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東北農政局

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宮城地域からの便り(令和5年度)


宮城の「農山漁村の季節の風物詩」、「農産物直売所、農漁家民宿等の取組」、「村おこしイベント」、「農山漁村の行事、お祭り」、「郷土料理」など東北各地域の取組や様子などを紹介します。

食料支援と生活相談を行うことで、誰も困窮しない社会を目指して  -宮城県・仙台市- (2024年2月20日掲載)

フードバンク仙台は、十分安全に食べられるにもかかわらず処分されてしまう食品等の寄贈を企業団体・個人から受け、国籍や年齢、障がいの有無等を問わず、生活困窮者に食料支援を行っていることに加え、生活相談を行うことで社会から貧困と飢餓を無くすことを目的に活動している団体です。
 
食料支援は、原則として仙台市在住の方を対象に、年間延べ3,000世帯、8,000人に行っているほか、子ども食堂などの支援団体にも提供しており、その食料の総重量は約50トンにもなります。緊急的な食料支援の依頼もあることから、十二分な食料確保が必要となっています。
生活相談は、生活の困り事を包括的に解決するための情報提供、生活保護申請への同行、労働者支援団体や各種支援団体へ繋ぐなどの支援を行っています。
 
こうした活動は、主に寄付金に頼っている状況であり、十分な専従スタッフを雇用する資金が無いことから、10代から80代の市民ボランティア約120名の協力で成り立っています。また、事務所や食料倉庫の賃料、戸別配達時のガソリン代、食料の梱包材や配送料、電話代、食品購入費等が必要であり、常に資金調達に苦慮しているのが現状です。

フードバンク仙台では、もっと人間と地球環境にやさしい全く新しい食料供給のあり方を目指すため、海外の事例や食料システムを検討する勉強会を継続的に開催し、新たな実践を模索しています。
フードバンクに興味がある、食品や農作物を寄付したい、寄付を迷っているといった方や、食料に限らず生活に困っているといった方は、「フードバンク仙台」へ気軽に相談してほしいとのことでした。

  • お問合せ先:特定非営利活動法人(NPO法人)フードバンク仙台
  • 住所:宮城県仙台市青葉区五橋2丁目6‐16 第2ショーケービル101号室
  • 電話:(1)食料支援申込・生活相談用 070‐8366‐3362
             (2)寄付・取材・事務連絡用 080‐7331‐6380
  • WEBページ:https://foodbanksendai.com[外部リンク]

(情報収集)宮城県拠点  電話:022-221-6404

食料支援と生活相談を行うことで、誰も困窮しない社会を目指して

ボランティアスタッフの活動
ボランティアスタッフの活動の様子

企業等から提供された食料品
企業等から提供された食料品の一部

食料品の受渡し
東北農政局から役割を終えた災害用備蓄食料品をフードバンク仙台へ受渡しました

食料生産の取り組み
フードバンク仙台では自ら食料生産に取り組んで無償提供しています

(写真  1、2、4枚目:フードバンク仙台 提供、3枚目:経営・事業支援部 撮影)

スマート農業による「小さくても持続可能なまち」を目指して  -宮城県・七ヶ宿町- (2023年11月20日掲載)

七ヶ宿町は宮城県の南西部に位置し、福島・山形両県に接する奥羽山脈の東南斜面一帯を占める高原の町です。主な産業は、水稲や畜産を主とした農林業ですが、耕作者数の減少や高齢化が進んでいるため、農業を支える必要性を重視し、町全体でスマート農業システムの導入を推進しています。
 
町は、約5年前に鳥獣害対策にICT(情報通信技術)を導入したのをきっかけに、GPS直進アシスト田植機を導入し、農業のスマート化に取り組んできました。さらなる推進のため、町役場庁舎の屋上にRTK基地局を設置し、令和5年度から運用を開始しました。
 
既存のトラクターにRTKに対応した自動操舵システムを取り付けることによって、GPSに比べて位置情報の精度が高い作業が可能になりました。また、システムに記録されている作業履歴情報により、日報管理も容易になりました。運転者の疲労軽減や省力化だけでなく、経験の浅いオペレーターでも比較的容易に代掻きなどの作業ができることから、担い手不足への対策としても期待されています。さらに、RTK測位対応農薬散布用ドローンの活用により、農薬等の使用量の削減や農作業の効率化、労働時間の短縮なども可能になりました。これらの自動操舵システムやドローンは、町内3つの農業法人に導入され、活用されています。通信環境や圃場条件等で制約はありますが、町内の圃場での代掻きや農薬散布等防除作業も受託します。
 
