このページの本文へ移動

東北農政局

メニュー

青森地域からの便り(令和5年度)


青森の「農山漁村の季節の風物詩」、「農産物直売所、農漁家民宿等の取組」、「村おこしイベント」、「農山漁村の行事、お祭り」、「郷土料理」など東北各地域の取組や様子などを紹介します。

寒風に揺られる丹色のカーテン~江戸時代から続く伝統の干し柿作り~ -青森県・南部町-(2024年1月22日掲載)

青森県の東側、南部地域にある名久井(なくい)岳は、山の端正な姿から南部小富士と呼ばれています。その名久井岳の麓にある南部町鳥舌内(ちょうしたない)地区では、妙丹柿(みょうたんがき)を使った干し柿作りが盛んに行われています。
 
妙丹柿は、長宝珠形をした小型の渋柿で、その昔、南部の殿様が参勤交代の帰り道、福島県会津地方から持ち帰ったと言われています。枯れることがないよう大根に差して運ばれた一枝は、地域に根付き、冬場の農家の収入源として大切に守られてきました。高さは十数メートル、樹齢200年を超える巨木が地域に点在し、晩秋、鮮やかな丹色(にいろ)の実を実らせています。
 
鳥舌内地区では、11月下旬になると一斉に干し柿作りが始まります。六間(約11メートル)を超える長いはしごを使って収穫した妙丹柿は、一個一個皮をむき、一尺八寸(約55センチメートル)の竹串に横から10個刺し、それを10列にすだれのようにつなげます。「ひとづら」、「ふたづら」と数えられ、屋根のかかった乾燥場で約一か月間外気により乾燥させます。ずらりと並べられた柿は、まるで丹色のカーテンのようです。寒風にさらすことで、ゆっくりと渋味が抜けて、甘みを増し、濃いあめ色に変わると干し柿は完成です。
 
伝統ある干し柿作りですが、柿は高木で折れやすく、はしごを使った収穫作業は危険を伴います。柿の実は小さいながら重量感があり、運搬等は重労働。最盛期には25軒余りで作っていましたが、高齢化や後継者不足により、今では2~3軒残るのみ。お話を伺った70代の生産者は、「妙丹柿の干し柿は、繊維質が少なく、甘みが強いことが特徴。若い頃は毎年1,200づら程度作っていたが、今は400づらが限界。体調が許す限り、作り続けていきたい。」と話していました。
 
南部町の干し柿は、町内の産直施設等で購入することができます。素朴な甘さ、昔ながらの味をぜひ堪能してみてください。
 

  • お問合せ先:名川チェリーセンター
  • 住所:青森県三戸郡南部町大字虎渡字西山27-1
  • 電話:0178-75-0166


(情報収集)青森県拠点  電話:017-775-2151

寒風に揺られる丹色のカーテン~江戸時代から続く伝統の干し柿作り~

妙丹柿の巨木
たわわに実った妙丹柿の巨木

皮をむいた柿
皮をむいた柿
長年、使用した木箱は柿渋によって深紫色に染まっていました

干し柿のカーテン
寒風に揺られる丹色のカーテン

干し柿
濃いあめ色となった干し柿

(写真:青森県拠点職員 撮影)

津軽の料理を後世に伝える、津軽あかつきの会 -青森県・弘前市-(2023年10月20日掲載)

青森県弘前市を拠点に活動している「津軽あかつきの会」は、郷土に伝わる料理を後世に伝えるため、「レシピにまとめ・実際に作って・食べる」をモットーに、事前予約制の食事会の他、食材の仕込みから調理までの郷土料理教室などの活動を行っています。
 
津軽地方の農村部では、昭和の中頃までの冠婚葬祭や田植え等の行事において、近所が協力して郷土料理を作り食べる機会がありました。近年は、その機会が少なくなり、このままでは地元の旬の食材で調理する、漬ける、干す、発酵させる様々な工夫を施した郷土の料理が失われてしまうと、平成13年に農家の女性たちを中心に会が結成されました。現在は30歳代から80歳代まで33名の会員が活動しています。
 
訪れた食事会では、厨房で7名の会員の方々が和気あいあいと調理しており、食事会に来ていた女性グループの方々が、「この料理、昔食べたことがあり懐かしい」、「りんごきんとん、食べやすくて美味しい」等と楽しそうに食事をされていました。
 
副会長の森山千恵子さんは、「私達の会は、地域に伝わる料理を後世に伝える活動を津軽伝承料理と称し活動をしています。地域のお年寄りに料理方法を聞き、実際に作って食べてみることが楽しく、営利目的ではなく美味しくて健康的な料理を広めたくて食事会を開いています。評判が口コミで広がり、ファンやリピーターも増え、いまや予約客は全国や海外からやってきます。この活動に興味を持たれる方が年々増えており、先日も市内の高校から、全国料理コンクールに郷土料理の食材の棒たら(マダラの乾物)を使った料理を開発したいので、レシピ作りにアドバイスしてくださいと声がかかり、一緒に楽しく取り組みました」と話されていました。
 
