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東北農政局

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福島地域からの便り(令和5年度)


福島の「農山漁村の季節の風物詩」、「農産物直売所、農漁家民宿等の取組」、「村おこしイベント」、「農山漁村の行事、お祭り」、「郷土料理」など東北各地域の取組や様子などを紹介します。

稲作の伝統文化を継承する本揃田植踊り保存会 -福島県・大玉村-(2024年1月9日掲載)

安達太良山の麓にある大玉村は、福島県のほぼ中央に位置し、肥沃な大地に恵まれた農業が盛んな農村地帯です。今回は、大玉村玉井地区に250~300年前から受け継がれている「本揃(もとぞろ)の田植踊」(以下、「田植踊」という。)と呼ばれる民俗芸能を紹介します。
 
田植踊は、藩政時代に「作柄視察に訪れた検見使(けんみし)の接待の一つとして踊られたもの」とか、「松平定信が豊作祈願として踊るよう奨励したもの」などと伝えられています。
田植踊の演目は22種類ありますが、現在は11種類の演目で踊られており、演者は久六(鍬頭)、早乙女、奴、狐、火男(ひょっとこ)と笛、太鼓、唄のいずれかの役をこなします。演目内容は、稲作の苗代作りから始まる作業工程を表現したもの。前口上などは歌舞伎の一節が取り入れられています。
古くは旧暦1月14日の小正月(こしょうがつ)に、豊作祈願や、歳直し(男性42歳の厄年)などの厄払いとして、各家から依頼を受けて田植踊を演じていましたが、近年は村の催事などで披露されています。
 
「本揃田植踊り保存会」(以下、「保存会」という。)は、現在、大玉村7区の住民によって継承されており、会員は約25名、うち男性の踊り手が15~16名と着付けを補助する女性がいます。
保存会会長の橋本富夫さんや副会長の後藤芳一さんからは、「戦時下以降一時は途絶えた時期もあったが、昭和49年に集落の年配の方からの声掛けで、当時の青年たちが伝承のために保存会を復活させた。現在の課題は、後継者の確保である。少子化もあるが、若者に呼び掛けても休みの都合や恥ずかしいなどの理由で断られている。最近、消防団等に声掛けをし、5名が入会した。若手の保存会員も増えつつあり、田植踊の後継者育成に期待が持てるようになった。大玉村の伝統文化を次の時代に継承できそうだ。」と話されていました。
 
2012年から、学習活動の一環として、保存会が玉井小学校5年生に田植踊の演技指導を行い、学習発表会で田植踊を発表しています。保存会の活動は、村の振興と伝統文化の継承を支えています。

 

         (情報収集)福島県拠点  電話:024-534-4142


稲作の伝統文化を継承する本揃田植踊り保存会

「本揃田植踊り保存会」の皆さん
「本揃田植踊り保存会」の皆さん

令和4年秋に演じた「本揃の田植踊」
令和4年秋に演じた「本揃の田植踊」

令和5年春に演じた「本揃の田植踊」
令和5年春に演じた「本揃の田植踊」

保存会会長の橋本富夫さんと副会長の後藤芳一さん
「本揃の田植踊」の内容を説明してくださった保存会会長の橋本富夫さん(右)と副会長の後藤芳一さん(左)
(写真 1~3枚目:大玉村教育委員会 提供、4枚目:福島県拠点職員 撮影)

自給自足のお裾分け!自家生産・地元素材へのこだわり -福島県・会津坂下町-(2023年10月5日掲載)

農家レストラン蕎麦カフェ「ファットリアこもと」(fattoria:イタリア語で農場)は当初、自給自足を目指して趣味的に有機農業を取り組んでいた際にグリーンツーリズムを受け入れたことがきっかけで、レストランでの飲食提供も始められました。
 
お店のある地区はもともと、たばこ畑が広がる地区でしたが、たばこの栽培が斜陽になって、蕎麦と小麦が栽培されるようになりました。「目の前の畑で収穫された地元の蕎麦と小麦「ゆきちから」を使い地元素材のお料理を食べていただきたいという想いで、この店でしか味わえない味を目指しています。」と代表の五十嵐さんは話されます。
 
有機農業を始めたのは、自給自足的な生活にあこがれ、何でも自分たちで作ってみようというところが出発点でした。お米づくりから始まり、野菜や養鶏へと発展し、今では水田約10ヘクタール、畑70アールに作付し、鶏250羽ほどを飼育しているとのことです。
 
一部水田では雑草抑制のため紙マルチを使用した栽培で有機JASの認証を受け、畑も栽培期間中は農薬・化学肥料は使わない栽培。鶏は自家栽培米等をメインに与え生産しています。お米を食べている鶏の卵は黄身の色が淡いレモン色になり、それが自家製プリン等の色にも現れ、お客様から大変好評を頂いているとお話くださいました。
 
