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近畿農政局

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近畿耕畜連携イニシアチブ現地調査 ~うめ生産者における土づくりのための牛ふん堆肥の活用~

和歌山県 みなべ町|岡田敦雄氏

 

 令和41216()、近畿耕畜連携イニシアチブの取組みの一環として、和歌山県日高郡みなべ町(うめ栽培面積約2,000ha)のうめ生産者である岡田敦雄氏及び和歌山県庁の担当者との意見交換を行いました。

 岡田氏は、昭和54年に農地造成されたうめ地3ha牛ふん堆肥を活用し梅の生産を行っています。

 岡田氏は、比較的平らで軽トラックが通行できるうめ園に生産を集中させ、管理道路やスプリンクラーを活用した薬剤散布装置の設置により省力化を図りながら、れき混じりの表土の薄い園地における土壌改良として、牛ふん堆肥(年間6001,000/20kg)を活用しています。牛ふん堆肥は、基本的に夏季に、うめの収穫を終えた後の梅干し作業の合間を縫って、人力やスプレッダーで園地全面に施用しています。

 県内に畜産農家は少なく、周辺地域の畜産農家が廃業したため、現在は古座川町の酪農家由来の袋詰め堆肥を、園地から車で5分の場所にある堆肥のストックヤードへ供給してもらい、それを近隣の農家と共同で利用しています。5年前、新宮までマグロを輸送している運送業者から、「新宮からの帰りに古座川町の畜産農家からたい肥を運んでくるので使ってみないか」と声を掛けられたことをきっかけに、牛ふん堆肥の利用が始まったそうです。  

 岡田氏は、牛ふん堆肥で足りない肥料成分は、化学肥料や有機配合肥料を施用しつつ、葉中の成分分析や土壌分析を行った上で、土に何が足りていないか、どのような対策を講じればよいかを考えながら施肥を実施しています。

 本地域では、うめ園に急傾斜地が多く、収穫作業に労力を要すること、老木園における改植が進んでいないことや、生産者の高齢化及び後継者不足が進んでいることなどを背景に、収穫量の減少に歯止めがかからない状況にあります。今後、肥料価格が高騰する中で、うめ農家における経営の安定を図っていく上で、県内外からの牛ふん堆肥の利用拡大を通じた低コスト化に取り組んでいくことも重要な課題の一つとなっています。
 

和歌山県 みなべ町|岡田敦雄氏のうめ園(写真手前のネットは鹿やイノシシの侵入防止柵)


うめの葉の分析結果に基づき必要な追肥の実施を説明する岡田敦雄氏

青いネットを梅の木の間に展開時期に非選択性除草剤を散布。完熟したうめの実はネットの上に落下し、傷をつけることなく収穫される(写真中央は剪定したうめの枝をチップ状にしたもの)




牛ふん堆肥をストックヤードから軽トラックで運搬し、スプレッダーや人力でうめ園全面に施用し土づくりを行っている






スプリンクラー(写真右側のもの)を設置し薬剤散布の省力化を実現したうめ園


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FAX番号:075-451-5337