っています。
共感・共有できる環境づくりは必要
農村の維持のためには、地域での交流が必要だと考えます。昔は色々な行事で交流がありましたが、残念ながら時代の流れとともにそのような機会が減っています。米麦のほか野菜が増え、農作業が以前より忙しくなったことが要因かもしれませんが、やはり、男女が集まり共感・共有できる環境づくりは、昔も今も変わらず必要なことだと考えています。
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