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北海道農政事務所

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家畜ふん尿の新たな活用方法~バイオガスをマテリアルの原料に~

概要

(1) 興部(おこっぺ)町は平成25年度にバイオマス産業都市として認定され、バイオマス産業を軸としたまちづくりを目指している。
(2) 酪農基盤の強化と住民生活環境の向上を目的に、町営のバイオガスプラントを平成28年11月から運営している。
(3) FIT契約終了後を見据えて、売電以外でのバイオガスの活用方法を模索。大阪大学との連携により、令和2年に世界で初めてバイオガスからメタノール・ギ酸の製造に成功した。


  • バイオマス産業都市構想策定のきっかけ

興部町では基幹産業である酪農業、水産業から排出される廃棄物の処理が課題であり、特に酪農業から排出される家畜ふん尿については牧草地の負荷・散布時の悪臭の問題など、環境への悪影響を与えていました。
そこで町はこれらの廃棄物をバイオマス資源(※1)として有効活用することで酪農業が抱える課題を解決すべく、平成25年度にバイオマス産業都市構想(※2)を策定し、同年にバイオマス産業都市として認定されました。
その後、家畜ふん尿の適正な処理を目的としたバイオガスプラントを建設。平成28年11月に稼働を開始しました。

※1 バイオマス資源:再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの。
※2 バイオマス産業都市:地域に存在するバイオマス資源を原料に、収拾・運搬、製造、利用までに経済性が確保された一貫システムを構築し、地域のバイオマスを活用した産業創出と地域循環型のエネルギーの強化により地域の特色を活かしたバイオマス産業を軸とした環境にやさしく災害に強いまち、むらづくりを目指す地域。


  • 興部北興バイオガスプラントについて

興部北興バイオガスプラントは、家畜ふん尿等のバイオマス資源を発酵処理して得られたバイオガスに含まれるメタンガスを燃焼させることにより、年間130万kWhの発電を行っています。発酵の残渣であるメタン発酵消化液(1.68万t/年)は液体と固形分に分離し、液体は液肥として牧草地に散布し、固形分は家畜の敷料に再生され地域の酪農家に利用されています。


  • メタノール・ギ酸の製造

興部町は、バイオガスプラントから得られるメタンガスによるガス発電を事業化しましたが、売電以外の方法によるバイオガスの新しい利用方法を模索していました。
そこで、令和元年6月26日に大阪大学とメタン酸化技術開発連携協定を締結し、共同研究の結果、世界で初めてバイオガスからメタノール(液体燃料や樹脂などの化学製品の原料)とギ酸(家畜飼料添加剤)を得ることに成功しました。現在、我が国はメタノールを100%輸入に依存している状況であり、量産化が実現すればバイオガス発電と並ぶ新たな収入源となることが期待されています。また、ギ酸については水素に効率よく転換する研究が急速に進んでいて、将来的に「水素キャリア」として広く活用されることが期待されます。


  • 今後の展望

バイオマスからメタノールとギ酸を取り出す技術開発については、令和12年度以降の実用化を見据えています。本格的な開発を継続し、エネルギーの地産地消を基本とした売電に頼らない新たなバイオマス事業として、興部町から全道、全国に広めることを目指しています。



撮影データ

◯取組主体:興部町(興部北興バイオガスプラント)
◯所在地:紋別郡興部町
◯掲載年月日:令和4年5月23日


興部北興バイオガスプラント_全体

【興部北興バイオガスプラント_全体】

興部町の牛
【興部町の牛】
メタノール・ギ酸製造実験の様子
【メタノール・ギ酸製造実験の様子】

お問合せ先

生産経営産業部事業支援課 再エネ・バイオグループ
ダイヤルイン:011-330-8810