山梨県内のスマート農業に取り組む農業者


会社名
株式会社GRAPE BASE
スマート農業を始めた年月
2021年 10月
所在地
北杜市
栽培作物
ぶどう
取組内容
〇栽培関係
当社では「根域制限栽培」を採用した省力栽培を行っている。苗を栽培するポットの土には基本的に養分は入っておらず、液肥を自動潅水システムから与えている。イメージとしては水耕栽培に近いものと言える。
・台木を使わない栽培が可能であり、また台木を使うより樹勢が落ち着くことから、枝等が暴れることなく生育し省力化にも繋がる。
・樹形もコンパクトに短梢剪定で仕立てることにより、1年目でほぼ目指す樹形になり、2年目である程度の収量も見込めるため、早期に収入が確保できる。
・保存用の冷蔵施設も完備している。鮮度等を保持しながら出荷時期を遅らせ、市場価格に応じた出荷調整を行っている。
〇スマート農業
・山梨大学と連携し、AI技術を用いたぶどうの自動選別機を試験的に導入する予定である。プロが行う選別作業を、素人でも選別し出荷できるようにしていきたいと考えている。
・自動散布機は、社員の年齢が30才代前半と若く、将来的に健康面のことも考え、農薬等にはなるべく接しないように導入した。当初は海外製であったが、壊れやすく修理にも時間や費用もかかるため、日本のベンチャー企業に依頼し導入した。まだ試作機として1台だが、来年からは改良した2台目を導入する計画であり、2台あればこの面積(3.5ha)は十分にカバーできる。
・自動潅水システムでは、1日に与える量を決めて潅水している。制御システム以外で潅水システムに使われている部品の多くは、ホームセンター等に売られている部品で構成されており、故障等してもすぐに対応出来る。
・そのほか、ビニールハウスの天窓を開閉する自動開閉システムも導入しており、労力低減に大いに役立っている。
スマート農業に取り組んだきっかけ
スマート農業に取り組もうとした理由は、まだ始めたばかりの我々では、従来の栽培方法で世間に追いつくには時間がかかると思い、新しい栽培方法で作業の効率化、省力化を図り、良質のぶどうを消費者の方々に喜んでもらいたいと考え、取組を始めた。
スマート農業を始めて良かった点
・労力の省力化には大いに役立っている。1年を通じて残業をするのは、摘粒作業ぐらいであり、おおむね定時に帰宅できている。
・データ化できることもメリットである。今までは、農薬散布等、経験で案分していた部分があったが、データ化することによりマニュアル化しやすい。
スマート農業を始めるに当たり苦労した点
・初期コストがかかるのが難点。金融機関等から支援を受けたが初期の資金繰りは厳しい。
・タブレットやパソコン、散布機等の機械操作が難しいため、慣れるまで時間がかかる。
公的支援制度(国の支援制度や資金制度等)の支援状況
・日本政策金融公庫 スーパーL資金
・雇用就農資金
・やまなし未来創造農業推進事業(山梨県)
・IT導入補助金((独)中小企業基盤整備機構)
課題・要望
・スマート農業を行う上で、パソコン等に馴染みやすい若い人材を雇用することが非常に難しいと思う。
・様々なスマート機材を導入しているが、操作方法が難しい。簡単な操作方法にならないかと思う。
・補助金のハードルが高い。記載方法も難しく、指導していただける方も少ない。誰でも分かりやすいようにしていただきたい。
スマート農業を検討している方々へ一言!
使ってみなければわからないので、まずは小規模で様々な機械を使ってみて、自分の農業に合うか合わないかを判断してほしい。自動散布機にしても最近は、レンタル機械もあるので試していただきたい。
今後の取組
今後は10haぐらいに規模拡大をしたい。また、南アルプスの綺麗な水系で栽培したぶどうを生産し、北杜市白州町を盛り上げ地域活性化にも繋げていきたいと考えている。
株式会社GRAPE BASE