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関東農政局

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国産チーズ生産拡大セミナー概要報告

農林水産省では、国産ナチュラルチーズ等の競争力強化を図るため、チーズ工房やチーズ製造設備の整備等を行う「国産乳製品等競争力強化対策事業」を平成29年度から実施しています。
関東農政局では、国産チーズをめぐる情勢や本事業を活用してチーズ工房を整備された方の事例の紹介を行う「国産チーズ生産拡大セミナー」を開催しました。


開催日時・場所

日時:令和2122日(水曜日)1400分~1730
場所:さいたま新都心合同庁舎2号館5階共用大研修室5A


開催内容

1.情報提供

「牛乳乳製品・国産チーズをめぐる情勢及び乳製品の輸出について」
農林水産省 生産局 畜産部 牛乳乳製品課  相田 剛伸 氏 資料1(PDF : 4,004KB)

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➢国産チーズ等をめぐる情勢として、国産チーズの需給状況、乳製品に関する国際貿易交渉の合意内容、国産チーズの競争力強化対策等について、説明がありました。


2.事例紹介

(1)『チーズ作りで大切にしていること  ~日本のチーズ作りの課題と今後~』
株式会社チーズ工房那須の森 代表取締役  落合 一彦 氏 資料2(PDF : 8,227KB)

 2.otiai

➢落合氏は、2005年に農研機構を退職後、2008年に個人事業としてチーズ工房を開業。2014年には法人化し、国の補助事業を活用して20193月にチーズ工房の施設を拡大されました。
➢チーズ生産については、ブラウンスイス牛の良質な生乳を使用し、毎回、チーズの出荷前にはスタッフ全員で試食を行い、意見を交わして、さらなる改善に努めているとのことです。
➢工房で作られた「森のチーズ(8ヶ月長熟セミハードタイプ)」は、201910月にイタリアで開催されたワールドチーズアワードで3804品の中からスーパーゴールドに入賞し、その中でもベスト10位に入るなど世界的に高い評価を受けています。
➢今後は、コストを下げ、多くの方がたまに贅沢をしてみようかと思える価格で提供するとともに、地域の飼料を使った生乳を基本に、和食の中にも取り入れられるチーズ作りを目指してらっしゃいます。






(2)『人生は1度きり!新たな挑戦  ~秩父にこだわったチーズ作り~』
秩父やまなみチーズ工房 代表  髙澤 徹 氏 資料3(PDF : 1,123KB)

 3.takasawa

➢髙澤氏は、流通専門紙の記者や役員を経て、53歳で退職された後、国の補助事業を活用して2018年10月にチーズ工房を開業されました。また、チーズ工房や地域での取組については、2019年5月にテレビ朝日の人生の楽園で放送されております。
➢工房では、地元の酪農家である吉田牧場の生乳を使用し、秩父のウイスキーやワイン、果物等を利用したチーズを作り、チーズの副産物であるホエイは地元の養豚農家に飼料として提供するなど、秩父地域にこだわったチーズ作りをされています。
➢秩父地域の酪農家数は減少の一途であり、秩父の食文化の一端を担える存在になれるよう、さらなるチーズの品質向上と経営安定に取組んでいきたいとのことでした。

 




(3)『楽農経営による美しい里山をふやします  ~小規模・放牧型・地域内循環型の高品質チーズを届けます~』
小布施牧場株式会社 代表取締役  木下 荒野 氏 

 4.kinoshita

➢木下氏は、2011年に酪農学園大学を卒業後、約3年間国内の農場で勤務。その後、1年間ニュージーランドの牧場に勤務しました。2017年に小布施牧場を創業し、国の補助事業を活用して2020年1月にチーズ工房の施設を新設されました。
➢小布施牧場では、10数頭のジャージ牛を飼養し、その生乳を使いチーズとジェラートを製造、販売しています。
➢また、小布施牧場の5つのポイント(小規模、放牧型、地域内循環、高品質の六次産業、教育と普及)を掲げ、小布施地域の魅力を高めることで地域に貢献するとともに、小布施牧場をモデルにして、全国の荒れた里山を、美しい味わいの里山に再生したいと語って頂きました。





3.総合質疑

最後に、本日の講演を踏まえ会場から次の意見、質問等がありました。 

➢会場から、自分はチーズ用生乳を飲用向けと同じ価格で購入しているが、ヨーロッパでは、チーズ向け生乳は高い品質が求められるため、飲用向けより高価となっていることについて、どのように考えているかとの質問がありました。相田氏からは、生乳取引価格は、各乳製品等の流通実態等を踏まえ民間同士の交渉により決定されていることについて回答がありました。このほか、チーズ向け生乳の品質向上を図る生産者に対し支援を行う国産乳製品等競争力強化対策事業について紹介がありました。
➢会場から、チーズを製造する際の副産物であるホエイの処理方法について質問がありました。登壇者からは、養豚農家への飼料としての提供のほか、近くのパン屋さんに出荷するなど、工房で処理の手間をかけず、地域の事業者に提供しているとの回答がありました。
➢会場から、日本は湿度が高く、海外とは異なる気候であるが、安定した品質を保つための苦労や、工夫している点について質問がありました。落合氏からは、夏場にサイレージを飼料として使う場合、チーズが酪酸発酵しやすいので、品質を保つのに苦労している。木下氏からは、夏場は放牧を行うため、黄色みがかったチーズとなるが、それをお客へも説明できることが、逆に強みになるとの回答がありました。 

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お問合せ先

生産部畜産課

担当者:畜産経済係 松元,齋藤
ダイヤルイン:048-740-5318

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