農業用ドローンで農家の「影」として農業を支える
滋賀県甲賀市|株式会社NINJA LINKSS
株式会社NINJA LINKSSは甲賀市土山町の旧鮎河小学校(以下「旧校舎」という。)を拠点に、農業用ドローンに係る、ドローンスクール事業、ドローン散布受託事業、ドローン販売とメンテナンス事業を主に展開しています。フランチャイズ方式により全国100拠点以上と連携(LINKSS)しており、特約店へのサポートの向上により、全国の農業者の支えとなるよう奮闘しています。

農家の要望が事業のきっかけ
代表取締役の樋口 生展 氏は、京都で菓子メーカーを経営しており、新たな素材の検討や製造過程で出る廃棄物の有効活用を模索する中で、農業に興味を持ちました。一方で、仕事で農機具を取扱っていた先代代表から、ドローンを飛ばしてほしいという農家からの依頼が増えているという話を聞いたことをきっかけに、ドローンの農業利用サービス(農薬・肥料散布等)を開始することを思いつき、それが現在の株式会社NINJA LINKSS(以下「NINJA LINKSS」という。)の起業につながりました(2021年に法人化し、起業時の社名はNINJA WORKS)。

意見交換の様子

メンテナンスルーム
農業用ドローン
現在、ドローンはDJI(中国製)を使用しています。特に需要があるのが25kgの薬剤を搭載できる機体でバッテリー1本で約15分稼働、1haなら10分くらいで農薬散布等が行えるスペックです。作業時にはバッテリーを効率良く交換していくことが求められます。バッテリーは1本25万円(税別)ほどしますが、それでも農業用ヘリコプターと比べると格段に安いです。また、機体のメンテナンスも大切で、NINJA LINKSSでは企業からの指導も受けつつ専用のメンテナンスルームで、しっかりと保守点検を行っており、特約店の技術習得を指導しています。
ドローン散布はイベントのように
ドローン事業の展開では移住者を増やすことは難しいですが、関係人口を増やしていくことはできます。特に若い人に関わってもらうためには「カッコイイ」と思われる姿を見せることが大事であり、イベント感覚で作業を進めたり、ユニフォームをカジュアルな物で揃えたりするなど、農作業のイメージを変えることを強く意識しています。

グランドでのデモ飛行

運用チーム図(提供:NINJA LINKSS)
ドローンの安全な運用のために
初期にはドローンの墜落や衝突事故が多発していたことを踏まえ、受託作業時の体制を見なおし、運用管理に「ニンジャモデル(パイロット、ナビゲーター、インダクティ、デリバリー)の4人体制」を確立しました。通常は2名で行う作業を、NINJA LINKSSでは4名のチーム体制で行うことにより安全に配慮しています。
湛水直播で試験栽培中
ドローンは日進月歩で進化し、出来る作業も日々増えています。NINJA LINKSSへの依頼も従来の病害虫防除、肥料散布、水やりに加えて、ビニールハウスの洗浄などについても相談されるようになり、運用の可能性は広がっています。一方で樋口 生展 氏はドローンによる湛水直播にも関心を持っており、現在、試験栽培に取り組んでいます。

ドローンで播種を行った試験ほ場

NINJA LINKSS ニュースレター(提供:NINJA LINKSS)
地元鮎河地域とともに
はじめは何をしているかわからないよそ者扱いだった同社ですが、地元農家の作業負担軽減につながる事業であることを理解いただき、少しずつ地域に馴染んできました。2か月に1度「NINJA LINKSS ニュースレター」を発行したり、旧校舎内に設置したトレーニングルームやグランドを無料開放したりするなどして地域に溶け込むよう努めています。現在は、農村RMOの構成員として、地域振興にも取り組んでいます。
今後の展開
拠点である旧校舎の一部でカフェレストラン、サウナ、ホテル事業の展開を考えており、安定した財源を確保することで、ドローン事業の強化など、新たな展開につなげていくことを検討していくとのこと。
ドローンの説明を受ける滋賀県拠点職員
株式会社NINJA LINKSS
https://ninjalinkss.jp/
お問合せ先
滋賀県拠点 地方参事官室TEL:077-522-4261