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近畿農政局

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「みどりの食料システム戦略に関する生協と生産者との意見交換会」の概要

近畿農政局では、環境に配慮した農産物の取引を拡大する観点から、環境に配慮した農産物の生産者(農業者団体含む)と生協との意見交換会を開催しました。

1.開催日及び参加者等

(1)令和4年11月1日(火曜日)
       大阪いずみ市民生活協同組合、わかやま市民生活協同組合
       生産者18名ほか
(2)令和4年11月17日(木曜日)
       生活協同組合おおさかパルコープ、大阪よどがわ市民生活協同組合
       生産者18名ほか

2.生協からの説明概要

(大阪いずみ市民生協、わかやま市民生協)

  • 両生協では、
    ·組合員との幅広い交流を大切にし、
    ·自然環境や生き物、人を大切にする持続可能な社会を目指し、
    ·生協が定める品質保証の仕組みに対応できる産地と産直確認書を取り交わし、産直マークを付して販売している。
  • 産直産地の登録は、産地(生産者・生産者グループ)の登録であり、「どのように栽培されたか」という、生産物の認証ではない。有機JAS認証などの生産物認証マークは、個々の商品に表示すると同時に、産直商品であればそのマークを並べて表示している。
  • 実際に生産現場を見ていただくなどして、苦労やコストに関する消費者の理解を促進することは重要。特別栽培農産物(以下、「特栽」という。)や有機農産物(以下、「有機」という。)に理解を示す若い人がいる一方、景気の影響もあって高価格商品に手が出にくいと感じる消費者も多い。
  • 無農薬が体にいい、環境にいいと考えられがちだが、栽培期間中は農薬不使用が当たり前のキノコにわざわざ「農薬は使っていない」と書いて見せるケースも流通の世界では見られる。こうした流通側の姿勢も問題であると同時に、一歩踏み込んだ消費者の正しい理解が重要。
  • 再生産可能なコスト以下の販売価格では作り続けられないことを懸念している。一方、組合員の理解が得られる価格を実現する必要もある。

(おおさかパルコープ、大阪よどがわ市民生協)

  • 共同購入カタログは、組合員が選びやすい、買いやすいものとなるよう努め、販売のための価格訴求ではなく、商品の素顔を伝えることを大切にしている。減農薬、減化学肥料の農産物にはハート栽培マークを付け、有機JAS認証を得ているものは併記している。
  • 組合員からは、地産地消が重要との声、珍しい野菜、減農薬やオーガニック(有機)に対するニーズがあるが、生協としては組合員においしいもの、鮮度のいいものを合理的な価格で、注文後約一週間で安定供給することが大事だと考えている。
  • 共同購入カタログに載せる量が確保できないもの、珍しいものは、生協の支所独自企画として扱うことができる。

3.生産者の質問・意見と生協・事務局の回答

(大阪いずみ市民生協、わかやま市民生協)

(生産者)JGAPを取得し、SDGsに資する独自の取組として、回収てんぷら油から作ったバイオ燃料を使ったり、産学連携で商品にならないトマトから絵具を作っている。そうした取組は取引上のアピ―ルとなるか。
(生協)組合員へのアピ―ルポイントにはなると思うが、本質的にはミニトマトがたくさん売れることが大事。残念ながらJGAPやエコファーマーの消費者の認知度は低いが、様々なアピールポイントを持つ産地の、有機JAS認証、特栽から慣行栽培まで幅広い商品を扱っている。

(生産者)SDGsや有機の取組、(仮の話として)機能性表示食品と認められた場合について、商品とセットで紹介し、販売した事例はあるか。
(生協)共同購入カタログでは紙面が限られ難しいが、広報誌などほかの媒体で広報することはある。高齢化が進む中で減塩やカロリーに関する問合せは多いので、機能性表示食品であれば健康需要に答えられるかもしれない。

(生産者)有機のように付加価値があるものは高いが、様々な価格のものを並べると安いものから売れていくと感じている。付加価値のあるものを継続的に販売し、徐々に顧客を付けていく考え方はないか。
(生協)流行りもあるので商品の入れ替えを行う中で、組合員が選択できるよういろいろな価格帯のものを置き続けることが大事。

(生産者)農薬を使う農業者がいない集落で、農薬と化学肥料を使わず生産をしているが、様々な認証は受けていない。こうした商品でも取扱い可能か。
(生協)認証を受けていない商品でも取扱いは可能だが、当方では、第三者の担保がないものを栽培期間中農薬不使用と書くことはできない。

