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東北農政局

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福島地域からの便り(令和6年度)


福島の「農山漁村の季節の風物詩」、「農産物直売所、農漁家民宿等の取組」、「村おこしイベント」、「農山漁村の行事、お祭り」、「郷土料理」など東北各地域の取組や様子などを紹介します。

「葛尾の凍み餅」を守り続けて -福島県・葛尾村-(2025年1月7日掲載)

福島県浜通りに位置する双葉郡葛尾村(かつらおむら) は、阿武隈山系に属する多くの山々に囲まれた自然豊かな地域です。
東北地方では、昔から冬場の厳しい寒さと乾燥を利用して保存食として凍み餅を作る地域がありますが、この葛尾村でも、凍み餅は、山野草のオヤマボクチとヨモギを練り込んで作る身近な食品でした。
葛尾村では、凍み餅から生まれた精霊「しみちゃん」を、村のイメージキャラクターとしています。
村内で唯一、凍み餅を製造販売している有限会社ふるさとのおふくろフーズの松本智恵子さんと松本裕子さんにお話を伺いました。
始まりは、一村一品運動が盛んだった昭和後期に、葛尾村の伝統食である凍み餅を特産品にしようと、松本さんの母親の富子(ひさこ)さんが中心となって製造し販売するようになったそうです。
しかし、2011年の福島第一原子力発電所の事故の影響で葛尾村に全村避難指示が出され、休業を余儀なくされました。
富子さんは、避難先で常連客からの再開を望む声を聞き、凍み餅に練りこむ「ごんぼっぱ」(オヤマボクチ)の確保にもなんとか漕ぎつけ、2017年に村内での営業を再開しました。再開後、初めての出荷は1,000連(1連は12枚)でしたが、今では、福島や東京の物産館、県内の道の駅での販売や、村内外のお客様から注文をいただき、昨シーズンは8,000連を出荷しています。
葛尾の凍み餅は伝統食として、特産品として、これからも歴史を紡いでいきます。

お問合せ先
   有限会社ふるさとのおふくろフーズ
   住所:福島県双葉郡葛尾村大字野川字湯ノ平41
   電話:0240-29-2154

   葛尾村イメージキャラクター「しみちゃん」(葛尾村ウェブサイト)
   https://www.katsurao.org/soshiki/21/imagecharacter.html[外部リンク]

代表取締役の松本智恵子さん(左)
妹で取締役の松本裕子さん(右)
製造工場で
乾燥させている凍み餅
自社店舗で販売されている
凍み餅(商品名は
「葛尾の凍みもち」)
調理した凍み餅
(手前)砂糖醤油
(奥)きな粉

(写真:左から1,3,4枚目 福島県拠点職員撮影、2枚目 有限会社ふるさとのおふくろフーズ提供)

会津磐梯山の眺望が楽しめるこづちやま棚田 -福島県・喜多方市-(2024年10月7日掲載)

喜多方市高郷町と西会津町に跨る日本で2番目に高い富士山(標高508.8メートル)の麓から豊富な伏流水が田を潤し、東には磐梯山の眺望が楽しめる、そのような場所にこづちやま棚田は位置しています。
喜多方市には、多くの棚田が存在していて、それぞれの棚田地域では、棚田を守る取組をはじめ、中山間地域の活性化に向けて活動が進められ、その一つにこづちやま棚田の会があります。
こづちやま棚田の会では、会長の橋谷田 弘由(はしやだ ひろよし)さんを中心に小土山行政区、地域活性化委員会と連携しながら、富士山の山開きや春と秋に行われる「たかさと棚田ウォーク」、こづちやま棚田ブランド米「美米(うまい)」・棚田米を原料とするお酒「棚田の煌」をはじめとする特産品の販売など、中山間地域の活性化、地域交流と関係人口の拡大に向けて活動を進めています。
秋の「たかさと棚田ウォーク」は9月15日に県内外から約120名の皆さんが参加して開催され、折り返し地点となるこづちやま棚田では、こづちやま棚田の会、小土山行政区、地域活性化委員会の皆さんによるお菓子とお茶、漬物のおもてなしがされました。橋谷田さんから、提供している漬物は会津地方の各家庭で古くから作られている漬物の素に野菜などが漬け込まれたもので、この漬物の素は、ジャガイモをペースト状にして、その中に塩や砂糖、とうがらし、昆布を混ぜ込み、身近な野菜などを漬け込むことでほのかな甘みのある漬物が手軽に食べられるとのお話があり、棚田ウォークの参加者からも、好評を得ているとのことでした。
また、7月13日から9月23日の間には、福島県の棚田振興のため、県内13か所の棚田を巡る「ふくしまの棚田」推し活スタンプラリー2024が行われ、こづちやま棚田も棚田チェックポイントとして参加しました。
夏の猛暑から、空気が澄んで紅葉がきれいになる季節に変わりつつあります。この機会に、こづちやま棚田を訪れ優美な磐梯山の風景、日本の原風景を御覧になってはいかがでしょうか。

