JAさっぽろ 理事 横山静江 氏
(札幌市農業協同組合)
横山氏は、札幌市でたまねぎを栽培する農家を経営する一方で、2020年からJAさっぽろの理事として活躍されています(現在1期目)。
取材日:2022年12月22日
取材場所:北海道農業協同組合中央会札幌支所

札幌で行う農業の魅力
経営面積は2.8haで、主にたまねぎやスイートコーンを栽培しています。たまねぎの種類は、「北もみじ(北海道で栽培される代表的な品種)」、「札幌黄(北海道のたまねぎ栽培の土台となった品種)」、「さつおう(札幌黄の改良品種)」の3品種を栽培しています。ビニールハウスで育てた、たまねぎの苗を畑に移植した後、そのビニールハウスでスイートコーンを作付けします。
たまねぎの農作業は、生育期の7月を除き、4月から8月は主に雑草取りを行い、9月に収穫し、その後、選別し、JAさっぽろに出荷します。春(播種前)と秋(収穫後)には、ビニールハウスの管理を行います。また、自宅の倉庫でスイートコーンと長ねぎの直売も行っています。
札幌という都会に居を置くことで生活面に不自由することなく、たまねぎ栽培などの農業を行うことができます。
組織から認められるきっかけに
私の子どもが幼少の頃、JAさっぽろ北札幌支部の婦人部若妻サークル「つくしんぼの会」が発足し、私はそこで連絡係として、文書や回覧を各家庭に配布していました。会には27名が在籍しており、動物園や野外炊事への遠足など、家族ぐるみの付き合いもあり、とても楽しい思い出となっています。
その後、当時のJAさっぽろ北札幌支部の女性部長から後任の誘いを受け、女性部長を3期9年間務めました。女性部の中心として活動することは、大変なこともありましたが、楽しかった思い出の方が多く、とてもやりがいを感じました。
こういった経験を通じて、当時のJAさっぽろの女性部から理事を引き受けてもらえないかとの依頼を受けました。突然のことで困惑し、当時の女性部長に相談したところ、「是非ともやっていただきたい」との後押しがあり、また、夫の奨めもあったことから、理事を引き受けました。
2期目も継続して理事を担っていきたい
理事に就任した当初は、大変な思いをすることも多くありました。北札幌支部からJAさっぽろの理事が選出されていたので、私が北札幌支部の女性部長を務めていた際に、理事の仕事内容などは伺っていましたが、実際に務めてみると、理事の職務は、組織の経営方針を決定するもので、議題の内容が難しく、話を聞き取ることでさえ大変でした。
理事会の議案書に目を通しても、分からないことばかりで、家路に着くと、心身ともに疲れ切っていたことが記憶に残っていますが、そんな時にはいつも農協職員が支えてくれ、とても心強かったです。
今年の役員総会で一期目を終えますが、一期だけではわからないことも多く、願わくばあと一期、自分自身の勉強のためにも、また人との繋がりをさらに広げたいとの思いから、理事の継続を願っています。農家に嫁ぎ、作物を作ることが本当に大好きなこと、誰とでも仲良く接することができることが私の強みです。こういった私の強みを活かして、私の思いと経験を次の世代に伝えていきたいと思っています。

大切なのは人と関わること、繋がること
私自身が農業に従事しているため、理事としての従事日数に決まりはありません。月に1回の役員会議や、年に数回開催される女性部の会議に出席します。コロナ禍により、リモートでの会議や紙による持ち回りの会議が増えたほか、休憩時間などでの人とコミュニケーションが取れないことに寂しさを感じています。コロナ禍収束後の対面での会議出席や研修旅行などへの参加を心待ちにしています。
農家としては、夫が亡くなってから、畑の草取りがとても大変です。それ以前は、夫が防除を行っていたため、いざ自分が防除を行おうと思っても、全く思いどおりに行うことができませんでした。私の息子は民間企業に勤めていますが、平日、休日を問わず、合間をみては、いつも農家の仕事を手伝いに来てくれます。息子のお嫁さんも、家事の合間に手伝ってくれます。1人で農業を行うことはとても大変で、家族のサポートがかけがえのないものであると感じています。
また、私が理事になった当時のJAさっぽろ統括支店長が、私のことをよく気にかけ、私の畑までよく足を運んでくれていました。現在の統括支店長も私のことを気にかけてくれ、足を運んでくれます。肥料や除草剤などで困ったことがあれば、農協職員がすぐに手配をしてくれ、本当に有り難く思っています。
加えて、地域の農家間でも協力しあう体制が築かれており、私の健康面を気にかけてくれたり、作物に関して助言をいただくなど、地域の関係も大変良好です。
農業や農協理事を行う上で重要なのは、「人との関わり」、「人との繋がり」であると実感しています。

女性の力で農業を盛り上げたい
私は農協の女性部に在籍して、色んな勉強をさせていただきました。現在、丘珠地域では農業に従事している女性(妻)が多くいらっしゃいます。そのため、前統括支店長や前理事に、昔のような若妻の会を作り、農家の妻を農協に入れてもらえないかと相談したところ、前統括支店長がすぐに働きかけ、助成金などを新設してくれました。
後継者を育てるにあたっては、農協に加入することで楽しい経験ができるということを伝えるとともに、時代にあった制度や環境づくりを行っていくことが必要であると感じています。また、女性が農業や地域で活躍できるよう、家族や組織が支援、後押しすることもとても重要であると感じています。
2023年10月にJAさっぽろとJAいしかりの合併が予定されています。生活環境や栽培する作物に違いはありますが、農業という共通点を通じて、JAいしかりの女性部の方や役員の方と早く対面し、楽しい職場環境をつくるとともに、札幌近郊の農業を盛り上げていきたいと思っています。

写真右:JAさっぽろ 理事 丹羽 恵子 氏
取材のご協⼒ありがとうございました
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