(生産者)交通不便な産地であっても、現地交流に来ていただくことは可能か。
(生協)実際に行っており、対応可能。

(生産者)商談会に出ても商談がなかなか成立しない。農政局は今後どう取組むかを聞きたい。一気には進まないが、生産者としては早く進める必要も感じている。
(農政局)商談が成立しなかったのは残念だが、商談会が国の取組、生産者の取組をPRする場となることは確かで、継続することが重要。明日からすぐ変えられるということではないが、今回の意見交換も戦略を進めるための第一歩であり、他の生協やスーパーなどとの取組や様々なイベントを継続したい。
(生産者)学校給食に出荷した有機の評価は高い。一気に進めるのは難しいが、子供の成長とともにコツコツ積み重ねることが大事。消費者の理解を得るには農園の体験イベント、地域の対面イベントで消費者と生産現場が近くなることが、手間がかかるが確実。


(おおさかパルコープ、大阪よどがわ市民生協)

(生産者)環境に配慮した農産物の割合、そのうち有機JAS認証を受けたものはどれくらいあるのか。
(生協)ハートマークがついたものはアイテム数で10%、有機JAS認証を受けたものは1%程度。カタログ企画として2週間に1回あるかないかというレベル。
(生産者)要望はあるが足りないということか。
(生協)その通り。まとまった量の確保と同時に価格の問題もある。

(生産者)購買意欲を加速するため、エコポイントのような取組があれば購入意欲が上がるものか、印象を伺いたい。
(生協)難しい質問。沖縄産モズクで、共同購買利用分の一部をサンゴ基金とし、産地を応援している例があるが、利用を伸ばすためではない。需要に合ったおいしいものを継続的に提供するという本道で、利用を継続していただくことが大事だと考えている。

(生産者)農水省に農家への支援策をいろいろいただいてありがたいと考えている。有機を普及するには価格がハードルになっており、購買意欲を促す取組みがあれば、生産者もニーズがあるので頑張ろうという気持ちになれると思う。
(農政局)ご発言は受け止める。なお、環境配慮行動にポイントを付ける環境省の事業で、株式会社エーコープ近畿が参加している例があったと記憶している。

(生産者)慣行栽培と比較して有機が選ばれる事情、年齢、家族構成、性別といったことや商品志向に傾向があれば教えてほしい。これをもとに生産量を調整したり、変わった商品が欲しいという消費者が多ければちょっと変わった品種にチャレンジしたりすることができる。価格差についても教えてほしい。
(生協)ハート栽培マークの購買者は年配者の比率が高く、若年層は価格優先。価格差は、小松菜180g前後で慣行栽培より20円高の128円で販売している例がある。

(生産者)生産者情報はどのように消費者に伝えているのか。
(生協)カタログには生産者の写真や産地コメントを付けているが、パッケージには細かく表示していない。

(生産者)流通規格外(以下、「規格外」という。)の扱いについて伺いたい。有機では規格外ができやすく生産物の1割程度が規格外で廃棄となってしまい、調整が難しい。規格外の野菜が商品になれば慣行栽培より安い有機農産物が出せて、生産者にも消費者にもメリット。包装も野菜の入れ方を簡易化すれば、農福連携の取組にもつなげられる。無駄がなくなり、やる気も出ると思うが、規格外を扱う取組は行っているか。
(生協)規格外のニンジンを訳ありニンジンとして扱った実績があるが、毎週行っているわけではない。こうした取組みは商品に応じて見直している。

(生産者)産地から離れて小さなロットで販売する例もあると思うが、物流はどのようになっているのか。仲卸が入っているのか。小ロットをコストが高い宅配便で送ることもあるのか教えてほしい。
(生協)仲卸からが一番多く、倉庫から毎日入荷している。次いで全農、産直産地、生産者団体といった順で取引は多種多様。商品の納品は基本、日曜日から始まり、毎日必要な分だけ入荷。時間は朝4時から7時まで受付。宅配便は軽いものなどアイテムによって、少量でトラックを埋めることができず合理的であれば使うことがあるが、納入業者の判断。

(生産者)有機の場合、傷がついた商品が出やすい。虫食いがあるのを後ろ向きに捉えるのではなく、これを食べた芋虫がどんなきれいな蝶になっているだろう、といった前向きのストーリーを付けてアピールできないだろうか。食べ物は人間だけのものではないと思うので。
(生協)参考にさせていただきます。

4.まとめ

初めて企画した意見交換会でしたが、商品のアピールと付加価値、生協の品揃え、集荷から生産者と消費者の交流事業に至るまで幅広く話題とすることができました。
生産者、生協の双方から、消費者と生産現場が近くなる取組、環境に配慮した農産物に対する消費者の理解を深める取組の重要性についてご発言がありました。また、規格外の取扱いや流通の合理化について、個別農産物の事情に応じた生産者、生協の協力により改善できる可能性も感じられました。
近畿農政局では引き続き、生産、流通、消費を結ぶ取組みを進めてまいります。

お問合せ先

消費・安全部消費生活課

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