お問合せ先
   こづちやま棚田の会
   住所:福島県喜多方市高郷町磐見字立岩乙1806
   電話:090-7060-4927
   WEBページ:https://takasato-koduchiyama.com/[外部リンク]

こづちやま棚田の会 会長 橋谷田 弘由さん喜多方市高郷町
こづちやま棚田の会
会長 橋谷田 弘由さん
こづちやま棚田の案内こづちやま棚田の案内 こづちやま棚田の風景こづちやま棚田の風景1 こづちやま棚田の風景こづちやま棚田の風景2

梅の里西田町~梅で地域の活性化~ -福島県・郡山市-(2024年7月5日掲載)

安達太良山を一望できる郡山市西田町は、福島県中通り地方の郡山市北東部に位置し、豊かな自然に恵まれた地域です。
昭和55年から着手した国営郡山東部地区総合農地開発事業により農地等が整備され、農地の集団化が図られましたが、社会経済状況の変化で衰退した養蚕や葉タバコに代わる作物の導入が課題でした。地域での話合いを行い、梅の団地化を目指すことを決定し、平成2年(1990年)頃から郡山市の補助事業を活用した梅の植栽が進められ、梅の里づくりの取組がスタートしました。
地元農家や農協、行政機関を中心とした取組により、三十有余年の歳月を経た今では、およそ6千本の梅が栽培され、春には、梅、桃、レンギョウ、しだれ桜の花々を楽しむことができ、梅花の香りに包まれた梅ロードを散策することができます。
収穫された梅は、青果の青梅として出荷されるほか、農協の梅加工研究グループで、昔ながらの漬け方で製造した梅干しなどの6次化商品が直売所で販売されています。
父の代から梅の里づくりに中心的に取り組む西慶梅園(にしけいばいえん)では、毎年、地元の小学生や、郡山市民食糧問題懇話会が開催する梅干し作り体験参加者などの収穫体験を受け入れ、西田町の梅のPRにも力を入れています。梅干しづくり体験では、参加者自らが収穫した梅を漬けることができます。
西慶梅園の増子公雄(ましこ きみお)さんは、「地域の農家の減少に伴う課題もあるが、3月からの花の時期に、多くの皆様にお越しいただき、梅の花と安達太良山が一望できる景色を堪能してもらいたい。コロナ禍前に開催していた「梅の里まつり」などのイベントの再開を通じ、都市と農村の交流と梅栽培の収益力を高めることができればと考えている。梅による特産品開発や景観、環境への配慮を続けながら、父親たちの始めた梅の里づくりに取り組んで行きたい。」と話されていました。

お問合せ先
   西慶梅園(にしけいばいえん)
   住所:福島県郡山市西田町三町目字長喜田46
   電話:024-971-3919(FAX兼)
   WEBページ:https://www.西田町.jp[外部リンク]


梅ロードからの眺望。奥には雄大な安達太良山。梅ロードからの眺望
奥には雄大な安達太良山
(西慶梅園 提供)
西慶梅園の増子公雄さんと、父慶重(よししげ)さんが植えた、植栽から34年の梅の木。西慶梅園の増子公雄さんと、
父慶重(よししげ)さんが植えた、
植栽から34年の梅の木
梅を収穫する地元の小学生たち。梅を収穫する地元の小学生たち 郡山市民食糧問題懇話会が開催する梅干しづくり体験の様子。郡山市民食糧問題懇話会が開催する梅干しづくり体験の様子

(写真:左から1枚目 西慶梅園提供、2~4枚目 福島県拠点職員撮影)