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東北農政局

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青森地域からの便り(令和6年度)


青森の「農山漁村の季節の風物詩」、「農産物直売所、農漁家民宿等の取組」、「村おこしイベント」、「農山漁村の行事、お祭り」、「郷土料理」など東北各地域の取組や様子などを紹介します。

全国唯一この町でしか見ることのできない、五穀豊穣を祈願する「弥生画」-青森県・鶴田町-(2025年1月20日掲載)

鶴田町では、約200年以上前から伝わる「弥生画」が制作されています。
「弥生画」とは、収穫された小豆や菜種などの穀類の種子20数種類を、着色などを一切行わず一粒ずつ貼り付けて制作する「絵」のことです。完成した「弥生画」は毎年年末に五穀豊穣を祈願して神社に奉納され伝統文化のひとつとなっています。
歴史を紐解くと、寛政元年(1789年)、夏中、日照りが続き、思い余った農民たちが残り少ない種子を持ち寄り、餅で作った糊で板に張り付けて雨の神様に祈願し、その種を土に植えたところ、大豊作になったことから、作られるようになったのが「弥生画」の始まりとされています。
「弥生画」の名称は、弥生時代に多くの穀類の種子が中国大陸から朝鮮半島を経て、日本に入って来たことにちなんで命名されたと言われています。
現在、町内では元町弥生会と山道弥生保存会の2つの団体がこの伝統を引き継いでいます。このうち、元町弥生会では、会長の吉田亘さんを筆頭に総勢13名で活動しており、奉納場所である鶴田八幡宮の神楽殿に集まって制作作業を行っています。
制作は「絵」に使用する種子を何にするか話し合い、約20種類の種子を集めるところから始まります。中にはどうしても似たような色の種子が見つからないこともあり、その場合は下絵そのものを絵として使うことがまれにあるそうです。
今回の題材は「恵比須天と弁財天」。24種類の種子を使用して、昨年11月18日から制作に取りかかり、12月29日に完成。12月31日に鶴田八幡宮へ奉納(正面鳥居へ設置)されました。
奉納後、吉田会長は「令和7年は、大きな災害がなく、平穏な一年であってほしい。そして、天候に恵まれ収穫を喜びたいものだ。」と話していました。
制作された弥生画は、1月末まで鶴田八幡宮に飾られ、その後は「道の駅つるた」に展示されますので、鶴田町にお越しの際はぜひ一度「弥生画」をご覧ください。

お問合せ先:鶴田町役場 商工観光課
   住所:青森県北津軽郡鶴田町大字鶴田字早瀬200-1
   電話:0173-22-2111(代表)
   WEBページ:青森県鶴田町観光情報サイト「メデタイ・ツルタ」[外部リンク]

縦1.9メートル横3.2メートルの
「弥生画」の完成に向けて
集中して制作作業中
一粒一粒根気よく種子を
貼り付けていきます

色違いの大豆等で制作された、
完成間近の恵比寿様
完成した「弥生画」が
鶴田八幡宮に奉納されました

(1、4枚目 元町弥生会 提供、2、3枚目 青森県拠点職員撮影)

南部町の秋を彩る伝統食材「食用菊」-青森県・南部町-(2024年10月21日掲載)

