食に関するセミナー「生食文化とそのリスクを知り、食事を楽しみましょう」を開催しました
令和8年7月15日(水曜日)、近畿農政局は食に関するセミナー「生食文化とそのリスクを知り、食事を楽しみましょう」を開催しました。近畿農政局の会場とオンラインを併用し、消費者等約100名の皆様にご参加いただきました。
講師に、石川県立大学生物資源環境学部食品科学科 中口義次准教授をお招きし、日本における生食の歴史と文化や生食の食中毒リスクについてご講演いただきました。

講演の様子
講演概要
講演では、日本の食文化に深く根付いている刺身・寿司・肉・卵・野菜などの生食について、その歴史的な背景や文化的な意義が紹介されました。(日本は周囲を海で囲まれ、古くから魚介類を生で食べる文化が発展してきたこと、日本書紀には膾(なます)の記録があり、江戸時代に発展した刺身、なれずしから現在の寿司へと変遷してきたことなどをたどりながら、生食文化が形成されてきた経緯や醤油や酢などの調味料の発達、冷蔵技術の進歩がその普及を支えてきたことについて解説がなされました。)。また、生食には、細菌、真菌、ウイルス及び寄生虫による食中毒の危険が伴うが、生卵や生野菜を日常的に食べる日本の習慣は、世界的に見ても特別であることが示されました。
一方、食中毒の危険性については、1996年の堺市における学校給食による腸管出血性大腸菌O157食中毒、2011年の牛肉ユッケによる食中毒、2012年の浅漬けを原因とした食中毒などを通じて、生食に関連する食品事故が死亡や重篤な後遺症につながる場合があることが示されました。さらに、近年は、魚介類の寄生虫であるアニサキスによる食中毒が増加傾向にあることや鶏肉の生食や加熱不足によるカンピロバクターによる食中毒が引き続き多く発生している現状についても解説がなされました。
このような中で生食を楽しむためには、食中毒予防の基本である「つけない」「増やさない」「やっつける」の三原則を軸に取り組むことが重要であるとともに、高齢者、乳幼児、妊婦、基礎疾患を有するなどの免疫力が低下している方の生食は、十分に注意する必要があるとの解説がなされました。
参加者からは「生食文化の魅力と食中毒リスクの双方を正しく理解し、安全な食生活を送るための学びが得られた。」などの感想が寄せられました。

江上消費・安全部長による開催挨拶(セミナー趣旨説明)

中口講師
質疑応答
果物の洗い方についての質問では、果物は皮の外側に病原体がついている可能性があるため、皮を十分に水洗いして皮を剥いて中身を早めに食べること、特に皮ごと食べる果物では丁寧な洗浄を心掛ける必要があるとの解説がなされました。
国産の卵の安全性についての質問では、海外ではサルモネラ属菌による汚染の危険性が高い事例も多く見られるが、日本では生産から流通・販売に至るまで厳格な衛生管理の下で行われていることから、生食が可能な水準の安全性が確保されているとの解説がなされました。
ぬか漬けの安全性に関する質問では、ぬか床は適切に管理すれば食中毒の原因となる細菌が生存できない環境であるため、安全にぬか漬けを楽しめる一方、浅漬けは製造方法が異なるため、食中毒の原因となる細菌の増殖に注意する必要があるとの解説がなされました。
また、野菜の洗い方に関する質問では、食器用洗剤で洗浄する必要はないが、溜めた水では食中毒の原因となる細菌が滞留して野菜に付着する場合があり、水道水などのきれいな流水で洗うことが重要であるとの解説がなされました。
近畿農政局では、今後もこのような消費者の方への食に関する正確で分かり易い情報提供を行ってまいります。

会場の様子

会場の様子
参考
食に関するセミナー(近畿農政局ウェブサイト)
食中毒から身を守るには (農林水産省ウェブサイト)
お問合せ先
消費・安全部消費生活課
ダイヤルイン:075-414-9771




