みどりの食料システム戦略に関する食品スーパー・卸と生産者との意見交換会の概要
近畿農政局では、環境に配慮した農産物の取引を拡大する観点から、環境に配慮した農産物の生産者(農業者団体含む)と食品スーパー・卸との意見交換会を開催しました。
1.開催日及び参加者等
令和5年2月15日(水曜日)
食品スーパー(6社)、卸(2社)
生産者(51名:農業者団体等を含む)
2.食品スーパー・卸の取組の概要等
イオンリテール株式会社(企業情報)/イオンアグリ創造株式会社(安全・安心への取り組み)
株式会社サンプラザ(サンプラザの取り組み)
株式会社万代(万代のビジョン)
株式会社坂ノ途中(私たちの考え)
株式会社オークワ(持続可能な社会とくらしの実現に向けて)
株式会社平和堂(E-WA!、エコE-WA!)
株式会社ライフコーポレーション(BIO-RAL)
株式会社ビオ・マーケット
3.生産者の質問・意見と事業者・事務局の回答
<イオンリテール株式会社/イオンアグリ創造株式会社>
(生産者)有機農産物を冷凍加工した商品の販売予定はあるか。
(回答)現状は生鮮の拡大を目指している状況。将来は、冷凍や加工したものを新規カテゴリで販売することを検討したい。
(生産者)農産物の納品は、どのような物流ルートになるか。
(回答)直接取引のものは、物流センターに直送してもらっている。直接取引以外のものは、卸売事業者や有機JAS小分け認定業者からの供給となっている。
(生産者)栽培品種の指定はあるか。
(回答)基本的に指定はないが、品種名を表示して販売することもある。
(生産者)有機JASを取得した農産物のみの取り扱いか。
(回答)現在は有機JASを取得した野菜のみをオーガニックとして取り扱いしている。近い将来、有機JAS取得に向け栽培しているもの(3年以内に有機JAS取得など)についてもブランド化して、商品の供給を可能にする方向で進めている。
(生産者)消費者に対し、有機農産物に安さを求めないでと周知していただけると有難い。
(回答)単純に周知することは難しいが、商品には適正価格があるため、売り場で付加価値を併記することにより消費者への説明に努めている。
<株式会社サンプラザ>
(生産者)有機野菜の取り扱いを今後、どの程度まで拡大させていくのか。品目拡大などは考えているか。
(回答)農産物全体から見ると有機野菜の比率は小さく、慣行に比べ価格も高いことから急拡大とはいかないが、今後も引き続き有機農産物の取り扱いは拡大したい。化学農薬や化学肥料を減らして生産した野菜も環境配慮商材として消費者に提供していきたい。
(生産者)子供たちに有機農産物を教えることで、将来、有機農産物を求める可能性が高いと考える。給食センターへの物流を広げていけば、有機農産物を求める消費者が増えると思うが。
(回答)国や自治体にも幅広い物流についての検討していただく必要もあると考えている。
(生産者)消費者の有機農産物に対する理解度はいかがか。
(回答)まだまだ認知されていない。環境への視点や栽培ストーリーも載せた販売を行うことで、有機農産物が脚光を浴びることができればよいと思っている。
(生産者)有機栽培を行うことは、SDGsにも取り組むことになるが、SDGsを意識しての取引は考えているか。
(回答)今後は環境対応の取り組みをしたいと考えている。食の安全保障の観点から言うと、国が行うのではなく、我々からも取り組みを広げていくことも必要と考える。
(生産者)有機農産物に対し、お店の従業員の知識はどの程度あるか。
(回答)有機農産物を全店で取り扱い始めて20年になる。有機農産物の定義は最低限理解していると思う。生産のストーリーを従業員教育していくことも必要だと考えている。
<株式会社万代>
(生産者)有機農産物は、どうしても葉に黒ずみなどが出るが、一定のクォリティはあってしかるべきと考えるか。
(回答)一番重要なところ。消費者理解が全てだと思うが、現在もポップ等を通じてお伝えしている。生産者の皆様に知っていただきたいのは、「有機だから形が悪いのは仕方ない」ではなく、消費者が求めているものを知ることが重要。消費者の声を栽培に活かせるよう、当社もアドバイスできれば。
(生産者)有機野菜の価格帯はどれくらいか。
(回答)慣行品に比べ、有機野菜の価値をどこまで消費者に伝えることができるかが重要だが、現状の価格は1.2~1.5倍程度。
(生産者)有機野菜の集荷はどのようにされているか。
