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東北農政局

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宮城地域からの便り(令和6年度)


宮城の「農山漁村の季節の風物詩」、「農産物直売所、農漁家民宿等の取組」、「村おこしイベント」、「農山漁村の行事、お祭り」、「郷土料理」など東北各地域の取組や様子などを紹介します。

新たな食文化の創出「大崎ジビエ」を東北から!-宮城県・大崎市- (2025年2月20日掲載)

宮城県北西部に位置する大崎市は、平野部から山形県境まで東西に約80キロメートルの長さを持ち、奥羽山脈から江合川と鳴瀬川の豊かな流れによって形成された、広大で肥沃な「平野」を有する四季折々の食材と天然資源、地域文化の宝庫です。平成29年には近隣4町とともに世界農業遺産「大崎耕土」として認定されています。
同市では、中山間地域である岩出山、鳴子地区を中心に、近年、野生のイノシシ等有害鳥獣による農作物の被害が続き、令和元年度の捕獲数(278頭)から令和5年度の捕獲数(881頭)は約3.2倍となりました。
捕獲したイノシシは、埋設や焼却等により処分していましたが、被害の特に多い地域の焼却施設である西部クリーンセンターが令和4年3月に閉鎖されたことから、地域内で処分することが困難となる課題が生じていました。
こうした中、大崎市岩出山地域の真山地区では、平成30年に廃校となった小学校の校舎利用を検討していたところであり、イノシシ被害に悩んでいる地域住民に対し、ジビエの処理加工施設の建設を打診しました。同市ではアンケート調査や住民説明会を実施。地域住民からは、イノシシによる農作物被害に悩まされていることから、特段の反対意見はなく、処理加工等施設の建設にあたって合意形成がなされました。
令和5年7月に旧真山小学校を改修した東北初のイノシシ専用の食肉処理加工施設が完成しました。施設では、放射性物質及び豚熱の全頭検査を実施するなどの体制整備を行い、令和6年1月から施設を稼働。同年4月から市内3か所の道の駅で「ロース」「切落とし」「挽肉」の販売を開始しました。
同市では、「大崎ジビエ」のブランド化を目指し、農林水産省が制定している国産ジビエ認証制度の取得に向け、厚生労働省が定める「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づく衛生管理の遵守、トレーサビリティの確保等の更なる環境整備を行っているところです。
イノシシの施設への搬入は豚熱対策や衛生管理の研修を受けたジビエハンターのみが可能な仕組みとしており、今後は個体の安定的な確保に向け、ジビエハンターの増員や知識・技術の向上を進めています。
同市では、「イノシシ肉」を使用した加工品(フランクフルト等)の開発を進めるとともに、地域イベントへの出展や地域住民を対象としたジビエ料理試食会等を開催しています。さらなる展開として今後は、市内の飲食店や宿泊施設での提供を進めながら、ふるさと納税の返礼品、市内の小中学校の学校給食での「ジビエ」の提供及びペットフード・皮製品の開発も検討しています。

お問合せ先:大崎市産業経済部農村環境整備課
   住所:宮城県大崎市古川七日町1番1号
   電話:0229-23-2318

(左)食肉処理加工施設(旧真山小学校)
(右)新設した減容化施設
減容化施設の内部

食肉処理加工作業の様子




「大崎ジビエ」を使用した
ハム・フランク等の試作品




  「大崎ジビエ」を使用した料理例
  ・猪しぐれ煮の米粉ロールケーキ
  ・猪しぐれ煮のビーフシチュー
  ・猪モモ肉、チーズバジルのパン粉揚げ
  ・ベーコンのタルタルソース乗せ

大崎市内の道の駅で
販売されているジビエ
(上段:ロース、中段:切落し、下段:挽肉)



(写真:1~3枚目宮城県拠点職員撮影、4~6枚目大崎市提供)

耕畜連携による地産地消の取組を目指して(子実用とうもろこしの生産)-宮城県・名取市- (2024年11月20日掲載)

