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東北農政局

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宮城地域からの便り(令和4年度)


宮城の「農山漁村の季節の風物詩」、「農産物直売所、農漁家民宿等の取組」、「村おこしイベント」、「農山漁村の行事、お祭り」、「郷土料理」など東北各地域の取組や様子などを紹介します。

自然災害を乗り越え、野菜生産施設が東北初進出  -宮城県・大郷町- (2023年2月20日掲載)

宮城県大郷町は、企業の農業参入が進む中、大消費地である仙台市や高速道路のインターチェンジから近いという立地条件に加え、積雪量が少ないといった気象条件から、農業分野における企業誘致を進めています。
 
株式会社村上農園(本社:広島県)は、関東以南9か所の生産施設において豆苗(とうみょう)やかいわれ大根を含むスプラウト(発芽野菜)等の生産・販売を行っている施設野菜メーカーであり、大郷町に東北初の生産拠点となる施設整備を進めてきました。
宮城大郷生産センターは、令和元年3月に工事を開始した後に、度重なる大雨や台風、地震によって整備途中に幾度となく被災しましたが、工事を鋭意進め、近々稼働できる見通しになりました。 
完成後は、豆苗をはじめとするスプラウトを生産し、東北地方の市場やスーパーへ出荷する予定です。これまでは関東地方から生産物を輸送していましたが、輸送費の大幅なコストカットが可能となり、また、生産拡大によって東北地方におけるシェア拡大が期待されます。
 
スプラウトは、発芽直後の新芽が大きく成長するために必要な栄養を豊富に含んでいることから、栄養分を手軽に摂取しやすい食品として注目を集めています。
村上農園では、スプラウトから摂れる栄養成分の高品質かつ安定した生産を実現するため、全国の生産施設を情報ネットワークで結び、気温、日照時間、水分量等による栽培への影響を共有し、全国の品質を一元的に管理するスマートアグリに取り組んでいます。
 
宮城大郷生産センターは、段階的に規模拡大し、スプラウトの国内最大規模の生産施設とする計画であり、地元からの社員雇用の増加とともに、地域農業の発展と地域活性化への貢献が期待されます。


  • お問合せ先:株式会社村上農園 宮城大郷生産センター
  • 住所:宮城県黒川郡大郷町大松沢字新成田川10-1
  • 電話:03-6453-0392(株式会社村上農園 広報マーケティング室)
  • WEBページ:https://www.murakamifarm.com[外部リンク]

(情報収集)宮城県拠点  電話:022-221-6404

自然災害を乗り越え、野菜生産施設が東北初進出

宮城大郷生産センター
宮城大郷生産センター(左が約1.5ヘクタールの栽培ハウス)

清水開設準備室長
清水開設準備室長(背景はハウス内部)

生産施設(写真は他県で稼働している施設)
国際規格ISO22000の認証を取得した生産施設(写真は他県で稼働している施設)

社内にある研究所で成分検査
村上農園社内にある研究所で成分検査を実施

(写真(左から)1、2枚目:宮城県拠点職員 撮影、3、4枚目:村上農園 提供)

新たなゴールドの粒「子実用とうもろこし」の取組  -宮城県・涌谷町- (2022年11月21日掲載)

宮城県涌谷町は、日本で初めてゴールド(砂金)が産出された地域であり、天平21年(749年)には、奈良・東大寺の大仏建造に使う金として献上され、昭和の初めまで金が採取されていました。涌谷町では、令和4年度から新たなゴールドの粒となるであろう「子実用とうもろこし」の試験栽培を開始しています。
 
涌谷町は、令和3年度に美里農業改良普及センターや宮城県畜産試験場、東北農政局宮城県拠点とともに、実需者との調整を図りながら、セミナーや講習会を開催するなど、子実用とうもろこし栽培の機運を高めて、畜産生産力・生産体制強化対策事業を活用し、令和4年度の試験栽培に臨みました。
 
試験栽培は、涌谷町全体で約39ヘクタールの取組となり、そのうちの31ヘクタールは「株式会社Agri Front W」が取り組んでいます。この法人の取締役である渡部正敏さんは、平成30年から8年計画で実施している農業競争力強化農地整備事業(約400ヘクタール)の涌谷町における旗振り役でもあります。
 
渡部取締役は、農地整備事業の推進委員会が発足した後、若手生産者が経営感覚を持ちながら農業に従事できるよう平成27年に法人を設立しました。当時から主食用米以外の作物への転換を進め、飼料用米・大豆・小麦を生産してきましたが、これ以上面積が増えると肥培管理が適切にできないことを懸念し、涌谷地域農業再生協議会や関係機関に相談していました。
 
