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関東農政局

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農業水利施設のストックマネジメント

はじめに

 農業水利施設は、これまでに、基幹的なダム、頭首工、用排水機場等の施設が全国で約7,000箇所、基幹的な農業用用排水路は約50,000km が整備され、これらの資産価値は、再建設費ベースで18 兆円(基幹的な施設以外の施設も含めると32 兆円)に達する(平成21 年3 月時点)見込みとなっています。これらの施設の多くは、戦後の食糧増産の時代や高度経済成長期に整備されており、標準耐用年数を迎える施設が急速に増加してきていることから、財政的な制約も考慮しつつ、これまで以上に効率的な整備を進めることが課題となっています。
農業水利施設は、時間の経過とともに様々な変状が発生し、使用に耐えられなくなるか、又は維持補修費が増嵩し、いずれは更新が必要となります。しかし、農業水利施設を構成する施設ごとに見ると、構造物に発生する変状は一様でなく、同じ構造の施設系の中でも、更新する以外に対策がないほどの変状が生じている部分、補修や補強により対処(長寿命化)できる部分、当面経過を観察しても性能に支障がないと判断される部分が混在し、個々の施設の状態に応じた適時・適切な対策をとることが効率的である場合が多くなっています。
このため、定期的な機能診断と継続的な施設の監視を行い、その結果に基づき、施設の要求性能を満たすために必要な対策を検討した上で、経済的かつ効果的な対策工法とその対策時期を選択して実施することが重要です。

     
                    開水路の倒壊                                                パイプラインの破損

ストックマネジメントの概要

既存の農業水利施設を出来るだけ長期間にわたって使い続けるためには、施設の劣化状況を把握し、その劣化の進行が致命的になる前に予防的な工事を行うなど、適切な時期に対策を施すことによって施設の寿命を延ばす必要があります。このための維持管理のあり方から補修・補強工事の計画の策定をすることを「農業水利施設のストックマネジメント」と言います。
ストックマネジメントは、施設の機能がどのように低下していくのか、どのタイミングで、どのような対策を取れば効率的に長寿命化できるのかを検討し、施設の機能保全を効率的に実施することを通じて、施設の有効活用や長寿命化を図り、ライフサイクルコストを低減する取組みです。 

ストックマネジメント実施項目と流れ

農業水利施設のストックマネジメント」の流れは図のように、施設の日常管理から始まり、(1)基幹的な農業水利施設の状態を定量的(一部定性的)かつ定期的に把握(機能診断)し、(2)施設状態の劣化進行の予測を行い、(3)予防保全対策の実施時期の検討及び工法の検討及び選定を行います。この過程において、(4)「農業水利施設のライフサイクルコスト」の縮減を考慮して、工事費及び維持管理費等に要する全ての費用が年効果額からみて経済的になるシナリオを選定し、(5)農業水利ストック有効活用に資する施設の最適運用計画を作成、という順に進められます。この流れを繰り返し行っていくことで、適期に適切な対策を講じ、施設の長寿命化を図り、維持管理費を含めたトータルコストを低減するものです。

 

取組方向

ストックマネジメントにおいては、過去の機能診断の結果や補修工事の履歴等を電子化されたデータベースに蓄積し、一元管理することも重要となっており、利根川水系土地改良調査管理事務所では「農業水利ストック情報データベースシステム」の統括管理をしています。これを活用により、施設の経年的な劣化を的確に把握することが容易となり、劣化予測の精度向上や効果的な対策工法の検討に活用するなど、より効率的なストックマネジメントの実施と技術の向上を図ることが可能となります。


「農業水利ストック情報データベースシステム」のページへ

なお、関東農政局整備部のページでも「ストックマネジメント」の概念を紹介したコンテンツを設けていますので、あわせてご覧ください。
「農業水利施設のストックマネジメント」のページへ

農業用施設機械(ポンプ設備)における状態監視の手引き(案)

  本手引きは、農業用施設機械(ポンプ設備)を対象に、デジタル技術等の技術革新が進む計測技術を活用した状態監視手法により、ポンプ設備内部の状況を定量的に把握し、各測定値の傾向管理を行っていくことで、ポンプ設備の点検、機能診断作業の効率化、点検整備費用の削減、突発事故の回避や信頼性の向上に資することを目的としたものとなっています。
  主にポンプ設備の日常管理を行っている土地改良区、市町村等の施設管理者、及び機能診断を行っている国、都道府県等の施設造成者が活用する手引きとして、状態監視手法の概要や、測定方法、判断基準、測定費用等を取りまとめています。
                   tebiki

農業用設備機械(ポンプ設備)における状態監視の手引き(案)(表紙,目次,第1章,第2章)(PDF : 993KB)
農業用施設機械(ポンプ設備)における状態監視の手引き(案)(第3章(1))(PDF : 1,933KB)
農業用施設機械(ポンプ設備)における状態監視の手引き(案)(第3章(2))(PDF : 1,513KB)
農業用施設機械(ポンプ設備)における状態監視の手引き(案)(第3章(3))(PDF : 1,821KB)
農業用施設機械(ポンプ設備)における状態監視の手引き(案)(第4章~第6章)(PDF : 1,512KB)
農業用施設機械(ポンプ設備)における状態監視の手引き(案)(参考1~参考3)(PDF : 1,756KB)

お問合せ先

利根川水系土地改良調査管理事務所
〒277-0831 千葉県柏市根戸471-65
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