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中国四国農政局

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    中国四国地域輸出フォーラム2019の開催報告

    1. 概要

    中国四国農政局は、3月14日(木曜日)、岡山第2合同庁舎内会議室において「中国四国地域輸出フォーラム2019」を開催しました。 フォーラムには輸出に取り組む事業者等、約90名の参加がありました。

    はじめに、平成30年度輸出に取り組む優良事業者中国四国農政局長賞(受賞者:株式会社岡林農園様)の表彰式典を行い、受賞者による取組概要の発表の後、住友商事株式会社の稲垣宏樹氏による「HOW TO 海外展開」と題した基調講演では、輸出の際に注意しなければならないことなど、わかりやすくお話しいただきました。

    また、初めての取組として、輸出事業者が、地域商社等に取扱商品をアピールする「ポスターセッション」、地域商社との「商談会」、及び支援機関との「個別相談会」を行いました。 ポスターセッションや商談会はもちろん、輸出に取り組む事業者同士でも盛んに交流が行われ、終始活気に満ちたイベントとなりました。

    2. フォーラムの内容

    平成30年度輸出に取り組む優良事業者中国四国農政局長賞表彰式典

    中国四国農政局では、中国四国地域の農林水産物・食品の輸出の優良な取組を広く紹介することにより、輸出促進を図るため、輸出に取り組む事業者のうち、優れた事業者に対して優良事業者表彰を行っています。
    (参考:中国四国農政局輸出に取り組む優良事業者表彰について)

    受賞者の記念撮影写真

    受賞者の記念撮影

    受賞者の取組紹介の様子

    受賞者の取組紹介

    GFP創設記念基調講演

    農林水産省では平成30年8月31日に、農林水産物・食品の輸出を意欲的に取り組もうとする農業者、林業者、漁業者、食品事業者等をサポートする新しいプロジェクト「GFP」を創設し、GFPコミュニティサイトに登録された方への支援を行っています。その一環として、輸出を専門的に行われている講師をお招きし、農林水産物・食品の輸出状況や課題、日本食の需要や評価、具体的な輸出の手続き等を内容とした講演をしていただきました。
    (参考:中国四国地域におけるGFPの取り組み

    • 講演タイトル:「HOW TO 海外展開」
    • 講演者:住友商事株式会社  稲垣 宏樹 氏
    • 講演資料はこちら(PDF : 1,193KB)