名取市は宮城県の南東部に位置し、名取川・阿武隈川の両水系に囲まれた肥沃な土地が広がり、また、気候も温暖なため古くから農耕に適しているなど、自然条件に大変恵まれた土地柄です。
市内の農事組合法人U.M.A.S.I.(ウマシ)は水稲(50ヘクタール)、大豆(80ヘクタール)、子実用とうもろこし(10ヘクタール)、野菜(いちご、じゃがいも、さつまいも、たまねぎ等)及び果樹(ぶとう)を多角的に生産しており、大豆は近隣にある東北最大級の古墳「雷神山古墳」を商品名に冠した「雷神山納豆」としても販売し好評を得ています。
近年、大豆の連作障害の対応策を検討する中、令和3年に県内で開催された子実用とうもろこしの栽培研修会に参加したことをきっかけに、子実用とうもろこしの生産に力を入れており、今年で3年目となります。1つ1つ課題を克服し、昨年、県が目標設定している10アール当たり収量700キログラムを超えて約800キログラム、今年は約950キログラムとなるなど、順調に取組を進めています。
本年9月4日には、東北子実コーン生産者協議会の主催で、名取市文化会館とU.M.A.S.I.のほ場を会場に「子実用とうもろこし現地検討会・勉強会in宮城」が開催されました。講演は子実用とうもろこし生産者、畜産生産者、飼料メーカー(商社)が演壇に立ちましたが、子実用とうもろこしの生産は、まさに3者の連携により推進されている形がとられています。子実用とうもろこしの生産者として大友代表が現状と課題について講演し、今後の課題として「子実用とうもろこしの生産拡大」「化学肥料から豚糞堆肥や汚泥肥料を活用したコスト削減」「より良い輪作体系の確立」「普及推進活動を行って子実用とうもろこしを生産する仲間をもっと増やしたい」と話していました。同代表は以前から、宮城県南地域において、子実用とうもろこしを給餌する畜産農家から堆肥を得て耕畜連携に取り組み、そこから生産される畜産物を地産地消するというサイクルができればサステナブルではないかとの構想も持ち、名取市や隣接市町の農業者と連携した生産拡大の推進に取り組みたいと考えています。
なお、県内で生産された子実用とうもろこしを含む国産穀物100パーセントの餌で生産された豚肉「みちのくの心意気」は、昨年から関東のスーパーで販売されていましたが、本年9月から仙台市内の老舗百貨店で販売されているほか、ふるさと納税の返礼品にも採用されています。見かけた際にはお手に取ってみてはいかがでしょうか。

お問合せ先:農事組合法人U.M.A.S.I.
   住所:宮城県名取市植松字入生423
   電話:022-796-3329

勉強会で講演する大友代表

収穫前後の子実用とうもろこしと
農機具メーカーによる収穫実演
農機具メーカー等による出展ミニブース
の様子(U.M.A.S.I.敷地内)
好評を得ている「雷神山納豆」 国産穀物100パーセントの餌で生産された
豚肉「みちのくの心意気」

(写真:1~4枚目宮城県拠点職員撮影、5枚目伊藤忠飼料株式会社提供)

そらまめ・スイートコーンで地域の賑わいを!町ぐるみで特産振興  -宮城県・村田町- (2024年8月20日掲載)

村田町は、宮城県の南部に位置し、南に白石川が流れ、西に蔵王山系の山々を望む自然に恵まれた地です。
村田町では、そらまめとスイートコーンの生産が盛んで、町の特産品となっています。そらまめ栽培は昭和10年代から始まり、約70軒の農家が約7ヘクタールの農地で約70トンを生産する県内有数の産地となっています。スイートコーンは約25年前から栽培が始まり、新品種も含めて消費者に人気の特産品です。
そらまめとスイートコーンの振興に向け、村田町は、町事業『特産作物生産振興事業』を令和5年度からスタートし、1.生産者がそらまめ、スイートコーンを町内の農産物直売施設やJAに出荷した際に、出荷販売額に応じて奨励金を交付、2.生産にかかる作業を村田町シルバー人材センターに依頼した場合に経費の半額を補助、などの生産者支援を行っています。本事業の効果もあって、令和5年度の出荷販売額はそらまめ、スイートコーンいずれも増加し、令和6年度には更なる増加が見込まれています。
農産物の直売を行っている「道の駅村田」では、そらまめのPRイベントとして、平成10年から毎年6月に「そら豆まつり」を開催しています。そらまめ詰め放題や炭火焼きの試食などの催しが大人気で、今年も多くの来場者が訪れました。
スイートコーンは、糖度が高く「生でも食べれるとうもろこし」として多くの地元メディアに取り上げられ、午前中に売り切れることもあります。
道の駅村田は、仙台市から車で約30分、東北道村田インターチェンジからも近いという好立地もあり、来場者は年間約20万人にものぼります。そらまめやスイートコーンの販売時期は特に盛況で、生産者にとって力強い販路となっています。
生産者の高齢化が大きな課題ですが、生産者向けの支援策の充実や安定した販路により、令和4年、5年と続けてそらまめ・スイートコーンでの新規就農者が出ており、更なる新規就農の拡大に期待が寄せられています。
村田町では、そらまめやスイートコーンを待ち望んでいる消費者に商品を届けるために、生産者、販売事業者、行政が一体となった取組をこれからも継続する考えです。

お問合せ先:村田町役場
   住所:〒989-1392   宮城県柴田郡村田町大字村田字迫6
   電話:0224-83-2111
   Webページ:https://www.town.murata.miyagi.jp[外部リンク]
   (参考)道の駅 村田: https://muratamachi.info[外部リンク]

シルバー人材センター
会員による
そらまめ選別作業の様子
今年のそら豆まつり
の様子、そらまめ詰め放題(500円)が大人気
盛況の「道の駅村田」
スイートコーン
販売コーナー

今が旬のスイートコーン
「味来」

(写真  1枚目:村田町提供、その他宮城県拠点撮影)