青森地域からの便り(令和7年度)
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元イタリアンシェフが継ぐ南部地方の羊食文化(NPO法人階上フロンティア)-青森県・階上町-(2025年7月22日掲載)
青森県の南部地方は、冷涼な環境を好む羊には理想的な気候風土で、階上町には約半世紀前から育羊の歴史があり、最盛期には10数軒の羊農家が存在していました。
NPO法人階上フロンティア理事長の関口さんは、ローマでの修行経験をもつイタリアン料理人で、2006年に東京都からIターンで八戸市に移り住んできました。
八戸市に移住して地元食材への興味が高じ、階上町で蕎麦職人に転身したところ、町内の産地直売所で、羊農家をしていた堰合(せきあい)勝美さんの食用羊と出会いました。出会った当時、階上町には羊農家が1軒のみで70代の高齢で、後継ぎもいないため辞めるつもりだと聞き、消えつつある階上町食用羊の文化を、ここで途絶えさせてはならない、と思う使命感から農業経験ゼロにもかかわらず堰合さんに弟子入りを志願して2015年に事業を継承しました。
当初、サフォーク種の原種7頭を譲り受け、元町営スキー場の遊休地を借り、自力で草刈りや柵張り作業を行いました。大人しく飼いやすいと思っていた羊は、実は凶暴で毎日が格闘だったそうです。周囲の皆さんの助けや協力もあり、羊飼いになって10年目の現在は約70頭を飼育し年間約20頭を出荷できるようになりました。
牧草を中心とした飼料に、隣町の豆腐店から無償提供頂いた「おから」を配合するなど、肉質にもこだわる飼育を心掛けています。元イタリアンシェフということもあり、「料理することを考えて飼育できることが最大の強み」と関口さんは語ってくださいました。
関口さんが生産した羊肉は、羊齧(ひつじかじり)協会を通して、東京のレストラン、青森市や八戸市の料理店にも提供しています。
「縁があって受け継いだ羊文化を次世代に繋げるよう、飼養200頭まで拡大し、第2分場の増設、地元地域へ精肉として販売することを目標に取り組んでいきたい。」と力強く話していただきました。
お問合せ先:NPO法人階上フロンティア「南部羊プロジェクト」
(羊齧協会北東北支部)理事長 関口 博樹
住所:〒031-0073 青森県八戸市売市鴨ヶ池32-4
電話:090-7553-9726
![]() 餌を食べる羊たち |
![]() 飼育小屋の様子 |
![]() 羊の飼育に取り組む関口さん |
![]() 脂ののった羊肉 |
(1、2、3枚目 青森県拠点職員撮影、4枚目 NPO法人階上フロンティア「南部羊プロジェクト」 提供) |