はじめに日本の国土と土地改良技術日本の国土は、「農民が造り上げたもの」と表現できるのではないでしょうか。 二千年以上も昔に農耕が伝わってから、先人たちは土を掘り、川をせき止め、水を引き、大地を耕し続けてきました。結果、この国土に張り巡らされた水路網は、地球10周分(約40万km)にも及びます。また、中国・四国地方には、全国の約3分の1を占める約7万か所ものため池が築かれています。 国土に刻まれてきた水路網と食料を生み出す農地は、私たちにとって、最も根源的な生存基盤といえるでしょう。そして、この生存基盤を築き上げてきた術(すべ)が「土地改良技術」(農業土木)と呼ばれるものです。 極端に平野の少ない地形、滝のように流れる川、暴れ馬のようなモンスーン気候など、日本の自然は、決して扱いやすいものではありません。「土地改良技術」は、農民がこの自然と格闘しながら、二千年以上にもわたって学び、磨き、積み上げてきた技術です。 【写真】中国・四国地方のため池 新しい農業農村整備事業土地改良の歴史は、戦後の食糧増産対策事業、高度経済成長期の農業基盤整備事業(ほ場整備など農業の生産性を高めるための取組み)を経て、平成に入ってからは「農業農村整備事業」と時代の要請に合わせて変化してきました。農業農村整備は、それまで行われてきた「食糧生産のための農地等の整備」に加えて、「生活環境なども含めた農業・農村の総合的な整備」を取り込んだ内容となっています。 また、平成11年には、農業を取り巻く情勢の変化に対応するため、新しい「食料・農業・農村基本法」を制定し、平成12年には、この基本法に基づき、「食料・農業・農村基本計画」を策定しました。(基本計画は、おおむね5年ごとに変更しており、現在の基本計画は、平成27年3月に閣議決定されました。)現在の農政は、これらの方針に基づいて行われており、中国・四国地方でも、各種の農業農村整備事業が行われています。 【写真】中国・四国地方の水路 土地改良技術事務所とは?中国四国農政局土地改良技術事務所は、主に管内で行われる農業農村整備事業に対して、土地改良技術の指導や助言など、技術面の指導・支援を行っている事務所です。昭和46年(1971)に「岡山施工調査事務所」として産声をあげて以来、中国四国地方で行われる国営事業を中心に、約半世紀にわたり、様々な農業農村整備事業のサポートを行ってきました。“もっと住みやすく豊かな村に”を目標に日々、業務を行っています。 土地改良技術事務所の主な業務
【写真】中国四国土地改良技術事務所の外観(岡山地方合同庁舎) 沿革
以降、現在に至る。 業務体系【図】農業農村整備事業の各機関と土地改良技術事務所の関係
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