宮城地域からの便り(令和7年度)
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農業を通した地域の魅力を伝えたい~利府梨の観光果樹園を受け継いで~-宮城県・利府町- (2025年11月20日掲載)
宮城県のほぼ中央部に位置する利府町は、利府梨の産地で町内には梨園が点在しています。丘の上に清々しい風が吹き抜ける、ここは「利府の丘果樹園」。新規就農した大津京代表取締役の園地です。
大津代表は非農家出身ですが、食や観光、プロモーション分野の仕事に携わってきた中で、令和3年夏に「観光果樹園を経営したい」という夢を持ち、実現するため、令和4年から県・市町の新規就農相談窓口等へ相談。並行してせんだい農業園芸センターみどりの杜が主催している農業研修も受講していました。生産から販売までを学びたいとの思いから、令和5年にJRフルーツパーク仙台あらはまに就職し、現場での実践を重ねることができました。就職先で師匠との運命的な出会いがあり、ジョイント栽培を始めとした省力樹形等の技術習得・研鑽を重ねた後に、令和7年から利府町の観光協会が管理していた観光梨園を継承し「リフラクタ株式会社」を設立しました。
「今年初めての収穫となるが、様々な方々のご協力を経て運営がスタートし、これまで梨の木をお世話してくれた方、梨園の準備に関わってくれた方に感謝し、その思いも引き継ぎながら、観光梨園を運営していきたい。梨棚からの木漏れ日やそよ風が吹く中で、梨の収穫を楽しみながら、ゆっくりとした時間を過ごして欲しい。」と語ってくれた大津代表。
9月に果樹園がオープンすると、来園者が千人を超える盛況で、「『おいしい』と言われた言葉が嬉しかった」と話してくれたあとで、「さらに農に触れられる場を作っていきたい」と笑顔ながらも引き締まった表情に思いが伝わってきました。
将来を見据えながら的確な選択をすることで必要な経験を積み、実行する姿や、関係した皆さんの心を動かす力、引き寄せる力は大津代表の魅力であると感じました。今後の営農設計では「梨のジョイントV字樹形によるスマート農業に取り組みたい」「規格外の梨を使った加工品開発も行いたい」など沢山の目標があるそうです。
ぜひ、皆さんも「利府の丘果樹園」のおいしい梨と大津代表から元気をもらいに来年は梨狩りに行ってみてはいかがでしょうか。
お問合せ先:利府の丘果樹園 リフラクタ株式会社
住所:宮城県宮城郡利府町加瀬字男鹿島台1-10
Webページ:https://www.rifu-hill-orchard.com/[外部リンク]
![]() 観光果樹園入口でお出迎え (写真中央:大津代表) |
![]() 梨棚で栽培されている利府梨 |
![]() 梨の木には品種名と味の特性を表示 |
![]() 観光果樹園の様子 |
棚田地域における取組と課題解決に向けて-宮城県・栗原市- (2025年9月5日掲載)
栗原市若柳上畑岡にある蓬田(よもぎだ)の棚田は、古くからの地形を利用した稲作が行われており、地域では約20年前から中山間地域等直接支払制度を活用して、農地の保全活動、生物の生息・生育の場所の保全等の多面的な機能を持つ13個のため池の適正管理、保全を行ってきました(以下「地域活動」という。)。
令和2年度からは食育活動の推進を目的として、尚絅学院大学(名取市)と連携し、田植え、稲刈り、さつまいも及び枝豆の収穫などの農作業体験、そば打ち体験、収穫祭を通じた交流事業などにも取り組んでいます。尚絅学院大学とは、宮城県の補助事業を活用した際に県の農山漁村なりわい課を通じて繋がり、同大学が主催した「SDGsマルシェ2024」のイベントでは、大学生が蓬田棚田の写真を展示したり、大学祭ではさつまいもの販売も行ったそうです。
同地域の棚田は、令和5年12月に国の「指定棚田地域」に登録されました。令和6年度の地域活動や収穫祭には、病院の医師と看護師にも参加してもらい、生活習慣病に関する講演をしてもらうなど、様々な人と関わりを広げています。高齢化が進んでいる地域においては非常に有意義な内容であり、今後も継続していきたいとのことです。
令和7年度は9月に枝豆の収穫、10月にさつまいもの収穫、11月に収穫祭が計画されており、今年の盛り上がりが楽しみです。
もう一つの主な取組として、多くの方に棚田の魅力を知ってもらう機会を提供するため、「よもぎだ棚田フォトコンテスト」を令和2年度から毎年開催し、蓬田棚田の美しい景観を撮影した写真は、毎年2月頃にJRくりこま高原駅内オアシスセンターにおいて期間限定で展示されています。なお、フォトコンテストの受賞者には、棚田で収穫したお米「棚田米」や「伊豆沼レンコン」などが贈呈され喜ばれています。
さらに、令和7年度は棚田でのスマート農業の知見を深める取組に着手しています。一番の悩みである畦畔の草刈り労力の課題解消に向け、棚田でのリモコン草刈機の実演会等を活用し、若柳蓬田集落協定(以下「集落協定」という。)の皆さんがリモコン草刈機のメリットや各機会の特徴を実際に目で見て学びました。
集落協定の佐藤代表からは、「中山間地では高齢化や後継者がいないなど問題を抱えている。これを機に、身体への負担軽減となるようなスマート農業の利用を考ええていかなければならない。」との話があり、現在、集落協定では、リモコン草刈機の導入について検討しているとのことです。
![]() 多くの人が参加した田植え交流会 (令和7年5月) |
![]() 小雨の中でのさつまいも収穫体験 (令和5年10月) |
![]() 手刈りでくい掛けした交流稲刈り体験 (令和6年9月) |
![]() 収穫祭での「ずんだ餅」づくり (令和5年11月) |
![]() 手作業での草刈りは大変です (令和6年9月) |
![]() リモコン草刈機実演会で 機会の特徴や使い方を学びました (令和7年6月) |
![]() 令和6年度フォトコンテストの表彰式 (棚田カードには令和3年度の 特選賞作品が採用されています) |
![]() 若柳蓬田地域の棚田風景 (令和7年8月) |
















