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近畿農政局

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希少な地鶏「龍神コッコ」を育てる「とりとんファーム」―地域に支えられている喜びを卵にのせて届けたい―

田辺市龍神村 石﨑源太郎さん・亜矢子さん

  田辺市龍神村で養鶏を営む「とりとんファーム」の石﨑源太郎・亜矢子夫妻にお話を伺いました。
  お二人は2017年に龍神村へ移住し、翌年から営農を始め、現在は夫婦2人で主に採卵鶏を約1600羽飼養する傍ら、1反半の水田で稲作も行っています。
鶏を抱える源太郎さん(左)と亜矢子さん(右)


  訪問するとすぐに鶏舎にご案内いただきましたが、鶏舎特融のにおいがほとんどしないことに驚かされるとともに、丁寧な飼養管理が行われていることがうかがえました。

〇鶏へのこだわり
  とりとんファームでは、国内で2軒(令和8年6月22日時点)しか飼養していない「龍神コッコ」を育て、その卵や鶏肉を販売しています。
  龍神コッコとは、絶滅の危機に瀕していた幻の龍神地鶏を原種に開発された和歌山県の採卵用地鶏であり、令和3年5月から田辺市龍神村で飼養が始まりました。卵は小ぶりでうま味成分(グルタミン酸)が一般の卵より多く含まれていることが特徴です。


飼養している龍神コッコ


一般的な卵(上)と比べた龍神コッコの卵(下)


  とりとんファームでは、珍しい龍神コッコ約400羽を平飼い(※)で飼養しています。鶏舎は1区画あたりの飼養数を100羽程度とすることで、鶏が自由に動き回ることができる環境を整え、ストレスの軽減を図るなど、アニマルウェルフェアにも配慮しています。
  「(毎日丁寧に世話をしているため)『餌をくれる人』と鶏が覚えてくれているのだと思います」と源太郎さんは嬉しそうに話します。


餌を持って近づくと鶏が集まります

(※鶏舎内又は屋外において、鶏が床面又は地面を自由に運動できるようにして飼養する方法。日本では、採卵鶏の約95%以上が「バタリーケージ」(ケージ飼い)で飼育されており、平飼いや放し飼いなどの「ケージフリー飼育」は、全体の約4%にとどまります(※1)。世界的にはケージ飼育を禁止する動きがありますが、日本ではまだケージ飼いが主流です。)

  とりとんファームでは、飼養方法だけでなく、鶏に与える飼料にもこだわっています。
  国産のトウモロコシを主体に、酒粕や割れた小さな米などの地域資源や食品製造事業者から引き取った製造時の食品残渣などを活用し、20種類以上の原料を混ぜた手作りの発酵飼料を与えています。発酵飼料を与えることで、消化・吸収がしやすくなり、腸内環境が整い、卵の味も良くなるとのことです。
  「多くの原料を混ぜたり、季節によって配合を変えることは、手間はかかるが規模が大きくないからこそできる」と自らの営農規模を活かした経営をされています。
  また、鶏糞は堆肥として活用し、自ら耕作する農地へ還元することで地域内での資源循環にも取り組んでいるとともに、希望者がいれば無料で配布しているとのことです。


国産トウモロコシ


食品製造工場で発生する中華麺の残渣


乳酸発酵させた、豆腐の残渣


ミキサーで原料を混ぜ、自家製の発酵飼料を作ります

    〇課題と今後の展望
      龍神コッコは卵が小ぶりで一般の流通に乗せづらいことや、産卵数が一般品種より少ないといった課題がありますが、龍神コッコの魅力をより多くの人に知ってもらい、飼養農家を増やすことが必要だと石﨑夫妻は語ります。

      「とりとんファーム」は「鶏(とり)」と「豚(とん)」の農業をしたいと名付けたもの。豚は食用として活用するだけでなく、鼻で土を掘り返す習性を利用し、耕作放棄地や荒れ地を耕す(一般的には「鼻耕法」と呼ばれる。)ことで、農地の再生にもつなげていきたいと考えています。将来的には、耕作放棄地を活用した放牧養豚に加え、豚が耕した土地でアイガモ農法を用いた稲作、さらには酪農にも取り組んでソフトクリームやチーズなどの加工品の製造・販売も行いたいと考えているとのことです。
      発酵させた鶏舎の敷きわらを水田へ還元し、水田から得られる稲わらを乳牛の飼料とし、乳製品製造時に生じるホエーを豚の飼料とするなど、循環型農業を目指すとともに、多角化させることで不慮の事態に対応できる「強い農業」を目指しています。

      「移住して養鶏をする中で、地域の方からの応援をいただき、お金以上の価値を感じている。その喜びを卵や肉に変えているだけ。それができるのが農業の素晴らしいところ」と語る源太郎さん。
    龍神コッコの飼養農家の拡大に向けた取組や資源循環の取組など、地域に根ざした持続可能な農業の今後の展開に目が離せません。


      とりとんファームの卵は、道の駅(水の郷日高川龍游)や、一部スーパーマーケットや産直市場、オンラインショップ等で販売しているとのことです。



      とりとんファームHP:https://toriton-farm.com/(外部リンク)
      Facebook:https://www.facebook.com/toritonfarm/(外部リンク)

      ※1国立国会図書館「調査と情報」No.1344「採卵鶏のアニマルウェルフェア-飼養システムをめぐる国内外の動向-」https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info:ndljp/pid/14632280)

      (取材日:令和8年6月22日)

      お問合せ先

      和歌山県拠点

      ダイヤルイン:073-436-3831