通信環境や高額な導入費用など、まだまだ課題はありますが、今後は基幹産業としての農業を中心とした「小さくても持続可能なまち」の実現に向けて、畜産など他分野でのICT化も見据え、町全体でスマート農業に取り組むこととしています。

(参考)GPS、RTKなど衛星測位システムについて[国土地理院ウェブサイトへリンク]

  • お問合せ先:宮城県七ヶ宿町農林建設課
  • 住所:宮城県刈田郡七ヶ宿町字関126
  • 電話:0224-37-2111(代表)

(情報収集)宮城県拠点  電話:022-221-6404

スマート農業による「小さくても持続可能なまち」を目指して

GPS直進アシスト田植機
令和元年度に導入したGPS直進アシスト田植機。順次RTK対応に更新予定。

RTK基地局アンテナ
町役場庁舎屋上設置のRTK基地局アンテナ

自動操舵システムを取り付けたトラクター
RTKに対応した自動操舵システムを取り付けたトラクターで自動走行中。

ドローンのデモンストレーション飛行
地元農家が集まる機会に行われたドローンのデモンストレーション飛行の様子。

(写真 2枚目:七ヶ宿町 提供 1、3、4枚目:宮城県拠点職員 撮影)

アイガモロボットと水管理システムによるグリーンな栽培体系への転換  -宮城県・大崎市- (2023年8月21日掲載)

宮城県北西部に位置する大崎市は、平成29年に近隣の4町とともに認定された世界農業遺産「大崎耕土」の豊かな自然環境を維持し、持続可能な水田農業を定着させるため、環境保全型農業を広く普及しながら環境と共存する地域農業の推進に取り組んでいます。
 
令和4年5月に設立した大崎市有機農業・グリーン化推進協議会(構成員:農業者、農機メーカー、JA、県農業改良普及センター、大崎市)では、地域に適したグリーンな栽培体系への転換に向けて、農林水産省の「みどりの食料システム戦略緊急対策事業」を活用し、アイガモロボット活用による水田の雑草抑制や、水管理システムによる水田水位の遠隔管理の実証を行っており、今年度は面積及び実施地区を拡大し、実証試験を行っています。
 
水田の雑草抑制は、ソーラーパネルで充電し稼働するアイガモロボットが田んぼの中を自動で泳ぎ回り、スクリューで土を巻き上げて水を濁らせ光を遮ることによって雑草を抑制します。前年度の実証では、ほ場によって効果に差が見られたことや、強風の影響を受けやすいことが判明したため、今年度はこれらの課題に対応しながら、地域の適正を見極めます。
 
水田水位の管理は、水管理システムによりスマートフォンで水田の水位や水温の確認、入水・止水の遠隔操作、また、水位の設定による自動制御ができます。前年度は、パイプラインが埋設された水田では水管理システムを使用できませんでしたが、今年度はシステムが改良されたことから、水田の見回り頻度や作業時間の削減を引き続き検証します。
 
農業の省力化が喫緊の課題となっている中で、大崎市有機農業・グリーン化推進協議会の取組により、環境保全型農業がさらに拡大していくことが大いに期待されます。

  • お問合せ先:大崎市有機農業・グリーン化推進協議会事務局(宮城県大崎市産業振興部農政企画課内)
  • 住所:宮城県大崎市古川七日町1番1号
  • 電話:0229-23-7090

(情報収集)宮城県拠点  電話:022-221-6404

アイガモロボットと水管理システムによるグリーンな栽培体系への転換

アイガモロボットの操作説明
農機具メーカーによるアイガモロボットの操作説明(5月25日)

アイガモロボット稼働
ソーラーパネルで充電し稼働するため、燃料は不要(5月25日)

水位センサー
ほ場に設置された水位センサー(5月25日)

ほ場を回遊するアイガモロボット
実証ほ場を回遊するアイガモロボット(6月21日)

(写真:宮城県拠点職員 撮影)