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北海道農政事務所

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JAようてい 理事 気田仁奈 氏

JAようてい
(ようてい農業協同組合)
理事 気田 仁奈 氏

   気田理事は、ご結婚を機に札幌市から蘭越町へ移住し、農業に従事されるようになりました。現在は水稲を中心に、トマト、大豆、スイートコーン、かぼちゃ、じゃがいもなどの栽培に取り組んでいます。
   令和4年4月からようてい農業協同組合の理事に就任され、現在は蘭越町農業委員会委員も兼任されています。
   今回は、農業者としての取組や農協理事としての活動について、お話を伺いました。

取材日:2026年7月13日
取材場所:蘭越町




農業の楽しさを感じて~たくさんの出会いと学びに支えられて~

   以前は会社員やフローリスト*¹として働いていました。もともと自然に触れることが好きでしたが、農作業の経験はなく、就農後は周囲の方々に教わりながら少しずつ農業を学んできました。農業は花を扱う仕事と似ているようで、実際には大きく異なります。初めて経験することばかりで、農業の奥深さと難しさを感じながらも、日々、楽しみながら取り組んでいます。
   就農するにあたり、先進的な考えを持つ義母の提案で家族協定を結びました。家族それぞれの役割や給与などを明確にしたことで、安心して経営に携わることができました。また、義母から「いろいろなことを見て学んでみなさい」と助言を受け、農協女性部に加入しました。特に不安を感じることはなく、活動にも自然に溶け込むことができました。農協職員も親身に接してくれ、地域とのつながりも深めることができました。
   近隣の先輩農業者も経験豊富な方々が多く、営農に関することはもちろん、日常生活についてもさまざまな助言をしてくれました。若手農業者は少ないものの、多くの学びを得ながら充実した農業経営に取り組むことができました。

*¹花を使って装飾やアレンジメントを行う専門職

理事就任を決意して~背中を押されて踏み出した一歩~

   農協理事に就任したきっかけは、推薦委員から推薦を受けたことでした。前任者は4期にわたって理事を務められており、「そろそろ次の世代へ引き継ぎたい」と考えておられることは、承知していました。
   当時を振り返ると突然の話だったため、「自分に務まるだろうか」という不安がありました。農作業に加え、家庭や子育てにも追われる毎日の中で、役員活動の時間をどのように確保していくのかとても悩みましたし、特に子どもたちがまだ小さかったため、引き受けるべきか迷いました。
   しかし、推薦委員から熱心に声を掛けられたことに加え、夫からも「やってみたらいいのではないか」と背中を押されました。また、コロナ禍の影響で女性部の活動が制限されていた時期でもあり、「農業者のために少しでも力になりたい」という思いも後押しとなりました。前任者によるサポートが整っていたこともあり、最終的に理事就任を決意しました。
   理事就任が決まった当初は、関係者から寄せられる期待に戸惑いを感じました。「なぜ自分なのだろう」と考えることもありましたが、役職を引き受けた以上、その期待に応えたいという思いが次第に強くなっていきました。
   現在も責任の重さを感じる場面はありますが、夫をはじめ、祖父母や子どもたちなど家族の理解と協力に支えられながら活動を続けています。

理事として活動する中で~悩みからの学びを力に変えて~

   農協女性部で部長として活動していた頃は、組織の目的や自分の役割が比較的分かりやすく、何をすべきかを理解しながら活動することができました。一方で、理事に就任した頃は、理事の役割や責任が十分に理解できず、「自分に何ができるのだろう」「どのように役に立てばよいのだろう」と悩み、その責任の重さを感じる場面もありました。そんな時、周囲の役員や先輩方から「まずは参加してみればいい」「深く考えすぎなくても大丈夫」と温かい言葉を掛けてもらったことで、少しずつ活動に慣れていくことができました。
   また、経験を重ねる中で、知識や経験の不足から発言をためらうこともありました。しかし、理事としての責任を果たすためにも、自分の考えをしっかり持ち、それを伝えられる存在になりたいと考えるようになり、より地域の発展に貢献したいという思いが強まりました。

