山梨県内のスマート農業に取り組む農業者
左の写真:センサーボックス 右の写真:富士通ワインファーム収穫祭の様子
会社名
奥野田葡萄酒醸造株式会社
スマート農業を始めた年月
2011年6月
所在地
甲州市
栽培作物
醸造用ぶどう
取組内容
富士通株式会社(以下「富士通」という。)のICTを駆使して温度センサーと簡易カメラが一体となったセンサーボックスを開発し、設置。太陽光で発電してバッテリーに蓄え、自動でデータを測定。24時間、5分間隔で収集した測定データを無線ネットワークを用いてパソコンに自動送信して集計することで、ブドウ畑の365日の正確な温度情報を得る。蓄積されたデータを基に自動的に異常を察知し、メールで知らせるシステムも導入。インターネットに接続すればどこにいてもほ場の状況を把握して、スタッフに適切な指示を行うことが可能になった。
スマート農業に取り組んだきっかけ
県内の農業・農村の活性化に向けて、農村地域と企業が協働活動を進める県の支援事業「やまなし企業の農園づくり」事業で、富士通と協定を結んだことがきっかけとなった。
スマート農業を始めて良かった点
・あらゆる環境、気象条件でも、温度変化を読みとり適切な防除を行うことで、良質なブドウを生産できる。蓄積したデータについて富士通の数値解析の専門家が統計解析を行い、ブドウの生育を阻害する危険な温度条件になる前にメールで通知され、スタッフにも防除の準備をする余裕が生まれた。
・ICTを活用すれば、一般的な農家が病気を防ぐために栽培暦どおりに行う農薬散布の回数やコスト、労力を半減することも可能になる。
スマート農業を始めるに当たり苦労した点
・ほ場モニタリングシステムを設置する際にかかる初期投資費用が課題。
・ほ場モニタリングシステムから送られてくるデータは、その数字を把握してほ場の状態を把握することで、状況に応じた最適な対応が可能になることから、数字がどんな状況を示しているのか分析するための知識がなければならない。
公的支援制度(国の支援制度や資金制度等)の支援状況
公益財団法人 山梨中銀地方創生基金助成事業
スマート農業を検討している方々へ一言!
果実酒などの原料栽培では、新しい技術で栽培したものは品質が向上し、PRのポイントとなる。ICT活用は効率よく高品質な栽培を可能にする。
今後の取組
自動草刈りロボットや自動防除機は今後必須になると思う。ドローンでの農薬散布も視野に入れている。今後は新たなスマート農業の導入や労働力の確保で作付面積や醸造量の増加も考えている。
奥野田葡萄酒醸造株式会社