水田転作6割を目指した経営を構想する涌谷町では、町内にある酪農メガファームの堆肥を活用した輪作体系の確立や省力化に有効な「子実用とうもろこし」の栽培に着目していたことから、渡部取締役に試験栽培の話を持ちかけました。
 
子実用とうもろこしの収穫は、令和4年8月29日に大型汎用コンバインで行われ、涌谷町初の「ゴールドの粒」が誕生しました。涌谷町における地域の関係者が一体となった試験栽培は、令和6年度まで続けられる予定です。
 
飼料価格の高騰が続く中、国内産飼料の生産・供給が喫緊の課題となっています。涌谷町の取組が進み、飼料生産のモデルとなることが大いに期待されます。


  • お問合せ先:涌谷地域農業再生協議会(事務局)
  • 住所:宮城県遠田郡涌谷町涌谷字新見龍寺前1
  • 電話:0229-43-6910

(情報収集)宮城県拠点  電話:022-221-6404

新たなゴールドの粒「子実用とうもろこし」の取組

重連運転する大型コンバイン
重連運転で大型コンバインを自在に操る渡部氏

収穫した子実用とうもろこし
収穫した子実用とうもろこし
実に「ゴールド」

子実用とうもろこし の初収穫
晴天での子実用とうもろこしの初収穫に笑みがこぼれます

涌谷地域農業再生協議会 藤崎氏
講習会で栽培方法等を説明する涌谷地域農業再生協議会の藤崎氏

(写真:宮城県拠点職員 撮影)

東北一のいちご産地の復活と継続に向けて  -宮城県・亘理町- (2022年8月22日掲載)

宮城県南部の太平洋沿岸に位置する亘理町は、温暖な気候を活かした「いちごの栽培」が盛んに行われています。いちごは、一株からたくさんの子株を伸ばし、実をつける様子から、「幸福な家庭」という花言葉があります。子どもから大人まで幅広い層の人々に愛されているいちごに、ぴったりな花言葉ではないでしょうか。
 
亘理町は、以前から南隣の山元町とあわせて「東北一のいちご産地」として知られていました。いちご農家は東日本大震災で大きな被害を受けましたが、幸福な家庭を取り戻すため、平成24年9月に104戸の農家が集まり、「亘理町いちご団地管理組合」を結成。震災前は土耕栽培でしたが、大型ハウスでの高設栽培に取り組み、復活を遂げました。
 
結成から10年を迎えた亘理町いちご団地管理組合では、組合員の高齢化が課題となっています。東北一のいちご産地を次世代に引き継ぐため、昨年から生産者へのアンケート調査や関係機関との意見交換を行い、今年の7月には、いちご団地の将来ビジョンを作成するためのワークショップを開催するなど、これから先の10年も、安全・安心で美味しいいちごを提供できるよう、組合員同士の交流を深めながら話し合いを進めています。
 
亘理町で栽培されているいちごの主な品種は、「もういっこ」「とちおとめ」「にこにこベリー」です。収穫されたいちごは、JAみやぎ亘理を通じて、仙台市場をはじめ北海道や京浜地区に「仙台いちご」として出荷され、2年前から輸出している香港でも大変好評です。
 
宮城県で育成された品種の「もういっこ」は、大粒の果実でさわやかな甘さと果汁の多さが特徴です。そのすっきりとした甘さには、ついつい「もう一個」と手を伸ばしてしまう魅力があります。スーパーなどで見かけた際には、是非ご賞味ください。


  • お問合せ先:JAみやぎ亘理中部営農センター(事務局)
  • 住所:宮城県亘理郡亘理町吉田字大谷地72-7
  • 電話:0223-36-2775

(情報収集)宮城県拠点  電話:022-221-6404

東北一のいちご産地の復活と継続に向けて

亘理町いちご団地(浜吉田)の全景
亘理町いちご団地(浜吉田)
の全景

大型ハウスによるいちご高設栽培
大型ハウスによる
いちご高設栽培

とても美味しそうな「仙台いちご」
とても美味しそうな
「仙台いちご」

亘理町いちご団地の未来を考えるワークショップの様子
亘理町いちご団地の未来を考える
ワークショップの様子

(写真(左から)1~3枚目:亘理町役場 提供、4枚目:宮城県拠点職員 撮影)