元独立リーガーが親子で守る地域の梨園
滋賀県東近江市|アグリん農縁 鈴村亜久里さん
東近江市愛東地域で、後継者不在で存続の危機にあった梨園を引継ぎ、親子で梨栽培に取り組む「アグリん農縁」を訪問し意見交換を実施しました。息子の鈴村亜久里さんは、かつてプロ野球選手を目指し独立リーグでプレーしていた異色の経歴を持つ若手農業者です。野球で培った努力と挑戦心を、今は地域農業の未来づくりに注いでいます。

アグリん農縁の鈴村さん親子 元独立リーガーの鈴村亜久里さん(右)
野球から農業へ
亜久里さんは高校卒業後、独立リーグの滋賀GOブラックスやYKSホワイトキングスでプレーし、日本野球機構(NPB)入りを目指していました。 その一方で、祖父の農業を継いだ父から、地域農業の担い手不足の現状を聞きます。幼い頃に親しんだ果樹園や田んぼの記憶とも重なり、「これほどおいしい農産物ができる農地が失われるのはもったいない」と感じるようになりました。 そうした思いから、野球人生の節目に農業の道を選択。令和5年秋に就農を決意しました。

収穫間近の梨園
(写真提供:アグリん農縁)

梨の開花状況を確認する亜久里さん
地域を守りたいという思い
当初は、県立農業大学校で基礎を学ぶことを考えていましたが、後継者を探している近隣の梨園を紹介され、「存続の危機にある農園があるなら守らなければならない」と考え、急遽、農業大学校への進学を取りやめ、父と共に梨園を引き継ぐ決断をしました。
ゼロからのスタートと試行錯誤
農業経験ゼロでのスタートは決して簡単ではありませんでした。最初に向き合ったのは剪定作業。「どの枝を残すべきか分からない状態からのスタートでした」と振り返ります。 果樹栽培は初めての父と試行錯誤を続け、果樹農家の親戚や普及員、近隣農家の指導を受けながら、一本一本の樹と向き合い、技術を積み重ねてきました。また、ほ場ごとの土質や樹の状態、品種特性の違いにも対応しなければならず、日々学びが続いています。

父と剪定枝について相談する様子
(写真提供:アグリん農縁)

梨の花
梨でつなぐ地域の農地
現在は、新植した農地も含め4か所、合計約80aの梨園を管理しています。 品種は、甘ひびき、幸水、豊水、あきづき、新高、豊月、香麗と多品種を栽培し、8月上旬から10月中旬まで長期間出荷しています。 引き継いだ園地には老木も多く、計画的な改植を進めながら品質向上に取り組んでいます。 収穫した梨は、主にあいとう直売館で販売されるほか、野球時代の縁を通じて洋菓子店への出荷も行うなど、新たな販路も広げています。
土づくりと資源循環へのこだわり
土づくりにはこだわりがあり、土壌診断を活用した施肥管理を行い、樹の状態に合わせた栽培を実施しています。また、剪定枝はチップ化し、ほ場へ還元することで、資源循環型の農業にも取り組んでいます。
機械類も農地と共に引き継いだものを活用し、コストを抑えつつ持続可能な経営を目指しています。

剪定枝を細断しウッドチップにする様子
(写真提供:アグリん農縁)

厳しい作業も丁寧に取り組みます
(写真提供:アグリん農縁)
スポーツで培った力を農業に
野球と農業には共通点があると亜久里さんは語ります、「すぐに結果が出ないこと、日々の積み重ねが重要なことは全く同じです」。その一方で、 農作業は一人で行う場面も多く、チームプレーだった野球との違いに戸惑いもありましたが、自ら作り上げる喜びを感じながら取り組んでいます。上を向いての作業など体力的に厳しい場面もありますが、スポーツで鍛えた身体が大きな支えとなっています。
将来への展望
将来は、地域に人を呼び込む仕組みづくりとして、観光農園の実現を視野に入れ、関係人口の拡大にも挑戦していきたいと熱く展望を語っていただきました。
お問合せ先
滋賀県拠点 地方参事官室TEL:077-522-4261