皆さんも、食事会に訪れ、津軽地方に伝わる食の知恵が詰まった「味」を堪能してみませんか。
 

  • お問合せ先:津軽あかつきの会
  • 住所:青森県弘前市大字石川字家岸44‐13
  • 電話:0172-49-7002 ※予約:090-7665-8468(事務局 森山)
  • WEBページ:https://tsugaruakatsuki.wixsite.com/tsugaru-akatsuki[外部リンク]
  • レシピ本:「津軽伝承料理」


(情報収集)青森県拠点  電話:017-775-2151

津軽の料理を後世に伝える、津軽あかつきの会

メンバーの皆さん
会長宅を活用した活動拠点の玄関前で、笑顔が弾ける会のメンバーの皆さん

食材を丁寧に仕込む会のメンバーの皆さん
笑顔を絶やさず地元の食材を丁寧に仕込む、会のメンバーの皆さん

取材当日の献立
この日の献立は、棒たら煮、飯寿司、いがめんち、塩くじらとなす炒め、りんごきんとん、しそ寒天、大鰐温泉もやし等々

郷土料理を食べながら談笑
郷土の料理を食べながら談笑していた女性グループの方は、来年1月の食事会の予約をされていました

(写真:青森県拠点職員 撮影)

あどはだりするほど美味しい「なみおかバサラコーン」 -青森県・青森市-(2023年7月20日掲載)

皆さんは、「あどはだり」という津軽弁をご存じですか?
津軽弁であどはだりとは、「もう一度」、「おかわり」、「アンコール」という意味です。
 
青森市浪岡地区では、平成14年度から水田の転作作物として、種苗店や青果市場の協力を得て、浪岡地区だけのオリジナル品種のとうもろこし作付けを推進し、平成22年度には他の産地との差別化を図るため、「なみおかバサラコーン」として商標登録を行っています。
 
「なみおかバサラコーン」の特徴は、統一された栽培管理方法によって、1本の重さが一般のものと比べて20%~30%大きいので重く、450グラムほどになること。また、強い甘さと、さやが大きく粒がそろっていることです。これは、品質確保のために、充分な光が当たるよう、植え付け本数を少なくしているためです。通常10アールに約4,000本作付するところ、2,500本(約60%)として、収穫量は約40%少なくなりますが、糖度は平均16~17度と果物と同程度の甘さになります。
 
播種期から栽培管理方法、出荷日まで一貫してJAが管理しており、7月下旬から8月下旬までの収穫期間に、計画・安定的に供給ができるよう14名(栽培面積は約6ヘクタール)いる生産者の播種日が指定されています。また、すべての生産者が、環境にやさしい農業に取り組むエコファーマーの認定を受け、肥料メーカーと共同開発した専用肥料を使用し、品質の安定を図っています。
 
令和5年6月19日にJA主催で開催された現地講習会では、降雨の影響で若干の播種遅れ等があったものの、生育は順調であり、このまま生育すれば収穫始めは7月27日頃になるため、これからの栽培管理をしっかり行うよう説明がされていました。令和4年産は8月の大雨被害を受けて減収となりましたが、説明を聞いている生産者の皆さんからは今年にかける強い思いが伝わってきました。
 
「なみおかバサラコーン」は収穫後、青森市内のスーパーや道の駅なみおかアップルヒル内にあるJAフルーツショップ、JAタウン等でお買い求めできますので、是非一度ご賞味ください。絶対に「あどはだり」したくなりますよ。
 
※バサラコーンの「バサラ」は、漢字で書くと「婆娑羅」。言葉の意味は「遠慮なく、勝手に振る舞うこと」ですが、時代に風を起こした人々が「婆娑羅な者」と称され、讃えられたことに由来するもの。
 

  • お問合せ先:JA青森浪岡支店浪岡営農センター
  • 住所:青森県青森市浪岡大字浪岡字細田42-2
  • 電話:0172-62-4114
  • WEBページ:https://www.jaaomori.or.jp/tokusan_corn.html[外部リンク]


(情報収集)青森県拠点  電話:017-775-2151

あどはだりするほど美味しい「なみおかバサラコーン」

JA青森浪岡営農センター 佐々木係長
現地講習会(6月19日)で説明するJA青森浪岡営農センターの佐々木係長

6月19日現在の生育状況
現地講習会時の生育状況です。約1ヶ月後には収穫ですが、大雨等の被害がないことを祈るばかりです。

収穫間近のとうもろこし
収穫間近(令和2年撮影)のとうもろこし

なみおかバサラコーン
粒が大きく、食べ応えが充分にある。これが「なみおかバサラコーン」です。

(写真 1、2枚目:青森県拠点職員 撮影、3、4枚目:JA青森浪岡営農センター 提供)