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北海道農政事務所

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(有)篠津農場取締役岸本佳代氏

(有)篠津農場
取締役 岸本 佳代 氏

岸本氏は、江別市で(有)篠津農場の代表として水稲、大豆、てん菜及びブロッコリーを栽培する一方で、2022年から篠津中央土地改良区の監事に就任されています。

セネガルに行き、恵まれた実家の環境に気づいた

   米穀販売会社を退社後、青年海外協力隊の村落開発普及員として2007年から2年間、アフリカのセネガルで村人と共に諸課題を解決する仕事に従事しました。セネガルは年間の降水量が少なく、農業にとって欠かせない水の確保が十分ではないため、農業をしたくてもできない人を沢山見てきました。
私が就農した動機は、私の実家(江別市)が農業を営んでおり、私が継がなかったら継ぐ人はいなかったこと、セネガルでの経験から、豊かな農地や水がある実家の環境はとても恵まれてことに改めて気づかされたことです。同時に、家族を大切にするセネガルの人を目のあたりにし、祖父母や父母と一緒に農業ができたら皆が幸せになれるのではという思いを強くしました。

就農してみて分かった、子育てと仕事のバランスの難しさ

2009年9月に帰国し、2010年10月から両親のもとで就農しました。実際にやってみると色々な仕事があって一週間毎に内容が変わることに驚くとともに、天候を見計らいながら適期に作業を行わないと後々苦労することを実感しました。就農したときは、後継者として、父と同じように朝から夕方までバリバリ働く考えでしたが、家事や子育てもあり、なかなかそうはいきませんでした。他産業に従事する主人が子供の世話をしてくれるものの、子育てと農業のバランスをとるのは難しいと思いました。

私の仕事を作るためブロッコリー栽培をはじめる

   父は、私の夏場の仕事をつくるために、新たにブロッコリーの栽培をはじめました。これまで作っていたキャベツと作り方の共通点が多く、何よりキャベツに比べると重量は軽く女性でも扱いやすいです。現在は約1haの農地でブロッコリーを栽培しています。

「私でよければ」の精神で期待に応えたい

   地域の推薦を受け、2022年に篠津中央土地改良区の監事になりました。推薦があった理由として、私が所属する八幡揚水機場地域から役員を出す順番になっていたことに加え、女性役員を増やすとの考え方があったと聞きました。私が所属する「北海道女性農業者ネットワーク(きたひとネット)」では、「私でよければ」の合言葉で、役員の就任をお願いされたら快く引き受けましょうという考えがあり、私にも浸透しています。何も知らない私ですが、期待に応えたいとの思いで引き受けました。

監事の仕事は恵まれた環境の中で、女性の視点を活かしながら

   監事の仕事は、理事の行う業務や事業が適正に実施されているかを監査するというものですが、周りのサポートがあり、やりづらさを感じたことはありません。役員の皆さんは私の話を親身に聞いてくれて、特に、改良区の副理事長が近所の方のため、不明点について聞きやすいことも大きいです。心がけていることは、改良区の職員が働きやすくなるよう、以前の勤務経験や女性の視点でお話するようにしています。今後、改良区の役員(理事、監事)の女性の割合が増えていくことを期待していますが、女性が登用されるには依然としてハードルは高いと思います。

力作業には不安があるものの、スマート農業で省力化

   就農から6年後の2016年に経営移譲を受けて代表になりました。トラクターなど農業機械には乗れるけど、作業機の付け替えや整備は苦手で、セッティング済みのものに乗るだけなのが課題です。力作業で言えば30kgの米は普通に持てますが、もっと重量があるようなものは不安を感じます。それでも、自分ができることはと考え、農作業の省力化を図るため、防除用のドローンを使用できる資格を取得して3年目になります。自分が資格を取得すれば、適期に作業ができるのが大きなメリットで、水稲18haを1日で農薬散布することができます。

地域の農地を守るために規模拡大ができるようスキルアップしたい

   江別地区の農家の多くは後継者不足の問題を抱えており、今後は規模拡大し地域の農地が維持できるようにしていかなければと考えています。そのためにも、私自身のスキルアップが大切と受け止めています。また、農家の後継者として、息子に継がせる以外に、娘にも農家を継いでもらうこともひとつの選択肢と考えているので、農家の皆様には後継者候補としてもっと娘にもスポットをあててほしいです。

岸本様、貴重なご意見をいただきありがとうございました。

お問合せ先

企画調整室

代表:011-330-8802