青森県では菊の花びらを野菜の一種として食べる文化があり、スーパーや直売所では、菊の花が野菜と一緒に並んで販売されています。また、県内では家庭菜園でも食用菊を植えている様子が多く見られます。
青森県の南東部に位置する南部町は、果樹栽培を中心とした農業と県内有数の食用菊の生産地となっています。「阿房宮(あぼうきゅう)」や「十五夜」など、様々な品種が昔から栽培され、秋を迎えると町のあちこちで開花の様子が見られます。
秋の食卓を彩る食用菊は、昔からおひたしや和え物などの郷土料理として親しまれ、食文化として継承されてきました。花びらを沸騰したお湯でさっと茹でて冷水にさらすだけで、シャキシャキとした食感のおひたしは簡単で定番料理です。
10月下旬から11月上旬に収穫される「阿房宮」は、特に香り高く鮮やかな黄色が特徴で、ほとんどが「干し菊」に加工されることで、カラフルな色彩が食卓を華やかに彩り、1年中楽しむことができます。
町内で食用菊を生産しながら加工品開発にも取り組んでいる有限会社村井青果の村井ユリ専務取締役は、「食用菊は色鮮やかで美しく風情があり、昔から地域で親しまれている伝統的な食材です。これからも菊を食べる食文化を継承し、魅力を発信していきたい。」と話されていました。同社は、干し菊をはじめ、菊を使用したサイダーや菊のがくを使用した佃煮、菊とレモンのお茶などを開発し、様々な食べ方を提案しています。
食用菊の加工品は、青森県内の道の駅や地域の農産物直売所のほか、八戸市の「ユートリー(八戸地域地場産業振興センター)」などで販売されており、青森県の伝統食材として外国人観光客にも人気です。
南部町の季節の風物詩である食用菊、その色鮮やかでトラディショナルな魅力は国内を超え、日本国外の方の心をも惹きつけています。売り場で見かけた際にはぜひ手にとってお試しください。

お問合せ先:有限会社 村井青果
   住所:〒039-0611 青森県三戸郡南部町斗賀字二反田7-2
   電話:0178-75-1040
   WEBページ: 有限会社 村井青果公式ホームページ[外部リンク]

収穫最盛期の食用菊「十五夜」。同社のほ場では「十五夜・八戸ぎく1号・阿房宮」3種類の菊を栽培しています。 色とりどりの食用菊
が秋の食卓を彩ります。

干し菊に加工しています
(蒸した花びらを乾燥中)

菊をふんだんに使用した料理
「そばの菊巻き」

(1、2枚目 青森県拠点職員撮影、3、4枚目 有限会社村井青果 提供)

田んぼに現れた巨大絵「田んぼアート」が見頃を迎えています -青森県・田舎館村-(2024年7月22日掲載)

昭和56年に約2,100年前の弥生時代中期の水田跡が発見された、田舎館村の「田んぼアート」を紹介します。
「田んぼアート」とは、田んぼをキャンバスに見立て、色の異なる稲で巨大な絵や文字を表現しているものです。
絵の図柄の部分には、古代米と呼ばれる葉色が濃い紫や黄色の稲と、観賞用の白色、橙色、赤色などの稲を展望台からの眺望に合うように、遠近法や測量技術を駆使して植えています。
田舎館村の田んぼアートは平成5年、約2,100年の歴史を誇る村の基幹産業である稲作で、地域おこしとして企画した田植えや稲刈りの体験ツアーが始まりです。
当初から9年間は、村職員が考案した地元の岩木山と「稲文化のむら いなかだて」の文字を3色の稲で描きました。平成15年に世界の名画「モナリザ」を描いたところ全国から多くの反響があり、翌年には遠近法を取り入れ、この頃から「田んぼアート」と呼ばれるようになりました。
現在では7色10種の稲を用い、高い技術力を駆使して毎年精巧で色鮮やかなアートを披露しています。
村企画観光課の大高浩慎さんは、「スタート時は25アールの田んぼアートでしたが、今では役場と道の駅に隣接した2つの会場で2.5ヘクタールになりました。また、年間来場者も20万人を超える年もあり、今年で31年目を迎える大きなイベントに成長しました。田んぼアートは、7月中旬から8月中旬が見頃ですが、そのあとも葉の色の変化によって変わる表情を、多くの方に楽しんでいただきたいですね。」と話されていました。

お問合せ先:田舎館村役場
   住所:〒038-1113  青森県南津軽郡田舎館村大字田舎舘字中辻123番地1
   電話:0172-58-2111
   WEBページ:田舎館村田んぼアートオフィシャルサイト [外部リンク]

スタートした平成5年の絵文字 令和6年5月~6月、
設計図をもとに
職員による測量作業
第1会場(役場隣接)
(令和6年7月12日撮影)
今年は「新千円札」のデザイン
(左:神奈川沖浪裏、右:北里柴三郎)

第2会場(道の駅隣接)
(令和6年7月12日撮影)
デザインは、津軽を舞台にした
TVアニメ「じいさんばあさん若返る」

(写真4枚:田舎館村企画観光課 撮影・提供)