岩手地域からの便り(令和7年度)
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バイオ炭を活用した地域循環型社会への挑戦 -岩手県・久慈市- (2025年8月5日掲載)
有限会社谷地林業は、岩手県久慈市に本社を構える1916年創業の老舗林業会社です。100年以上にわたり、木炭製造をはじめとする多様な事業を通じて地域の活性化に取り組んできました。2023年からは、地球環境に配慮した持続可能な社会の実現を目指し、林地残材を利用した「バイオ炭」の生産と活用に本格的に取り組んでいます。
バイオ炭は、木材や枝葉などのバイオマスを350℃以上の高温で炭化したもので、農地に施用することで土壌改良や炭素貯留に効果があり、国の「J-クレジット制度」にも認証されています。
谷地林業では、森林整備の過程で発生する未利用の枝葉をチップ化し、密閉式炭化炉で炭化することで、安定した品質のバイオ炭を製造しています。これにより、林業と農業がバイオ炭を通じて連携し、地域資源を循環的に活用する新たな仕組みが生まれつつあります。
2024年9月には、産学官で構成する「岩手県バイオ炭活用協議会」が設立されました。谷地林業をはじめ、農家、畜産業者、企業、行政機関などが参加し、バイオ炭の普及と活用を目的に、実証実験や課題解決に向けた検討が進められています。実証では、バイオ炭と牛ふん堆肥を混合して農地に施用し、土壌の質の改善や作物の収量向上といった効果の検証が行われています。これらの取組は、持続可能な農林業の実現に向けた重要な一歩となっています。
代表取締役の谷地譲氏は、「バイオ炭の製造にはまだ多くの可能性がある。炭化の過程で発生する可燃性ガスや熱の活用、さらに、もみ殻やおから、りんごの皮など地域に眠る未利用資源の炭化によって用途はさらに広がる。私たちが木炭製造で培ってきた炭化技術を活かし、脱炭素と地域振興の両立に貢献していきたい。」と語っています。
谷地林業は、100年以上にわたる木炭製造のノウハウを活かし、林業と農業の新たな連携を切り拓くイノベーションに挑み続けています。
お問合せ先:有限会社 谷地林業
住所:岩手県久慈市山形町荷軽部第3地割18番地
電話:0194-72-2221
Webページ:https://www.yachiringyo.com/[外部リンク]
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【バイオ炭を製造する密閉式炭化炉】 チップ化した林地残材を約1日かけて炭化後、 炉内で約2日間かけて冷却する |
【完成したバイオ炭】 チップ化することによって、 炭化効率が良く、均一な炭ができる |
バイオ炭を混合した牛ふん堆肥を 実証ほ場に散布している様子 |
バイオ炭の製造に取り組む有限会社谷地林業の谷地譲代表取締役(右)と渡部雅裕シニアマネージャー |
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