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近畿農政局

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伝統の朝宮茶を次世代へ  急傾斜地で守り続ける茶業

滋賀県甲賀市|香山園 小山嘉孝さん

滋賀県甲賀市宮尻で日本五大銘茶のひとつに数えられる朝宮茶を栽培している香山園を訪問し、代表である小山さんに茶業の現状や課題についてお話を伺いました。 小山さんは、平成13年に公務員を退職し、父の営む茶業を継承するため就農。現在は約3.5haの茶園を管理し、伝統ある朝宮茶の生産に取り組んでいます。

茶工場で作業をする小山さん
茶工場で作業をする小山さん

傾斜地に広がる茶畑の景色
傾斜地に広かる茶畑
(写真提供:香山園)

急傾斜地での茶栽培

甲賀市朝宮地域の茶園は山間部の傾斜地に多く広がっています。収穫は主に手刈り機で行われますが、足場が不安定で危険も伴い、体力的にも非常に負担の大きい作業です。そのような厳しい環境の中でも、約1200年にわたり茶づくりが続けられてきました。これは、寒暖差や霧といった地域特有の気候が、香りに優れた高品質なお茶を育てるのに適しているためです。
小山さんは「効率化も大切ですが、品質を守るためには丁寧な収穫が欠かせません」と語ります。

手刈り機による収穫作業の様子
手刈り機による収穫作業
(写真提供:香山園)


収穫され茶工場に運ばれた茶葉
収穫され茶工場に運ばれた茶葉

共同茶工場での効率的な加工

収穫された茶葉は、地区の宮尻茶共同組合の茶工場で加工されます。5戸の生産者が約15ha分の茶葉を持ち寄り、4名体制・2ラインで効率よく熱処理されます。
茶葉は収穫したその日のうちに加工されるため、品質の高い状態を保つことができます。
こうした共同体制により、品質の安定化と作業負担の軽減が図られています。

多様なニーズに応える茶づくり

香山園では、5月の「一番茶」から始まり、「二番茶」「秋番茶」など季節ごとに茶の収穫が続きます。中でも「親子番茶」は特徴的で、新芽の後に育つ若い芽(子)と成長した葉(親)を一緒に収穫し、主にほうじ茶の原料として利用されます。
また近年は、覆いをかけて育てる「かぶせ茶」や、抹茶の原料となる「てん茶」にも取り組み、適した品種である「さやみどり」や「おくみどり」への改植も進めています。
用途に応じて品種や収穫方法を工夫し、多様なニーズに応える茶づくりが行われています。

高温で蒸される茶葉
高温で蒸される茶葉


揉捻機の茶葉の状態を入念に確認する小山さん
各工程で茶葉の状態を入念に確認する小山さん

安定した販売と市場動向

生産された茶は主にJAに出荷され、煎茶として委託販売されています。共同販売会や一部の相対取引も行われており、価格は比較的安定しています。てん茶需要が高まりを見せていますが、最近は煎茶の引き合いも強く、価格は上昇しています。生産者の高齢化が進む中、安定した収入が確保できれば、後継者育成の後押しになることが期待されています。

煎茶へのこだわり

近年は抹茶ブームの影響を受け、てん茶向けの需要が高まっていますが、小山さんは朝宮茶の伝統である「煎茶」も大切にしています。
ペットボトル飲料の普及により、急須でお茶を淹れる機会は減りつつありますが、朝宮茶の豊かな香りは、淹れたての煎茶でこそ最もよく感じることができます。

荒茶に加工されたできたての一番茶
荒茶に加工された一番茶

伝統ある朝宮茶の継承

小山さんたちが取り組む茶工場の共同利用は、急傾斜地という厳しい条件の中でも、品質と持続性を両立するモデルといえます。さらに、手間と高度な技術を要する荒茶加工を共同で行うことで、作業負担の軽減や新規参入のしやすさにもつながっています。一方で、後継者不足のため、伝統ある朝宮茶を次世代へ継承していくことが今後の大きな課題となっています。

たぬきが描かれたJAから出荷される朝宮茶の段ボール箱
JAから出荷される朝宮茶の段ボールには信楽のシンボルたぬきが描かれています

JAこうかで販売されている朝宮茶のパッケージ
JAこうかで販売されている朝宮茶

お問合せ先

滋賀県拠点 地方参事官室
TEL:077-522-4261