JA北海道女性協議会長 佐藤美登子 氏
(新函館農業協同組合)
佐藤氏は、厚沢部町で稲作を家族経営するかたわら、JA新はこだて厚沢部地区女性部に所属し、味噌・漬物などの加工品づくりや、地域の伝統料理である「かたこもち」の継承に取り組まれています。
また、令和7年4月からはJA北海道女性協議会会長(以下、「道会長」といいます。)に就任され、食や農業の大切さを次世代に伝える活動をされています。
取材日:2026年1月23日
取材場所:JA新はこだて厚沢部営農センター(厚沢部町)

「道南地区の食と伝統を守りたい」地元愛を原動力に
私は札幌市出身で、元々は非農家の家庭で育ちました。夫の実家が厚沢部町で農業を営んでいたことから、昭和60年に、その経営を受け継ぐ形で就農しました。
就農後、義母の勧めで女性部(当時の名称は「婦人部」)に入部し、料理や地域文化を学んだり、現在は地場産大豆を使った減塩味噌や漬物などの製造や、地域に古くから伝わる「かたこもち」の継承に取り組んだりしています。
また、これまでに、JA新はこだて厚沢部地区女性部長やJA新はこだて女性部長を務め、地域の女性農業者の声を農業団体や行政などに伝えてきました。
長年、これらの活動を続けてこられたのは、自分の中に「道南地区の食と伝統を守りたい」という思いがあったからです。
「かたこもち」とは:
檜山南部の伝統菓子であり、米粉と砂糖、塩のみで作る檜山の農家に伝わる味です。正月や法事、節句のほか、農作業時のおやつとしても食べられています。
「美味しいものを食べた経験」こそが食育の第一歩
女性部では、子どもたちへの食育を大事にしています。
例えば、JA新はこだて厚沢部地区女性部では、令和6年から町民文化祭でカレーの提供を行っています。高校生以下は無料とし、提供の際には、私たち女性部員が使用している食材について説明することで食育につなげています。今年は、別の町内イベントでも同様の取組を行う予定です。
また、JA新はこだて女性部では、令和6年から年1回、児童養護施設で小中学生を対象に、リンゴのコンポートやおにぎり、米粉を使用したホワイトクリームソースなどの料理体験会を通じて、食の楽しさを伝えています。
私は、子どもたちにとって、美味しいものを食べた経験こそが農業や食に興味を持つきっかけになると考えています。これからも、こうした食育活動を大切に続けていきたいと思っています。
北海道の代表としての重圧と責任感
JA北海道女性協議会については、幹事や副会長(2期)を務めた後、道会長に就任しました。
道会長は専従となるため、当時担っていた道南地域における役職を退くことに迷いがありました。一方で、幹事や副会長を務めていたときから、北海道の女性部を代表する協議会の仕事の重要性を強く感じており、指名を受けたご縁もあって引き受けることを決意しました。
就任後は、女性部での活動や副会長として道会長を支えた経験を活かして、北海道産の農林水産物の魅力を多くの消費者に向けて発信するとともに、業務の効率化やコスト低減にも取り組んでいます。
私自身の信条として、「代表自らがまず動くこと」を意識していますが、各地区・会長の協力も必要です。また、何かを提案する前に、自分で調べ、関係機関と交渉し、内容をある程度詰めた上で会議に諮るようにしています。
男女双方の意識変革が必要
JAにおける女性役員登用を進めるためには、男女ともに意識を変える必要があると思います。
女性は「女だから」と尻込みせず前に出た方が良いと思いますし、男性には家庭での協力をお願いしたいです。
男女間で能力に差はありません。しかし、家庭を持つ女性には家事・育児の面でどうしても仕事との両立が難しい場面が出てきます。だからこそ、家族の協力が欠かせません。現代は便利な家電や冷凍食品なども充実していますので、それらを上手に使って負担を減らすことも一つの手段だと思います。
自分の時間も大事にしつつ、積極的に外へ
これから役員を目指す女性には、ぜひワークライフバランスを意識してほしいです。家庭がある方には難しいかもしれませんが、自分の趣味に使える時間を確保してください。そうした生活を続けることで、家族も次第に理解してくれるようになるはずです。
また、勉強会や研修などの機会があれば、積極的に参加してほしいと思います。人と人とのつながりが生まれ、人生経験がより豊かなものになると感じています。
お問合せ先
企画調整室
代表:011-330-8802




