公共牧場の有効活用を図るための現地研修会の報告
平成30年8月6日~7日に群馬県及び長野県において「公共牧場の有効活用を図るための現地研修会」を開催し、関東管内の畜産農家や公共牧場の関係者をはじめ、全国の行政・研究機関、機械・種苗関係機関など、総勢100名のご参加を頂きました。
開催日時・場所
1.講演:平成30年8月6日(月曜日)13時30分~17時00分
佐久平交流センター(長野県佐久市)
2.現地研修:平成30年8月7日(火曜日)9時30分~12時00分
浅間家畜育成牧場(群馬県吾妻郡長野原町)
内容
1.講演(13時30分~17時00分)
(1)情勢報告
公共牧場の現状と課題について
講師:農林水産省 生産局 畜産部 飼料課 係長 池田正樹氏 (PDF : 1,514KB)
(2)基調講演
公共牧場の必要性と遊休化した牧場の活用について
講師:農研機構 畜産研究部門 草地利用研究領域 草地管理ユニット長 井出保行氏 (PDF : 5,101KB)
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・畜産の規模拡大と持続的発展を支えるため、1960年から70年を中心に市町村が管理主体となった公共牧場や任意組合の公共牧場が創設された。
・公共牧場の生産基盤を強化する方法として、中核となる牧場に機能を集中する機能集中型の経営や、再編統合した広域連携型の経営も視野に入れて検討する必要がある。 ・経験や勘に基づいた作業から数値に基づいた作業へ転換して効率的な作業体系を確立する必要がある。この数値に基づいた作業への転換のためには、GISやITC等の技術の活用が不可欠である。
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(3)事例発表
ア.多角経営に取組む公共牧場について
講師:もがみ中央農業協同組合営農販売部営農指導課畜産指導課長補佐 丹康之氏(PDF : 2,049KB)
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・山形県真室川町では、米の生産調整による農家の所得減や冬季の出稼ぎによる労働力不足を支援するため、担い手の生産拡大の足がかりとして秋山牧場に冬季預託のための牛舎整備を平成21年から3ヵ年かけて実施した。 ・秋山牧場では、地域内の農協で製造するSGS(籾米サイレージ)やコントラクター組織から供給される稲わらなどを基に、秋山牧場にて発酵TMRを製造し、牧場内及び町内の農家に飼料を供給する体制を整えた。このことから、町内の繁殖雌牛の増頭が図られるとともに、生産コストの低減ができた。 |
イ.利用農家から見た公共牧場の有用性について
講師:浅間牧場利用農家代表(長野原町酪農家) 牧山明氏 資料(PDF : 3,640KB)
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・殆ど一人で100頭の牛の管理をしているが、育成牛を預託に出すことによって搾乳及び牧草の管理に専念できるようになった。 |
(4)パネルディスカッション
「公共牧場をフル活用した運営を目指して」
コーディーネーター:
一般社団法人日本草地畜産種子協会 放牧アドバイザー 梨木守氏
パネリスト:
農林水産省 生産局 畜産部 飼料課 係長 池田正樹氏
農研機構 畜産研究部門 草地利用研究領域 草地管理ユニット長 井出保行氏
もがみ中央農業協同組合営農販売部営農指導課畜産指導課長補佐 丹康之氏
浅間牧場利用農家代表(長野原町酪農家) 牧山明氏
パネルディスカッションでは、「公共牧場をフル活用した運営を目指して」と題して、会場からも意見を聴きながら課題の共有化と課題解決に向けた意見交換が行われました。 意見交換の総括として、 1.牧場の管理者が牧場をどうしたいか、しっかりとしたビジョンを持って今後の牧場経営を行って行く必要がある。 2.牧場の人手不足により、家畜管理や草地管理がおろそかになり、牧場が負の連鎖に偏っているので、家畜や草地管理に精通した人材育成や人材確保に向けた給与等を含む処遇改善が必要である。 3.遊休化、荒廃した草地の活用には、ICTやドローンなどの新技術を取り入れ、人手不足を解消する必要がある。 などの、課題への対応が提言されました。 |
2.現地研修(9時30分~12時00分)
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お問合せ先
生産部畜産課
担当者:安藤
代表:048-600-0600(内線3322)
ダイヤルイン:048-740-0027