解決すべき課題~次世代の担い手が活躍できる組織づくりに向けて~

   現在、農協や関係団体で活動する役員の担い手不足も深刻な課題だと感じています。
   役員活動に関心を持ち、地域のために力になりたいと考えている人は少なくありません。しかし、役員がどのような仕事を担い、どのような責任を負うのかが分かりにくいことに加え、組織運営には慣例的な部分が多いため、一歩を踏み出しにくい状況にあると感じています。
   だからこそ、役員の役割や活動内容を分かりやすく伝えることが大切だと思います。若い世代が安心して役員活動に挑戦できるよう、業務内容や責任の範囲、報酬などについて研修会等を通じて丁寧に説明し、参加しやすい環境づくりを進めていくことが大切です。
   次世代の担い手が育ちやすい組織づくりを進め、活動の継続と活性化につなげていきたいと考えています。

女性の参画推進~地域農業の未来へつなぐために~

   私が所属する農協では、以前から女性理事が選任されており、女性が理事として活動することは決して特別なことではありませんでした。そのため、私が理事に就任したことで組織が大きく変わったという実感はないです。理事会においても、女性が参画することへの理解は進んでいます。
   一方で、地域の中には今もなお、農業経営や組織運営は男性が中心という従来の考え方が残っていると感じることもあります。理事に就任する前の私も、女性は家事や子育てに専念し、農作業を補助するなど、家族を支える立場という意識がありました。しかし、理事として活動する中で、女性も農業経営の重要なパートナーであり、経営の方向性や将来の展望について夫婦で意見を出し合いながら進めていくことの大切さを実感するようになりました。また、女性だからこそ気づく課題や提案できることも多く、地域農業において果たせる役割は大きいと感じています。
   また、女性農業者同士が交流し、情報交換できる場の存在は欠かせません。女性同士のつながりから新たな挑戦や取組が生まれることも多く、経営への主体的な参画を後押しするきっかけにもなっています。近年はスマート農業などの新しい技術分野でも女性農業者の活躍が見られ、作業の効率化や働きやすい環境づくりにおいて、女性ならではの視点が経営改善に大きく貢献していると感じています。私自身も理事として、こうした女性農業者の声を組織運営に反映していきたいと考えています。
   そして、女性がリーダーとして活躍するためには、本人の意欲だけでなく、家族や地域社会の理解と支援が欠かせません。私がこれまでの活動を通じて感じていることは、農業経営や組織運営は一人では成り立たず、多くの人の支えや協力があってこそ成り立つということです。
   一方で、理事活動と家庭との両立に苦労することもありました。理事としての職務を優先しなければならない場面も多く、子どもの部活動の大会など、学校行事に参加できなかったこともありました。本当は応援に行きたい気持ちがありながらも、役員活動を優先せざるを得ず、子どもたちには寂しい思いをさせてしまったこともありました。それでも、家族の理解と支えがあったからこそ、さまざまな活動にも積極的に関わり、理事を続けることができました。

いつでも相談に乗るよ~人とのつながりを大切にしながら~

   私はこれまで、好奇心を持ってさまざまな活動に挑戦してきました。家族や地域の仲間、関係機関の皆さんとのつながりを大切にしながら活動をしてきた経験は、現在の理事活動にも活かされています。そして、多様な立場の方々と意見を交わしながら物事を進めていくことの大切さを改めて実感しました。
   また、女性と男性は対等なパートナーであると共に、お互いを支え合いながら経営や活動に取り組むことが重要です。悩みは一人で抱え込まず、困ったときには相談できる相手を持つことも大切です。誰かに相談することで、新たな気づきが得られたり、精神的な負担が軽減されたりすることもあります。
   今後、相談を受ける立場として、新たに農業を始める方や、女性農業者に対して相談に乗る側として力になっていけたらと考えています。一人で悩まず、周囲とのつながりを大切にしながら、それぞれが自分らしく農業に取り組める環境づくりに貢献していきたいです。

気田様、貴重なご意見をいただきありがとうございました。

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代表:011-330-8802