国際情勢に大きく影響を受ける輸入飼料、輸入肥料を使用せず、できるだけ地元の資源を活用していきたいとの思いで「もともと自給自足を目指していて、それを皆さんに少しお裾分けしている感じですかね。」と話され、既に有機農業に取組んでいらっしゃる五十嵐さんにとっては農林水産省のみどりの食料システム戦略については大いに共感できるとのこと。
 
「今後も地元に潜在している食材を活用し、美味しいものを創造していきたい。『美味しいものが食べたいと思ったら、「こもと」に来て下さい。』そんな風に言えるお店を目指している。」といきいきとお話くださいました。

 

  • お問合せ先:蕎麦カフェ「ファットリア こもと」
  • 住所:〒969-6586 福島県河沼郡会津坂下町坂本糠塚乙1144
  • 電話:0242-83-1101
  • WEBページ:https://comoto.jp/concept.html[外部リンク]
               
         (情報収集)福島県拠点  電話:024-534-4142


自給自足のお裾分け!自家生産・地元素材へのこだわり

店舗外観
店舗外観

ナチュラルテイストの店内
ナチュラルテイストの店内

地区内のそば畑
地区内のそば畑

地元素材を使用した「オリーブオイルの冷かけ蕎麦」
地元素材を使用した
「オリーブオイルの冷かけ蕎麦」
(写真:福島県拠点職員 撮影)

たむらのエゴマで「じゅうねん」元気に! -福島県・田村市-(2023年7月5日掲載)

「エゴマを食べると寿命が10年延びる」。福島県のあぶくま高原地方ではこのような伝承があり、エゴマは「じゅうねん」と呼ばれ、実をすって餅とからめたり、夏の暑い日にはうどんの冷やだれなどとして食されてきました。
 
エゴマは古くから日本各地で栽培されていましたが、エゴマの油を食用に利用することは少なかったそうです。そんなエゴマ油が食用として広まったのは、旧船引町(現:田村市船引町)出身の生産者が、平成10年に韓国から搾油機を輸入して搾油技術を確立させたことがきっかけ。これ以来、田村市はエゴマ油生産の先駆けの地とされています。
 
では、どうして「エゴマを食べると寿命が延びる」という言い伝えがあるのでしょうか。エゴマには人の体内で作ることができない必須脂肪酸の1つである「αリノレン酸」が多く含まれています。田村市のエゴマ文化が盛んになったのも、このエゴマの栄養成分の重要性が地域の方々に伝わったからとされています。
 
田村市では現在40名ほどが、田村市エゴマ振興協議会の会員としてエゴマを生産しています。田村市のエゴマは化学肥料を使用せず、植付けから収穫までを手作業で行うことがこだわり。そして、収穫されたエゴマを協議会で買い取り、丁寧に搾油して完成するのが「たむらのエゴマ油」です。この「たむらのエゴマ油」は令和5年1月31日に地理的表示(GI)保護制度に登録されました。
 
「たむらのエゴマ油」には手摘みした実をコールドプレス製法で搾った「生搾り」と、手摘みした実を煎ってから搾った「焙煎」の2種類があり、どちらも酸化による雑味が少なく、エゴマ本来の香りを強く感じられるエゴマ油です。エゴマ油なら毎日小さじ1杯程度で、オメガ3系脂肪酸の1日の摂取目安量を取ることができますので、ドレッシングにしたり、ヨーグルトや納豆などにかけるのが簡単でおすすめの食べ方です。
 
「たむらのエゴマ油」は田村市ふるさと納税の返礼品に採用されており、また「たむらのえごま 公式オンラインショップ」等で購入が可能です。皆さんも毎日のエゴマ油を習慣にして、「じゅうねん」元気に過ごしましょう。

 

  • お問合せ先:田村市エゴマ振興協議会事務局(田村市役所産業部農林課内)
  • 住所:〒963-4393 田村市船引町船引字畑添76-2
  • 電話:0247-81-2511
  • WEBページ:https://shop.tamura-egoma.com/[外部リンク]
               
         (情報収集)福島県拠点  電話:024-534-4142


たむらのエゴマで「じゅうねん」元気に!

田村市エゴマ振興協議会会長 根本 君枝さん
田村市エゴマ振興協議会会長の根本 君枝(ねもと きみえ)さん

エゴマの定植作業の様子
6月22日に行われたエゴマの定植作業の様子。田村市エゴマ振興協議会の会員や職場体験中の高校生など、15名で約7,000株を定植しました。

たむらのエゴマ油
令和5年1月にGI登録された「たむらのエゴマ油」。緑のラベルが「生搾り」、白のラベルが「焙煎」です。

えごまの実(白・黒)
「えごまの実(白・黒)」。田村市では「田村白種(写真右)」と「田村黒種(写真左)」が広く栽培されています。
(写真  1枚目:田村市エゴマ振興協議会 提供、2~4枚目:福島県拠点職員 撮影)