(回答)1.生産者が直接店舗へ納品して陳列、2.センターに出荷、そこから全店で販売、3.関連会社の運送を使って販売、大きく分けて3つの方法を取っている。
(生産者)有機農産物を求める顧客層はどのようなゾーンか。
(回答)難しい質問。現状で言うと、価格が高くても良いものを食べたいと考えている層が主。環境に配慮した栽培方法などを理解した消費者に購入いただくけるようになるのが本来の姿である。
(生産者)直接産地から仕入れると中間流通がなくなり、仕入れ値に反映させた価格決定ができるので農家手取りも増えると思うが、その点に関しての考え方は。
(回答)直接産地から仕入れる目的は2つ。物流面では中間流通を省くことで、より鮮度の高いものを消費者に届けることができる。商流面では生産者手取りが増えるが、消費者にも買いやすい価格で提供できる点がよい。
<株式会社坂ノ途中>
(生産者)どれくらいの量から取り扱っていただけるか。
(回答)量の敷居は低い。特にロットは設けておらず、例えばチンゲン菜なら40パック程度出荷いただければ問題ない。
(生産者)小規模な生産者が多いとのことだが、インボイスへの対応は。
(回答)お勧めはしているが、絶対の条件ではない。
(生産者)播種前の例えば、収穫3~6か月ほど前の見込み相談に乗っていただけるか。
(回答)2月頃に5月~翌年4月までの仮相談を行い、再度夏に秋冬の相談をする場合もある。
(生産者)小規模な生産者からの発送は宅配か。
(回答)エリアにもよるが、奈良県では宇陀市、京都府では京丹後市まで集荷便があり、手数料は不要で、小規模な生産者は集荷便に乗せることが多い。宅配もあるが、宅配料金は折半が多い。
(生産者)店頭販売もあるとのことだが、生産者からの希望で販売するのか。
(回答)当社で色々な生産者からピックアップして販売している。
<株式会社オークワ>
(生産者)地場のものの取り扱いが主とのことだが、集荷はどのようにしているか。
(回答)小規模の場合は店舗に持ち込みしてもらうこともあるが、センターに納入する場合は、センターから各店舗へ配送している。
(生産者)商品は委託販売になるのか、それとも買取か。
(回答)個別店舗への持ち込みの場合は委託販売が主となるが、センターから各店舗へ配送する場合は、買取となる。
(生産者)慣行栽培のものと比べ、価格はどうなっているか。
(回答)慣行栽培に比べ、1.1~1.2倍程度で販売している。
(生産者)納入するセンターはどこになるのか。また、納入から販売までの時間は。
(回答)奈良市場の近隣にセンターがある。朝5時までの納入の場合は当日中、5時以降の納入は翌日の販売となる。
<株式会社平和堂>
(生産者)E-WA!、エコE-WA!に参加するためには、制約はあるか。
(回答)制約として、1.国産である、2.土耕栽培である、3.生産者が明確である、4.当地比の化学肥料・化学農薬の使用が3割減であることが条件となる。
(生産者)E-WA!、エコE-WA!の販売割合はどの程度か。
(回答)現在の販売は割合として低いが、仕入れが多くできるように計画を進めており、少ない量でも積極的に集荷・販売したい。
<株式会社ライフコーポレーション>
(生産者)集荷はどのように行っているか。
(回答)基本的には専門商社から買い入れ。個人の生産者からの買い入れは専門商社、もしくは仲卸を経由することになる。
(生産者)訳あり商品を活用するような取り組みはあるか。
(回答)商品規格、価格次第で対応可能。
(生産者)有機野菜を冷凍加工したいと考えているが、取り扱いの余地はあるか。
(回答)現在、農産売場で冷凍コーナーを持っていないため、すぐの導入は難しい。
(生産者)果物の取り扱いは野菜と同様か。
(回答)野菜と同様の取り扱いである。
<株式会社ビオ・マーケット>
(生産者)継続的な契約は可能か。
(回答)ケースバイケースだが、基本的には継続での取り扱いとなる。
(生産者)品質はどの程度のものを求めているか。
(回答)一般的な販売と遜色のないもの。一部訳あり商品の取り扱いも可能である。
(生産者)生産者の産地に訪問することはあるか。また、新しい出会いはどのような時にあるか。
(回答)産地訪問は行っている。新しい出会いとしては、生産者から問い合わせがあったり、既存の生産者から紹介してもらったりなどがある。
(生産者)米の納品方法は玄米か精米か。
(回答)基本的には30kg袋の玄米で納品となるが、一部量販店には精米を直接納品する場合もある。
お問合せ先
販路形成タスクフォース事務局
担当者:前野、高井
ダイヤルイン:075-414-9024