    講演内容の概要

    • 加工食品が比率も成長率も高く、日本の農林水産物・食品の輸出を牽引している。そのうち最近特に伸びているのは、日本食関連のアイテム。ソース(調味料)、日本酒、抹茶といった日本独自の、日本でなければできないアイテムが伸びており、これらは輸出を伸ばしていくための一つの切り口となる。
    • 近年、海外では日本食がブームになっているが、本物の日本食の味を出すためには日本製のソース(調味料)は不可欠と言える。また、日本酒や抹茶についても、米国を中心に需要は大きく伸びているが、まともな品質のものは日本産でなければ作れないのが現状。これらの市場は現状未熟だが、市場をしっかり確立できれば、他国に簡単にとられるようなものではなく、チャンスは大きい。
    • 一方で、海外で今出回っている日本食や日本酒は、日本人からすると残念なレベルのものも多く、本物が海外の市場に行き届いているわけではない。その中で、外国人に受ける味も踏まえつつ、どのように売り込み、ブランド化していくかが課題。
    • 日本の市場は、世界の中でもとりわけ品質に厳しく、そういった市場で培われた品質に関する感度は、他国に簡単に真似されない日本の強みである。ただし、品質の高さにこだわることによって、価格が高くなるのをどこまで受け入れられるかは、国によって違うという認識は必要。
    • 米菓、醤油、味噌、インスタントラーメン、冷凍うどん、菓子のような日本でないと難しい技術を含む商品で差別化を図るというのも重要な戦略。これを特許で押さえられていれば、簡単に真似されない(するなら特許料を取れる)。せっかくつくった市場は特許によって守っていくのが基本。真似されて終わりでは苦労が水の泡で、何をやっているのかわからない。
    • 近年、欧米を中心にグルテンフリー食が注目されており、かなり大きな市場になってきている。グルテンフリーとは、小麦に含まれる、アレルギー源になり得る特徴的なタンパク質「グルテン」が含まれないということで、パンやパスタのような小麦製品において、小麦粉の代替に米粉が使われる。国も米粉の輸出促進を重視しているが、コストの問題が課題として立ちはだかっているのが現状。日本産の米粉の強みは品質の高さだが、それが活かせる市場がまだない。グルテンフリー市場に入っていくことを考えてみると、日本独自の技術が生きるのはやはり米菓技術ではないかと思っている。
    • 農林水産物・食品の輸出は、工業製品に比べて非常にルールが複雑であり、障壁が多い。実際、輸出相手国を見てみると、香港や台湾のような、農産物の輸入に比較的寛容なところが上位に並んでいる。輸入障壁は輸出していると誰しも通る道だが、特に問題なのは、よくわからない理由で止められるせいで安定供給ができないこと。止められた理由を聞いても教えてくれない、要求された書類を出しても応答がない等で長期間止められることも珍しくない。また、全く同じように送っていても止められるときと止められないときがある等、ギャンブル的な状況がある。
    • 日EUEPAやCPTPPの締結は、日本独自の強みを持っているものの関税が即時撤廃になっていることはもちろん喜ばしいが、それ以上に、共通のルールが作られることで、よくわからない理不尽な理由で止められるということがなくなることになっているので、そこが大きいと期待している。また、人口が多く魅力的だが、独自ルールによって安定供給を阻害されていたマレーシアやベトナムがCPTPPに加盟したことで、今後、高品質なものを安定供給できる可能性を感じている。
    • 日本の農林水産物・食品の輸出における大きな課題は、コンテナに積むのにコストがかかりすぎること。工場が輸出を前提につくられていないため、コンテナに積もうとなると、港までトラックで持って行き、港の人に頼んで手で積んでということが行われ、かなりコストがかかる。一方、農産物の輸出が普通である米国やオーストラリアでは、工場でフォークリフトを使ってそのままコンテナいっぱいに積めるので大変効率が良く、コストがかからない。
    • 輸出をしようと思うと、検疫、衛生、表示、農薬、税制、販売規制等の取引相手国のルールをよく調べてから取り組まなければならない。これらを事前によくチェックしておかないと、ビジネスにならなかったり、法的に罰せられたりするリスクが大きくなる。ただし、どれだけ事前に調べていても調べ尽くせない問題がだいたい起きるものなので、まずは最低ロットで輸出して様子を見てみることが重要。ここは慎重にされることをおすすめする。
    • 今後も農林水産物・食品の輸出を拡大するためには、中流階級までには受け入れられる価格帯の商品を出していくことが不可欠となる。今輸出できているものは、基本的には高価なもの、高付加価値商品が中心になっている。当然、世界的に見ても日本のコストというのは安い方ではないので、品質、技術、ブランドといった独自性で戦っていくというのは基本だとは思うが、それだけでは更なる拡大はできないので、やはりコストの問題と向き合っていかなければならない。特にコンテナへの積みこみ含め、輸送コストは大きな課題である

    講演の様子
    稲垣氏による講演の様子

     

    農林水産・食品事業者と地域商社のビジネスマッチング

    • 本フォーラムでは、輸出に取り組む事業者の商流の開拓を目指して、ビジネスマッチングの場を設けました。

    ポスターセッション

    農林水産・食品事業者がブースを構え、ポスター、パンフレット、商品サンプルを使って地域商社等に自社商品をアピールする「ポスターセッション」を行いました。ポスターセッションでは、事業者と商社の交流だけではなく、事業者同士の交流、情報交換も盛んに行われていました。

    ポスターセッションの様子1
    ポスターセッションの様子1

    ポスターセッションの様子2
    ポスターセッションの様子2

    ビジネスマッチング商談会

    事前に登録いただいた地域商社7社のブースを設け、農林水産・食品事業者が商社のブースを回って自社商品をPRする「ビジネスマッチング商談会」を行いました。

    商談会の様子1
    商談会の様子1

    商談会の様子2
    商談会の様子2

    個別相談会

    基調講演講師の稲垣氏をはじめ、経済産業局、ジェトロ(日本貿易振興機構)、日本政策金融公庫、植物検疫協会、動物検疫所、農政局と個別の相談ができる、個別相談会を行いました。

    講師の稲垣氏との個別相談
    講師の稲垣氏との個別相談

    経済産業局との個別相談
    経済産業局との個別相談

    3. フォーラムの反響

    お問合せ先

    経営・事業支援部 輸出促進課

    代表:086-224-4511(内線2668,2159)
    ダイヤルイン:086-230-4258

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